鈴木紗理奈さん「現代生活は軍事技術の恩恵」発言と批判側の「噛み合わなさ」 楽天ドローン導入支援

23日放送のTBS系「サンデージャポン」で取り上げられた楽天グループのいわゆる「攻撃型ドローン」をめぐる議論が、SNSで批判を受けている。

楽天グループはドイツの防衛テック企業Helsing(ヘルシング)と連携し、同社が開発する攻撃型ドローン「HX-2」の日本国内への導入を支援する。楽天は報道について「事実と相違ない」と認めており、日本での販売窓口として防衛省への導入を支援するという。

鈴木紗理奈さんの「軍事技術の恩恵」論

番組で鈴木紗理奈さんは、現代社会では軍事分野で発達した技術が民生用にも活用され、人々がその恩恵を受けているという趣旨の発言をした。そのうえで、そうした恩恵を享受しながら軍事用製品だからという理由だけで反対することに疑問を呈し、「山で暮らせばいい」と述べて話題になった。SNSでは賛同と批判の双方が噴出している。

鈴木さんの指摘そのものには一面の事実がある。GPSをはじめ、航空宇宙、通信、半導体など、軍事・安全保障分野への巨額の研究開発投資が民間社会にも波及してきた例は少なくない。

しかし、「軍事技術の民生転用から恩恵を受けている」という話と、「特定の兵器の導入に賛成すべきだ」という話は、本来別の問題である。

HX-2は単なる「技術」ではない

今回のHX-2は、この区別を考えるうえで重要だ。

Helsing自身がHX-2を「AI strike drone」と呼んでいる。最大100kmの射程を持ち、電子妨害を受ける環境でもAIによって目標を再識別し、砲兵や装甲車などの軍事目標を攻撃できる。対戦車・対構造物用の弾頭も搭載できるという。すでにウクライナ向けに大量生産されている兵器でもある。

つまり、これは民生にも使える普通のドローン技術を研究するという話ではない。最初から軍事目標を攻撃するために開発された兵器である。

女優の毬谷友子さんがXで、軍事用製品は「人間を殺すために作られる」という趣旨で鈴木さんを批判したのも、この点を問題視しているからだろう。

もっとも、こちらも「兵器=人を殺すもの」で議論を終わらせてしまえば十分とはいえない。兵器には敵の攻撃を思いとどまらせる抑止力という側面もあり、防衛のための装備まで否定すれば、誰が国民を守るのかという問題が残るが、そこまでは思いが至らないか、そうでなければ党派的なポジション・トークである。

「通販生活」は楽天市場から撤退

さらに象徴的なのが、「通販生活」を発行するカタログハウスの対応だ。

同社は8月18日、楽天市場への出店を取りやめた。今年3月に出店したばかりだったが、楽天のHX-2導入支援が自社の企業理念と相いれないと判断した。「憲法九条」があるから買い物のできる平和な生活が成り立つとの立場から、「非戦の誓いを守っていくべき」と説明している。

企業が自らの理念に従って取引相手を選ぶことは自由であり、通販生活の判断も一つの企業姿勢である。

ただし、「憲法9条を守ること」と「防衛装備を持たないこと」も同義ではない。日本は自衛隊を持ち、現実の安全保障環境の中で防衛力を整備してきた。問題は兵器を持つか持たないかという二択ではなく、何を、どの程度、どのような目的とルールで保有するかである。

「兵器か平和か」という二択の単純化

今回の騒動では、「軍事技術のおかげで豊かな生活があるのだから反対するな」という議論と、「兵器は人を殺すものだから反対だ」という議論が正面衝突している。

しかし、どちらも問題をあまりに単純化しすぎている。

本当に議論すべきなのは、日本の安全保障にHX-2のような兵器が必要なのか、AIによる目標識別や群制御をどこまで認めるのか、最終的な攻撃判断を人間がどこまで管理するのか、そして民間企業が防衛産業に参入する際にどのようなルールを設けるのかという具体論だろう。Helsingも、重大な判断には人間を関与させる方針を掲げている。

戦争を避けたいという願いは、防衛力を強化する側にも平和主義を掲げる側にもある。その目的を共有したうえで、「何をすれば戦争を抑止できるのか」を議論することこそ必要ではないだろうか。

「山で暮らせ」「人を殺す兵器だ」というお互いの強い言葉だけでは、日本が直面する安全保障の問題への答えにはならない。鈴木紗理奈さんは単なる勉強不足で、毬谷友子さんに代表される批判側は深刻な原理主義に陥っているのだ。

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