【米中間選挙】トランプへの鉄槌は歓迎だが民主党大勝も心配

米国の中間選挙の開票速報では、上院でも下院でも民主党が過半数を確保。上院では注目州のうちテキサス、オハイオ、カンザス、アイオワ、ミシガン、メーンで共和党が全勝(アラスカは未定)。それに加え、予想外にサウスカロライナ、もしかするとミシシッピでも民主党が勝利しそうで、民主54~56、共和44~46となった。これでは一本釣りで民主党議員を釣っても意味がない差だ。

下院選はまだかなり未定の議席があるが、NBCの推計では民主258、共和177となっている。いずれも事前の予測の幅の最大限の数字で民主党の勝利である。

トランプ、ネタニヤフ、高市早苗の迷惑3人組

この大敗の原因がイランとの戦争にあることは、トランプ自身も認めているし、ヴァンス副大統領も公言している。

なぜあんな愚かな戦争を始めたかと言えば、ひとことで言えば、刑務所に行きたくないネタニヤフの命がけの工作にトランプが引っかかったということに尽きる。

先般、イスラエルに行った日本の議員団に対しても、ネタニヤフはICCからの離脱を要求し、「自分は逮捕されるかもしれないから日本に行きたいが行けない」と言ったそうだ。それに対して大岡敏隆議員が、「ICCは事後法でもって裁かれた東京裁判の不条理を繰り返さないために、人道上の罪を戦争や拘束がなくても裁くようにしたものだから脱退などできない」と言ったら、それ以上は言わなかったようだが、それだけ気にしているということだ。

さらに、ネタニヤフは辞めたら、汚職でも訴追される可能性があり、ともかく、首相を辞めたらアウトなのだ。

そのために総選挙での不利が予想されていたネタニヤフが、一か八かの起死回生策を目論んでトランプに勧めて、何か弱みを握っているのかもしれないし、娘婿でユダヤ系のクシュナーをたらし込んだり、あらゆる手を使ってトランプを説得したようだ。

結果、イランは指導者が交代したが政権はびくともせず、イスラエルではネタニヤフのリクードは第1党の地位を守ったが、有権者の20%を占めるアラブ系住民の政党が15%の議席を得てキャスティングボートを握った。

イスラエルの制度では、多数を形成する可能性の高い候補者に大統領が組閣を要請する形がとられるが、徴兵を忌避するユダヤ教正統派も野党のアイゼンコット氏に合流する可能性が出てきて、政権交代の可能性が高くなってきた。

そして、トランプはホルムズ海峡を止められたり、サウジアラビアのパイプラインを破壊されたりして、石油価格が上がるという選挙前に最も起きてほしくないことが起きて、強固な支持者たちまで失った。

トランプ大統領と高市首相 同首相Xより 日米首脳会談2026年3月

高市首相の対米外交は大失敗だった

このデタラメなトランプ外交と世界の指導者は距離を取ったり、批判したりしているのだが、ただひとり、日本の高市首相だけは、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と持ち上げて調子に乗らせ、ホワイトハウスで踊って媚びたり、さまざまな塩を食らったのが高市なわけで、ヒトラー・ムッソリーニ・東条英機並みにこの3人を世界の禍として並べてもおかしくないくらいだ。

そもそも、日本が米国と軍事同盟を結ぶ意味は、ロシアや中国、北朝鮮に対する備えもあるが、中東からの石油が入ってくるように、マラッカ海峡やホルムズ海峡を守ってくれることを期待してのものだが、その米国にホルムズ海峡を止められたわけである。高市首相は、はっきりイランとの戦争は日本の国益に反することをトランプに言うべきだった。

もちろん、日本の物価高の原因にもなったのだから、日本の問題としても大失敗の外交だった。「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」とか台湾有事発言の時に、もはや日独伊三国同盟以来の外交的失策と私は言ったが、大げさではなかったかと思う。

日本での世論調査(TBS NEWS DIG)では、トランプ政権に「共感」が23.1%、「日本にもトランプ氏のような強い政治家が必要」は52.6%あったそうで、これが60%を超える高市首相への高い支持率の背景にあるのだが、これでは、日本は世界にとって危険な国になったと言われても仕方ない。反省と対応が必要だ。

高市応援団は、高市首相こそ日本のトランプとして強い指導力での改革を期待しているのだと言うが、財政規律無視のバラマキ財政と円安誘導で国民生活を犠牲にした株高政策、外国への敵意を無意味に煽って世界平和を攪乱することを改革とは普通言わない。

民主党の過度なリベラル路線への反省が不十分になる危険性

ただし、このトランプの敗北はいいことばかりではない。トランプがあまりにひどいので民主党の勝利は大歓迎だが、民主党がバイデンのリベラル路線を部分的に反省する機会を、この敵失による大勝利が失わせてしまうことになりそうなのも残念な気がする。大掃除はまだ済んでいないのだ。

民主党のリベラル路線もまた、党利党略に基づいている。ヒスパニックなどの移民や2世などは民主党に入れる確率が高い。

また、米国の下院435議席の州別配分は、米国市民の数ではなく、国勢調査における外国人を含む各州の居住人口に基づいて決められている。しかも、合法的な滞在者だけでなく、不法滞在者も含まれる。したがって不法滞在者の増加も民主党に寄与するのである。

また、ニューヨークやカリフォルニアでは金融やITなど高収入の人が多いが、生活費も高くなる。それを補ってくれるのは、生活の質を求めない不法滞在者などである。とくにベビーシッターなどがそうだから、一時、女性を公職などに登用しようとすると、不法移民をベビーシッターに雇っていたことがわかってキャンセルされたりしていた。

つまり大都市での経済好調の恩恵が地方やプアホワイトに及ぶ邪魔になっているのである。

また、治安の問題もあるので、不法移民の抑制などはトランプの功績だと言ってもよく(やり過ぎだが)、民主党も追随せざるを得ないかと思ったのだが、今回の予想外の勝利で見直しにブレーキがかかるだろう。

トランプ後の民主党はどこへ向かうのか

また、ウクライナ戦争への深入りなどは、トランプがブレーキをかけたことが経済のためには賢明なことなのだが、これも見直されてしまう可能性が高い。

今回の選挙では、初めてのイスラム教徒の上院議員、先住民の上院議員、初めての黒人女性知事、初めての同性愛者であることを公表している男性上院議員などが生まれた。これが良い方向に作用するか、暴走につながるかも注目すべきだ。

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