高校生が大人並?大人が高校生?模擬選挙の結果を比較 --- 選挙ドットコム

2015年12月17日 07:00

模擬選挙と選挙結果の比較


今回の企画「大阪模擬選挙2015」は、大阪府知事選・市長選を題材にして全国の学校で模擬選挙を実施しよう、というものだった。9月から各校やメディアを通じた告知の結果、大阪府内9校を含む全国20校(高校16校、大学4校)が参加した。学校での投票と、学生団体「Kids Voting Osaka」(*)が実施した街頭投票をあわせると約2,300人の「未来の有権者」が府知事・市長選に約4,400票を投じたことになる。

実際の選挙結果と模擬選挙の結果の割合を比べた結果を紹介したい。

1)実際の選挙結果と同じ傾向が見られた

府知事選・市長選どちらも得票順においては実際の選挙結果と同じ傾向が出た。これをもって「子どもたちも、有権者と同じだけの政治の知識、判断力がある」とまでは言えないが、公正・中立な方法と資料で実施すれば、少なくとも一部で懸念されているような実際の有権者と違った「偏った判断がなされる」おそれは少ないだろうことは、今回の結果を見れば言えるだろう。

2)当選者・次点者以外の候補の得票率が高い

模擬選挙では当選者・次点以外の候補への得票が多い傾向があったが、これはいわゆる「泡沫」候補も含めて対等に比較している資料を利用したことと、実際の選挙では「死に票」(落選者への投票)となる投票も、模擬選挙では比較的投票されやすい傾向にあるためだと思われる。
その他、学校での実施と街頭投票での実施なども比較しているので、画像を参照いただければと思う。

senkyo
▲大阪ダブル選の実際の投票結果と模擬投票結果の比較

大阪府のクラーク記念国際高校大阪梅田キャンパスでの実践に関わった環太平洋大准教授の林紀行氏は、「今回の取り組みを通じて、適切な政治教育を行えば、選挙権を18歳に引き下げても、懸念されるような問題は起きないことが明らかとなった。今後は、若年層が政治に積極的に参加する仕組みを構築するためには、どのようなインフラ整備が必要なのかを議論すべきだ」と見解を述べた。

模擬選挙推進ネットワーク事務局長の林大介氏(東洋大助教)は今回の実施と結果をうけて、「来年 7 月からの『18 歳選挙権』を見据え、未来の有権者に対する政治教育の試行として実施した模擬選挙は大阪府市だけではなく他県の未来の有権者も参加しました。政策を考える意義を感じる機会を醸成しつつ、学校や地域で取り組む際の課題も見えてきました。次の本格実施につなげます」と決意を語った。

2016年の本格実施に向けて


今回の企画は、「大阪府知事選・市長選の模擬選挙」という面と、「他自治体の選挙を題材にした模擬選挙」という提案の面がある。今回の実施をうけ、18歳選挙権が実現する2016年に向けて以下の3点に注目したい。

(1) 地方選挙での模擬選挙実施
18歳選挙権時代における主権者教育は、地域のことを知り、政治や社会に参画する意識の醸成をすることを1つの目的としている。そのためには積極的に地方選挙での模擬選挙を検討すべきだ。

(2) 時期を選ばない「実際の選挙期間中」の模擬選挙の実施
他自治体の選挙を題材にした模擬選挙であれば、生徒たちが「投票を体験する」「政策を比較する」という点において、多くの実施のチャンスがある。他自治体の選挙を題材にすることで、模擬選挙の実施時期をある程度自由にできる。実際の選挙期間中でも、他自治体の選挙であることで公職選挙法の制限を超えた「比較的自由な」授業をすることができる。

(3) 18歳選挙権時代の公職選挙法や教育のあり方、選挙管理委員会と教育委員会の連携
「これまでの教育と政治の分断が悪い影響を与えてしまい、生徒の立ち位置に立った政治教育の実施を邪魔している」という感想を、今回の実施をうけて個人的には持った。「主権者教育は教育委」、「選挙啓発は選管」という“縄張り意識”も未来の有権者の意識醸成には不要な壁である。今回の企画は、Yahooみんなの政治や日本青年会議所、ネットメディア、NPOや学生団体、高校生団体などとの連携で実現できた。

そのことは、2016年1月14日に開催する「シティズンシップ推進フォーラム2016」でも先進事例の紹介とともに強調したいと思う。

▽18歳選挙権に向けて、若年層啓発・主権者教育実践事例を学ぶ
「シティズンシップ推進 実践フォーラム2016」

次の社会を担う未来の有権者を育てるのは、社会をいま担っている私たちであり、彼らの立ち位置に立った教育や選挙のあり方が求められている。18歳選挙権と言うが、高校生の政治教育でも遅すぎるくらいだ。いま問題となっている政治不信や政治離れは、若年層が持つ政治への距離感や無力感が根本にある。より多くの政治・社会とのふれあいのなかで、未来の有権者が政治へ参加する意識をこれからも醸成していきたい。

<実施校> 全国で高校:16 校、大学:4 校
【青森県】青森中央学院大学 【東京都】都立高島高校、代々木高等学校(東京本部)、東洋大学
【大阪府】大阪府立旭高等学校(選択授業)、大阪府立北摂つばさ高等学校、クラーク記念国際高校
大阪梅田キャンパス、大阪府立富田林高等学校、高校 5 校/街頭投票(Kids Voting Osaka)
【兵庫県】神戸市立楠高等学校 【滋賀県】近江兄弟社高校 【奈良県】奈良文化高等学校
【岡山県】大学 1 校 【福岡県】久留米大学、久留米市立南筑高等学校 【熊本県】城北高等学校
(*)Kids Voting Osaka:関西近郊の高校生や大学生を中心としたメンバーで社会や政治に目を向けるきっかけをつくることを目的に設立。未成年者を対象に大阪府内で選挙期間中 5 日間に模擬投票を実施。投票所設置、街頭投票、Web 投票を実施し 1069 票(無効票 7 票)を収集した。

早稲田大学マニフェスト研究所 事務局次長 青木 佑一


選挙ドットコム


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月16日の記事『高校生が大人並み?大人が高校生レベル?模擬選挙の結果を比べてみたら…』を転載させていただきました(見出しはアゴラ編集部で改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。


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