関電問題の本質

2019年10月03日 14:00

関電の記者会見から聞こえてきたことは三文ドラマにもならない馬鹿々々しさであります。菓子の下から金貨が出てきたなんて言うのはドラマで医者がもらう話だけかと思っていました。(ゼネコン出身の私の知る世界は菓子箱の下に入る程度の現金では足りませんでしたが。)

2日の記者会見を伝えるANNのニュース:編集部

今回の関電の事件はツッコミどころが満載なのですが、いくつか切り口を考えてみたいと思います。

記者会見の意味

関電が2度目の記者会見で3時間以上も対応し、世間一般が唖然とするような赤裸々な話の裏側とは「死人に口なし」で森山元助役がいかに無理やりそれらを押し付けていたのか、ということを一方的に述べたということでしょう。これで興味の部分を金品の種類や金額、その方法に興味の目線が行き、3時間ドラマを社長が演じ切ったということではないでしょうか?

ずぶずぶの関係はいつから始まったのか、ですが、高浜原発1号機で1979年、放射能を含んだ一次冷却水が大量に漏れるなど重大事故が連続して起きています。当時、3、4号機の準備にかかっていたのですが、世論が猛反対運動を展開、それでも3、4号機が完成、運転にこぎつけたのは森山元助役のおかげとされます。つまり、関電にとって恩義があったわけです。

記者会見だけを見ると無理やり金品を押し付けてきたというヤクザまがいの話になっていますが、本質は関電と森山元助役の不可分の関係がその時以降、生まれていたとも言えないでしょうか?

なぜ辞めない会長、社長

それでも辞任はしないという会長、社長の理由は何でしょうか?収賄で刑事罰を下すのは難しいと記事にありました。それが理由でしょうか?私の直感は会長、社長が辞めればもらった人全員辞めなくては道理に反するということになり、経営幹部がそっくり居なくなるからだとみています。

電力会社の経営は厳しさと同時に激変期を迎えています。9月末で稼働している原発は9基のみで政府の目標を大幅に下回ります。各社様々な工夫を凝らしているものの東電のようにいつまだ立っても柏崎の再稼働にめどが立たないところや九州のように太陽光発電が多すぎて困っているところもあります。需要と供給のバランスがとりにくく安定電力の供給は極めて微妙なバランスの上に成り立っています。

そんな中で関電は原発再稼働という点においては最優秀電力会社であったのですが、今回の経済産業省の怒り方は生半可なものではありません。ではこの責任問題をどう決着付けるのか、でありますが、どこか他の電力会社に吸収合併してもらうという案が出てきてもおかしくないとみています。今や、関電の人事は関電にあらず、という気がします。

個人的には以前から電力会社再編があるべきと思っています。私案は東電と東北電力、中部電力と北陸電力と関電、及び、四国電力+九州電力+中国電力の3グループプラス北海道と沖縄であります。経産省が電力再編をこの機に行えるなら絶好のチャンスと見ます。(東電も東電だから駄目だというイメージがありませんか?新会社に移れば柏崎、動かせる気がします。)

原発誘致の本質的問題

先週の「今週のつぶやき」にも記しましたが、結局、原発の立地が今回の問題の背景にあったことは否めません。関電に限らず原発の立地を決めるには非常に悩ましい、そして文章にすることが憚れるようなこともあります。

基本は産業がないような場所が選ばれるわけでそこに多額のマネーが動くとされます。仮に原発がどこにでも作れるような環境があったなら今回の森山元助役のような「誘致したいんだろう」という心理を逆手に取ったずぶずぶの関係にはなりにくかったはずです。ある意味、原発誘致の話はどこの電力会社もあまりしたがらないと思いますが、それぐらい誘致先を決めるのは困難であったともいえるのでしょう。

今回は原発そのものの問題ではないのですが、世界の趨勢からしても現在の日本に於いて原発に電力源の3割頼る目標は政府の気持ちと裏腹にもはや到達不能になったのではないか、という気がします。

しばらくは関電絡みのニュースが続くことかと思いますが基本は終わった話ですので関電のペースで経済小説仕立てで終わるのか、はたまた業界再編まで行くのか、要注目というところでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月3日の記事より転載させていただきました。

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