
面接で聞くたびに、困ってしまう言い方がある。
「私は課題解決力があり、業務改善に貢献しました」
間違ってはいない。たぶん本当なのだろう。でも、聞いたそばから忘れる。悪いが、忘れる。
ニューヨークで、100人以上の面接に関わってきた。面接が終わった夕方、その日会った5人を思い返す。頭に浮かぶのは「○○大学卒、××社勤務」ではない。浮かぶのは、こういう場面だ。
入社3年目に、大きな失敗をした人。休日にフラメンコを踊っていると言っていた人。アメリカへ渡ると決めた夜の話をしてくれた人。
経歴は伝わる。ストーリーは残る。この差は、思っているよりずっと大きい。
ある40代の女性の話をしたい。前の職場で、他部署から書類が何度も戻された時期があったという。最初は自分が悪いと思い、落ち込んだ。それがある日、ミスを1つずつ紙に書き出し始めた。なぜ起きたのか。どのタイミングなら防げたのか。3か月続けたら、戻される書類は半分以下になった。彼女のつくったチェック表を、気づけばチームのほかのメンバーも使っていた。
聞きながら、机に向かって1つずつミスを書き出す彼女の姿が浮かんだ。この人はうちに来ても、同じことをやるだろう。そう思えた。面接で見ているのは、結局そこだ。
さて、同じ話を短くまとめるとどうなるか。「課題解決力があり、業務改善に貢献しました」。冒頭のあれである。
あの机も、あの紙も、あの3か月も、全部消える。消えたものこそが本体なのに。こういう言い方が、なぜか「ちゃんとした答え」として通っている。そこに、少し腹が立つ。
彼女の話にあって、あのまとめにないもの。3つある。何が起きたかという「出来事」。そのとき何を考え、どう動いたかという「選択」。その結果、誰に何が起きたかという「変化」。たったこれだけだ。
(箇条書きにすればきれいに見える。でも、あえてしない。きれいに並べた途端、また忘れられる気がするので。)
「誠実です」と言うくらいなら、クレームを受けた日に何をしたかを話してほしい。「粘り強いです」なら、誰にも成果を信じてもらえなかった3か月をどう過ごしたか。性格を表す言葉は聞き流される。場面は残る。
大事件はいらない。職場の雰囲気を良くするための、こっそりした工夫。異動先で孤立しながら、少しずつ築いた関係。子育てと仕事のあいだで、何度も限界を感じながら踏ん張った日々。材料は、もう手元にある。掘り起こし方を、誰も教えてくれなかっただけだ。
評価を分けるのは、出来事の大きさではない。そこから何を受け取ったか。それだけである。いや、その「それだけ」が、案外いちばん難しいのだが。
※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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『AI「自分データベース」』(永松ゆり著)standards
■ 採点結果
【基礎点】 40点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】 20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】 18点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【78点/100点】
■ 評価ランク ★★★ 標準的な良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
・対象読者の設定:初心者でも使いやすいGemini Notebookを題材に選んでおり、入門者向けの1冊としてテーマの的は外していない。
・入門書としての使いやすさ:題材となるツール自体が初心者向けで扱いやすく、初めて触れる読者が取り組みやすい内容になっている。
・一定の完成度:及第点にとどまらず、78点という水準に達している。基本的な解説は押さえている。
【課題・改善点】
・読者の動機づけ:
本書を読んで、実際にGemini Notebookを使いたいと思う読者がどれほどいるのかが見えにくい。訴求力に課題が残る。
・新規性の不足:
内容に新規性があるとまではいえず、独創性の面で物足りない。
・独自のヒントの欠如:
読者が求めているのは「この本でなければ得られないヒント」である。そこまで踏み込めておらず、説得性が弱い。
■ 総評
本書は、初心者でも扱いやすいGemini Notebookを題材に、入門者に向けて使い方を解説した一冊である。読者層を初心者に絞った点は評価できる。一方で、読み終えた読者が実際にこのツールを使いたいと思えるかという動機づけが弱く、内容にも新規性は乏しい。読者が求めているのは、本書でなければ得られない実践的なヒントである。そこまで踏み込めていれば、評価は大きく上がったはずだ。現状では標準的な良書として78点と評価する。








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