「預金課税」についてのQ&A - 磯崎 哲也

2010年02月26日 21:30

銀行預金に課税して「金利がマイナス」になるようにしてはどうかというアイデアを以前のAGORAの記事(「マイナス金利」政策はいかが? )に書いて以来、いろいろご質問やご意見をいただいたので、今回はQ&A形式でそれらにお答えしたいと思います。

(超長文なので、興味のある項目だけご覧頂ければと思います。)


Q1.預金課税とは何か?
A1.週刊エコノミスト誌2002年2月5日号に預金課税の構想を発表したものが当初。
http://www.tez.com/papers/p_2.htm
(跡田直澄教授のコメントはこちら。)
http://www.tez.com/blog/archives/000544/atoda_shinzei.html
前述のアゴラの記事もご参照のこと。
http://agora-web.jp/archives/799199.html

その後、いただいた意見を元にテクニカルな面の構想は若干変化してきているが、現在、私が考える預金課税の仕組みは以下の通り。

(1) 課税の目的
(a) 銀行に集中し過ぎている資金を分散させる。
(b) 分散された資金の一部が実物投資や消費、株式市場、その他の預金以外の金融商品に回ることによって、消費の活性化や資本市場の発達を促す。
(c) 税収の確保を行い、財政支出や国債の償還の助けとする。(国債のクラッシュを先送りさせる。)
(d) 国民の金融資産に対するリテラシーを高め、少子高齢化対応して資産運用のリテラシーの高い社会を目指す。

(2) 課税の根拠
デフレ環境下で預金には実質的な利得が発生しているので、それに対して課税を行う。

(3) 課税方法
銀行預金の元本の平残に一定率の課税を行い、銀行の預金口座から税額を源泉徴収する。
「銀行」の範囲は、ゆうちょ銀行を含む全ての銀行、信金、信組、農協、漁協等。譲渡性預金、外国銀行の国内預金を対象にするべきか要検討。
対象となる「預金」には、国債、地方債、社債やMRF、証券会社の顧客預り金などは含まない。
障害者など「マル優」の対象になる預金には課税しないが、マル優の対象でない高齢者の預金等には課税することを想定。(「弱者」の範囲はマル優に一致させることを想定。1億円貯金がある老人は「弱者」じゃないでしょ、ということで。)

(4) 税率
当初は年2~3%くらい課税してもいいのではと思っていたが、現在は年0.5%くらいの課税を想定。世界にも前例がほとんど無い税制なので当初は様子見のために年0.1%くらいから始めてもいい。年0.5%でも預金が動かないなら→年0.7%→年1.0%と税率を上げてもいいかも知れない。

(5) 税率の変更、変更主体
上記の税率は、技術的に可能な限り頻繁に(半年ごと、できれば毎月)変更できるようにする。
税収は国庫に入るが、税率の決定や変更は日銀が行うのが金融政策との整合性では理論的ではないか。
しかし、憲法等の解釈上、税率を国会以外で決定するのが適切なのかどうか、等について議論する必要がある。ダメなら、年一回国会で決めるということでもいい。

Q2.預金に課税して実質金利がマイナスになったら、みんな預金を引き出してタンス預金にしちゃうはずだ。

A2.この税制が導入されるということになれば、銀行で国債やMRFその他商品が簡単に買えるようにするはず。(すでになっているが、キャンペーンも行われ、ネットバンキングのインターフェイスもより良くなるはず。)
タンス預金には利息がつかず盗難の危険もあるので、合理的な人なら、課税されず盗難リスクも無い国債やMRFに資金を移動するはず。

大量の現金として引き出して財布や自宅に貯めておくのは合理的ではないが、手元に現金があることによって消費が増えることはあっても減ることはないはずで、課税の目的に合う。

Q3.タンス預金にして泥棒が増えて死者が出たらどうする!

A.預金課税が導入されることになれば、施行までに、テレビや新聞などのマスコミで「預金課税対策はどうする?」といった特集が山ほど組まれるはず。
国民の大きな関心事になるし、タンス預金は不合理だということを、ほとんどの人は理解できるだろう。
銀行も、国債やMRFなどの実質元本保証に近い投信等を用意して、セールスをきっちり行うはず。
窓口での説明要員も増やすなど、雇用拡大にもつながる。

金庫を買って自宅に札束を置いておくのは、元本や命を失う可能性も大きいが、金庫や監視カメラなどのセキュリティ用品、警備サービスなどが売れれば消費にはプラス。

窃盗をゼロにするのは不可能。景気を悪化させない(日本の成長にプラスになる)税を導入するのが、窃盗を減らす努力として重要なはず。

Q4.おろした預金を預かる貸金庫業者が繁盛するだけだ!

