住宅ローン金利さらに上昇で家計直撃:「量的緩和」の請求書が届き始める

変動金利も「1%超」が普通の時代に

住宅ローンの金利上昇が、いよいよ家計を直撃し始めた。10月の大手5行の住宅ローン変動金利は、最優遇金利の平均で1.389%となり、前月から0.234ポイント上昇した。5行すべてで1%を超えた。

しかも、これで終わりではない。日銀が9月に政策金利を1.25%程度まで引き上げた影響は、12月以降、順次住宅ローンに波及する見通しだ。

長いゼロ金利時代、日本では「住宅ローンは変動で借りれば安い」という感覚がすっかり定着した。金利は永遠に上がらないかのように、年収の何倍もの住宅を買うことも珍しくなくなった。

しかし、残念ながら日銀は住宅ローン利用者のためだけに金融政策を運営しているわけではない。

miya227/iStock

「5年ルール」で安心してはならない

変動金利には、金融機関によっては返済額を5年間据え置く「5年ルール」がある。この仕組みを「金利が上がっても返済額は変わらない」と安心材料のように説明することもある。

だが、金利が上がれば、同じ返済額でも利息の割合が増え、元金が減りにくくなる。負担が消えるのではなく、見えにくい場所へ先送りされるだけだ。

ゼロ金利というぬるま湯に30年近く浸かってきた結果、金利が1%台になっただけで「住宅ローン危機」が話題になる。むしろ、それだけ異常な時代が長く続いたということだろう。

借り手には悲報、預金者には朗報

一方で、金利上昇には別の顔もある。9月募集分の個人向け国債は、変動10年の初回利率が年1.95%、固定5年が年2.24%となった。長らく「国債を買っても利息などないに等しい」という時代だったが、安全性の最も高い商品でも2%前後の金利がつくようになってきた。

つまり、金利上昇は住宅ローン利用者には悲報だが、預金者や国債保有者には朗報である。「金利を上げると国民生活が苦しくなる」という議論では、この半分がきれいに忘れられている。

ゼロ金利時代の常識を捨てよ

超低金利なら、5000万円、6000万円の住宅ローンも返せるように見える。しかし金利が上がれば、その「買える価格」は当然下がる。金利だけ上がって住宅価格が高止まりすれば、買い手の家計が耐えられなくなるのは当たり前だ。

これまで日本では、借金をする人が得をし、現金を持つ人が損をする異常な金融環境が続いてきた。その世界がようやく終わりつつある。住宅ローン金利が上がったからといって、また日銀にゼロ金利へ戻せと求めれば、インフレと円安を再び招きかねない。

「金利はほぼゼロ」という夢から目覚める時が来た。問題は金利のある世界ではなく、金利のない世界を永遠に続けられると信じてしまったことかもしれない。

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