落雷に負けない飛行機が携帯の微弱電波に負ける理由

2011年01月17日 08:00

今朝のドア日新聞というメルマガで興味深い記事を見つけました。雷の先端部で発生しているX線を映像でとらえたのだそうです。そもそも雷がX線を発している事が初耳でしたが、その写真まであって驚きでした。近くに落雷した場合、まわりの人はX線被爆するのでしょうか。


さて、雷といえば、どこかで遠くで雷が鳴り出すと、テレビやラジオに雑音が発生する事を、私達は経験で知っています。電柱や電線に直接落ちなくとも、近所の家の電化製品が壊れる事もあるようです。10年ほど前にフィリピンのセブ市に住んでいた時、自宅の数軒先の大きな木に落雷して、我が家のテレビが壊れた事がありました。

雷というのは自然が生み出した超強力な電磁波と言えます。雷は直流からUHF帯の高周波に到る広範囲の帯域の電磁派を発生させる事が知られていましたが、今日の記事は、それが少なくともX線帯域まで広がっている事を示唆しています。下図は牛尾知雄大阪大学工学博士の広帯域電界・電磁波による雷放電の観測的研究の46頁の図4.4です。(論文を見るにはユーザー登録が必要かもしれません)図中で信号の周波数が250MHzあたりまでしかないのは、装置のサンプリング周波数が500MHzである為と思われます。

雷のスペクトラム(サンプリング周波数500MHz)

雷はいろいろなものに落ちますが、その中には飛行中の飛行機も含まれます。たとえば下記の映像は、離陸直後のボーイング747に落雷したものです。飛行機へ雷が落ちる事はそれほど珍しい事ではないらしく、多くの職業操縦士が一生のうち1回か2回は経験するらしいです。

飛行機への落雷は、非常に短時間とはいえ、VLFからX線までの帯域の電磁波を含む膨大なエネルギーが機体とその周辺を通過します。機体に直接落雷せずとも、機体の数キロ以内に落雷するだけで相当量の電磁派(HF帯・VHF帯・UHF帯の高周波エネルギー)パルスが機体へ到来します。落雷は今に始まった事ではありませんから、機内の電子装置への落雷対策は、飛行機の設計時に十分に施されていると考えるのが合理的です。

ところが、我々が利用する飛行機の多くでは、今のところ機内での携帯電話の使用を禁止されています。その理由は、機内の装置に影響を及ぼすからだと説明されています。携帯電話の電波は、たとえ数百台集めたところで、落雷時の電界強度に較べれば遥かに小さいと言えます。離着陸時に落雷しても飛べる飛行機が、携帯電話の微弱電波で制御に異常を来たすとは、なんだか腑に落ちない説明と言えます。

事実かどうか確認する方法がないのですが、以前にある掲示板で、飛行機を設計していたという人に、こんな話を聞いた事があります。携帯電話が米国に登場した時、FCCは当初、機内での使用を認めようとしていた。ところが(どこの部署だか分りませんが)政府から横槍が入り、ハイジャックなど保安上の理由で「認めない」事になったそうです。この辺の真実をご存知の方がおられれば、ぜひお話を伺いたいものです。

さて、技術の進歩は著しく、最近は機内で携帯電話を使えるようにする装置を売っている会社があります。機上から衛星経由で電話回線につなぐ装置のようです。ソフトバンクもこのサービスを利用して機内で携帯電話のサービスを開始したようです。この場合、これまでの「建前」と、新しいサービスを、どのようにして辻褄合わせしているのでしょうか。

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