A.札束を貸金庫に入れても利息はつかない。前述のとおり非合理的な行動だ。
例えば小型の貸金庫が年間18,000円で借りられるとしても、360万円以下しか預金が無い人は、0.5%以上の「マイナス金利」になるのと同じ。

証券会社の預かり口座等の方が、課税もされずはるかに便利。今年は資金決済法も施行されるので、低コストで利便性の高い業者も増えるかも。

仮に貸金庫の利用が増えても、それは消費拡大に繋がり、課税の目的に合う。

Q5.預金に課税なんかしたら海外に資金が逃避してしまう!

A5. 外貨は為替リスクがある。リスクのあるものにシフトする資金はもうとっくにシフトしてるはず。リスクが嫌いだったり考えるのが面倒だからこそ預金になっている。

また、日本人のほとんどは英語を読むのがしんどい。海外の金融機関に預けるには、財務状況を確認したり、カントリーリスクや預金保険が適用されるかどうかを考える必要もある。
それが面倒なので、1%くらいの金利差では、海外へのシフトはほとんど発生しないと考えられる。(これもシフトする資金はとっくにシフトしてるはず。)

もちろん、一部の資金は海外へ投資されるかも知れないが、それは課税の目的にも合っている。「資産運用のリテラシーを高める」のも預金課税の目的。

Q6.期末だけ預金を減らせば、簡単に税逃れが出来てしまう!

A6. 預金課税は申告課税ではなく、銀行が自動的に源泉徴収するもの。自分で計算して納税するわけではない。

また、課税されるのは預金の「平残」(平均残高)。
期末だけ預けても1年分の利息がもらえないのと同様、預金課税も毎日の残高から計算される。

日本には数百万の事業所や法人があるので、消費税や法人税などのように、各法人や個人事業主が計算しないといけないとしたら大変だが、金融機関は日本で最もシステムに強い業種の一つ。利息の計算をするのに平残を計算するプログラムはもうあるはずなので、税額を計算するのも極めて容易。

また、日本に銀行法上の銀行の数は130行程度、農協等まで入れても1300金融機関しかない。(全法人の0.04%くらい)。
非常に徴税効率がいい税金。

Q7.「課税」というネーミングが悪い。「デフレ負担金」とかもっとマイルドな名前にした方が納得が得られやすいのでは?

A7.実質は「税」なので、議論の段階では「課税」という用語にしている。
導入時のネーミングは工夫いただければ。

Q8.おまえは反リフレ派か?

A8.デフレがあまりいいことではないという認識はリフレ派の人と一致。
また、この課税をしたから日銀がマネーベースを増やす効果が減殺されるわけではない。(リフレかどうかに対しては中立。)

しかし、日銀がマネーベースを増やしても、直接には、日銀の「負債(貸方・右側)」が増えて、銀行の資産が国債等から現預金に変わるだけ。

また、経済がインフレになるということは、国や1300の金融機関が決めればそうなるわけではなく、数百万の事業所や1億人の国民が「価格が上がってもしゃーないか」という方向で価格決定に参画する必要がある。(日銀がマネーベースを増やしただけで「うちの商品の価格を上げよう」という意思決定をするわけではない。)

実際にビジネスをしてる人なら、ビジネス上でそんなに簡単に「値上げします」と言えないのはご存知のはず。競争上、他社が値上げしないのに自社だけ値上げするのは無理だし、値上げする理由も必要。

つまり、実際には、銀行の資金が増えるだけでなく、それが企業に貸し出されることが必要だし、さらに企業がその金を設備や先行投資的な消費に使うことが必要。各種財市場で供給が追いつかないほど需要が高まってはじめて「そろそろ、価格上げてもいいかな?」という判断になるはず。

日本の銀行は、おそらく世界で最も厳しい当局に監督されており検査もあるので、甘い審査で貸付をしたら怒られるし、貸し渋っても怒られる。このため、銀行が企業に貸し付けるのをサボっているから企業に資金が出て行かないのではなく、企業が借入れ(デット)の形で資金調達する需要自体が限界だからだと考えられる。つまり、これ以上いくら銀行の資金が増えても、企業にはほとんど出て行かないはず。

このために、他の資金供給のルートである「資本市場」を強化しようというのが預金課税の目的。
実際に事業で何が成功するかはわからない。投資家は銀行と違って様々なタイプがいるので、一社で断られても、別のところがそこへの投資を決めれば資金が供給される。

経済学では「銀行借入で調達しても株式で調達しても同じこと」てなことが言われるが、企業実務では、毎月元利を返済しなければならない銀行借入と、返済期限が無い株式は全く意味が異なる。
銀行借入を返済できなければ企業の破綻に直結するので、企業は銀行借入ではリスクの無い投資(自己資本でリスクの取れる投資)しかできない。

