間接的影響力を使ったとしか言いようがない内閣改造

書籍取次大手の日販がアンソロピックに大量の日本の書籍を販売した疑いが発覚しているようです。別の裁判資料から同社の名前が浮かび上がったようで事実確認の動きが出ています。書籍は取次が出版社と書籍小売りの間を取り持つ役目を果たしていますが、大手は日販とトーハン。ただ日販は現状の事業形態の将来に危機感を抱いており、様々な改革を打ち出し、また一部コンビニ向けの雑誌の卸もトーハンに譲っています。一方、書店は出版社との直取引を増やしており、私も日本に戻ってきた翌日一番先に行ったのはある出版社との打ち合わせ。AIの浸透も含め、出版業界は大再編の予兆を感じます。

では今週のつぶやきをお送りします。

ビハインド ザ カーブ

ビハインド ザ カーブという言葉が日常的かと言えば95%の人がNOというでしょう。ただ、使い勝手は良いのです。日本での狭義の意味は金融政策が後手に回っていること。ただし、英語上の意味は新しい状況に対してそれに対応するのが遅れていること全般を意味します。日銀の政策遅れという意味合いでご理解されていると思いますが、それこそ経済対策の遅れでも使えます。

ではなぜ、政策判断が遅れるのか、といえば新たに起きた現象に対してそれが一時的なものか、恒常的な変化か判断できないために意見が割れることで生じます。例えば昨日の日銀の利上げ決定において全会一致ではなく2人のリフレ派の反対意見があったことで円が急落する場面がありました。これは日銀が継続的な利上げをするだろうという市場の読みに対して「2人がこの段階で反対したのか?」という驚きで、「次回利上げ討議するときはさらに反対者が増えるかもしれず、そうなれば断固とした判断ができないからビハインドザカーブに陥るかも。そうなれば円はドルとの金利差が生まれ、安くなりやすいだろう」と読んだのです。

ちなみに反対した2人は高市氏が送り込んだ政策委員で来年にも別の政策委員の交代があるため、リフレ派がさらに増えるかもしれません。植田総裁の難しいかじ取りは純粋に金融市場との闘いだけではなく、政策決定委員の現状分析の考え方の相違という新たなハードルが加わったのであります。その点だけみると一歩先に利上げを決定したアメリカFRBは全会一致の利上げの決定でありました。ところで私は記者会見を飛行機の中でライブで聞いていたのですが、記者会見のやり方を変え、ウォーシュ氏の回答も紋切り調になり、記者がやりにくそうな感じを見て取りました。自らのスタイルに変え、「後れを取る」というイメージをかわしたのでしょうか?

ではお前はこの先、どう見るのか、と言えばあくまでも戦争の行方次第ですが、原油市場がすぐさま戻るとは思えず、物価はまだまだ上がるだろうし、ガソリン補助金の11月以降の目途が現状、ないことを考えると12月と春先の利上げの2回の0.5%上昇で1.75%まではほぼ固いとみてます。一部専門家が上限2.0-2.25%を見込み始めていますが、それは今後の世界情勢次第でしょう。仮にそうなれば日銀の考える中立金利の上限となり、景気の引き締め感が出ます。すると政府が期待した法人税収の上振れも減ることになり、様々な財源問題がまた出てくるのです。個人的には1.5%から1.75%が日本経済の現状からすると精いっぱいではないかという気はします。

内閣改造

今回の改造についてコメントせよ、といわれる困る、というのが正直なところです。あえて言うなら「手堅い」という言葉が当てはまるかもしれません。基本的には「身内」でしっかり固め、政策のぶれが出ないようにする微妙な修正に留まったと思います。維新からの初入閣も担当大臣レベルだし、農水大臣を交代させたのもほぼ想定通りでした。私が思うのは「表舞台に出る影響力のある人は消える」であります。 先般の財務省の人事にしろ、参議院幹事長の人事にしろ、いかにも間接的影響力を使ったとしか言いようがないのです。

高市首相 自民党HPより

林氏を閣外に出したのは2つの勝算を見込んだとみています。まず、自民党内の反高市派の一角に林氏を押し込み、来年の自民党総裁選の時の対抗馬にあえて持っていくことが1つ。そして巷で噂される2年で食品消費税を元に戻せるのかという疑問に対して、その実行力について「他の方に出来ますか?」とあえて難題を押し付けたのではないかと思います。つまり高市氏は自らの責任を自らの手で全うして食品消費税を元に戻すという信念を貫きたいのでしょう。そのために林氏をあえて追い出し、総裁選における論点の切り口にしようとしたとみています。

かつて高市首相の政策に対して英国で49日で辞任したトラス氏と重ねる報道がちらほらありました。今の状況はトラス氏ではなく、サッチャー氏と似ているのではないかと思うほど反対派を振りきり、自らの信念を貫いているように見えます。一点だけ。強く鋭いものは前に進む力は強いですが、一歩、それがブレた時、恐ろしいほど外すことがあります。高市氏の周りは相当敵が多いようですからどこまで切り込めるのか、周囲には要注意であります。

特に来週のニューヨークでの国連総会ではトランプ氏との会談が見込まれるほか、各国首脳と同席するわけで久々に外交が俎上に上ります。多分ですが、トランプ氏とはある程度の歩調は合わせることになるのでサプライズ感は出ないと思いますが、個人的には日米関係とトランプ氏との関係は切り離して考えたほうが良い気がしています。つまりあまりトランプ氏にべったりというイメージが強くなるとトランプ氏が窮地に陥った時切り返しができなくなるリスクは出てくると思います。

後記
海外との移動は慣れると疲れるものではなく、移動時間を有効に活用できるありがたい存在になります。飛行機の中で時差調整をするので寝る時間もいつもだいたい1時間から最大2時間で十分。非日常的な隙間時間ができるのでその間をいかに埋めていくかにかかるわけです。幸いにして最近は飛行機の中が爆速インターネット環境で仕事もできるので便利になりました。私は飛行機の中という特殊な時間を利用して一つのことに集中することが好きで、本なら軽く1冊から2冊は読めます。到着してからの電車などの移動時間もやみくもにスマホいじりはしないようにしています。東京にいるととにかく移動に時間がかかるのでそこを上手に使うことが大事ですが、昨日は普段乗り換えをしない地下鉄駅で知っているつもりで何と逆方向の電車に乗ってしまい、あぁ、やっちゃった!でした。笑

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月19日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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