資金の流れを人間の体の循環器系に例えると、大動脈には血液が流れているけど、毛細血管が発達しておらず、血が澱んでいるのが現在の日本。
この「毛細血管」を発達させてやろう、というのが預金課税の中長期的な目的。

ただし、銀行は銀行一行ですべてが完結するのに対して、資本市場は、「人」で成り立っており、企業、投資家、証券会社、情報を提供するベンダー、マスコミ、コンサルタント、アドバイザー、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、格付機関等のいろんな人達が関わる。法律やルールも重要。
このため、まだ「血管」が弱いのに、そこに一気に血液を流し込んでも、血管が破けて内出血したり脳溢血になってしまう。この10年間に発生した資本市場でのドタバタはすべて「毛細血管」が発達する段階で避けて通れなかった現象。まだまだ不十分だが、この10年で「人」はかなり充実してきた。

しかし、例えば日本のベンチャー投資は年間数千億円程度なので、そこに1年で1兆円もの資金が流れ込んでも現場はパンクしてしまう。徐々に継続的に資金を増やしていくことが重要。

継続的に資金がシフトし、マーケットが膨らむのがわかっていれば、優秀な人材が銀行等の他業種から転職してくるはずだし、新しい金融ビジネスでの起業も増えるだろう。

Q9.おまえは財政出動(or縮小)論者か?

A9.預金は約1000兆円あるので、0.5%の税率で5兆円の税収になる。
現在の消費税の約半分の税収。

これを財政拡大に使うのか、国債の償還に使うのかは、国会で決めればいい話。預金課税はどちらにもプラスになる話のはずで中立。

Q10.預金だけではなく、現金や国債、社債等などの全ての金融資産に課税しないとバランスが取れないのでは?

A10.預金課税は「世の中のあらゆる金利をマイナスにすること」が目的ではない。「マイナス金利」とカッコ付きにしてるのは、すべての金利がマイナスになるわけではなく、マイナスにするのは銀行等の預金だけだから。

ケインズはおそらく、企業の借入金利がマイナスになれば借入れが増えるということを言いたかったのではないかと思うが、預金に課税しただけでは企業の借入れ金利は下がらない。課税した金額を企業への補助金に使えば同様の効果が得られるが、それは補助金政策として検討すべき話。

政府や企業の資金調達に税金をかけると、実体経済にマイナスの影響が出る可能性がある。

Q11.銀行の預金も、企業の貸付に使われるんだから敵視する必要はないのでは。

A11.前述のとおり、銀行の資金をこれ以上増やしても、民間企業に資金が出て行かないことが問題。仮に民間企業に無理矢理貸し付ける政策をとったとしても、企業が実物資産や先行投資的消費に使わずに貯め込んでいるだけでは意味が無い。

Q12.金利というのは時間の価値だから、金利がマイナスになるということはすべての価格が歪むということだ。

A12.預金課税は市場金利を操作するものではない。預金の金利が「マイナス」になっても、他の金利水準にはあまり影響を与えないはず。

池田信夫ブログに「実は現代のマクロ経済理論には金融仲介機能は存在しない」とある。私はマクロ経済理論の論文を読み込んでいるわけではないので、実際に存在しないのかどうかはわからないが、確かに初歩的な金融論では、「資金の出し手の金利」=「投資する際の調達金利」とシンプルに考えているようだ。

資金仲介機能が無いだけではなく、先日述べたように、経済理論は、企業や個人についても「貸方(資金調達)」と「借方(資金運用)」を区別して考えていない。
企業に資金が流れても(貸方・右側の増加)、企業が投資(借方・左側)しないと、実際の財市場での価格上昇にはつながらないはずだ。

経済理論と異なり、日本の金利は一つではない。現実の日本では、6ヶ月定期預金の金利が0.06%で、企業に貸し出される金利(短プラ)が1.475%だけ見ても「25倍」もの差があって、バラバラ。
預金の実質金利をいじっても、その他の金融商品の利回りまでが一斉に変化することは考えにくい。(他の金融商品の利回りを低めに保つ効果はありそうだ。)

Q13.預金に課税して「マイナス金利」になると、銀行が資金難で預金の金利を上げ、その分、企業への貸出金利に転嫁されるので、企業は逆に調達コストが上がるのではないか?

A13.消費税が導入・増税されたときに便乗値上げを警戒したように、金利の「便乗値上げ」にも注意しないといけないが、それは大丈夫。
銀行ほど役所の言うことをよく聞く産業はないから。

Q14.預金の課税がいやで消費や投資に資金を回したとする。しかしその資金が入って来た企業はその資金をまた預金するから同じことではないか?

A14.受け取った企業も預金を少しでも減らす努力をする。それが資金の効率を高めるので重要。

Q15.取付け騒ぎが起きるのではないか?

A15. 預金は現在1000兆円以上ある。ここから仮に資金が10兆円流出したとしても1%にしかならない。
大企業はCMS(Cash Management System)を導入して、グループ内で金利の低い預金へ預け入れる額は現在でも必要最小限にしているはずだから、そうした企業では大きな流出があるとは考えにくい。
そうした運用概念やシステムがない大企業や中堅企業については、資金効率をアップさせる効果がある。

個人の預金は現在780兆円程度で国民一人あたり650万円。4人家族だと2600万円の預金があってもよさそうだが、一般庶民は、どこにそんなに預金があるの?という感じのはず。
つまり、預金を含む金融資産の量は高額所得者になるほど多くなり、所得の低い層はほとんど預金が無いというのが実態。

例えば、100万円しか預金を持ってない人は、0.5%の税率で年間5000円(月間416円)の税金しかかからない。
わざわざ他に預金を移しても、送金手数料1回で消えてしまいかねない程度のコストなので、大挙して資金が移動することは考えにくい。

また、例えば私の事務所の某メガバンクの口座はネットバンキング代として毎月5,250円も引かれている。年間で63,000円。
つまり約1200万円以上預金がないと実質「マイナス金利」になる。しかし、多くの法人がこのメガバンクに預金している。

そもそもバブル崩壊後、あれだけ銀行の経営が叩かれ、金利が低下しても、銀行の預金は減るどころか、個人金融資産に占める預金の割合は逆に増えている。(日本人って、どんだけ日本の銀行が好きなんだ?)
バブル崩壊後、今まで何%金利が下がっても銀行預金は増え続けていたのに、あと0.数%金利が実質的に下がるだけで1000兆円もある預金が何十億円も流出するとは考えにくい。

Q16.コツコツ貯蓄してる庶民の預金に課税するのは「弱者」いじめだ!

A16.「年金等の収入が入ってもほとんど支出で消えてしまって、貯蓄がほとんど無い」といった貧しい人は、預金が無いのだからほとんど預金課税の税金はかからない。
例えば、100万円しか貯金が無い人の月間の課税額は、先述の通り、税率年0.5%として年5000円程度。

消費税で同じ5兆円の税収を得るには約2%の税率アップが必要。年収が200万円で、ほとんど全額消費してる人の消費税は年約4万円アップする。
冒頭に述べたとおり、マル優の対象となる障害者等の預金にも課税しない。

つまり、同じ税額を確保するなら預金課税の方が弱者に優しい。

また、弱者も強者も、工夫次第で課税されなくて済むのが、預金課税のいいところだ。

Q17.理屈では理解できても、預金に課税されるのは感情的に受入れがたい。

A17.増税されてハッピーな税金なんてありますか?私だって預金に課税されたら「感情的には」イヤです。
しかし、国債残高が1000兆円にもなろうかというのに、今後も財政は拡大し、増税もしないということでは、いつか財政が破綻するのは明らか。

問題は、今後の増税を消費税、所得税、法人税など、どの税でどれだけ増税するのか、ということ。

消費税は徐々に上げれば消費を増やすなんてことを言う方もいるが、支出できる予算が決まっていれば、買える分量を少なくするしかない。
法人税を増税すれば、法人の国際競争力の低下を招く。

「弱者」にもやさしく「工夫する強者」にも優しい預金課税を組み込んで、他の税金のアップ率を少しでも下げるのが、景気拡大や日本の成長戦略に適合するはず。

Q18.銀行の預金が減れば銀行は国債を放出せざるを得ない。国債の消化はかえって困難になるのではないか?

A18.銀行から流れ出た預金は、本当は株式市場や消費に向かって欲しいところだが、大半の人は銀行で勧められる国債(保護預り)やMRFなど、元本保証に近い商品しか買わないだろう。
MRF等の元本保証に近い商品は、結局、主に国債等で運用している。

Q19.それでは、銀行の国債がMRF等に流れるだけで、実態は何も変わらないではないか。

A19.国民が自分で「考える」ということが重要であり、それが預金課税の目的の一つ。何も考えずに預金しているのは思考停止。
また、少ないかも知れないが、預金から流れ出た資金の一部は、社債や株式、それらを投資対象にする投信、消費等に流れるはず。
(少なくとも、資本市場や消費にマイナスではない。)

Q20.ペイオフ対象の1000万円までは非課税とすべきだ。

A20.ペイオフは預金がゼロ(マイナス▲100.0%)になるかも知れないという話。一方、預金課税は0.数%引かれるだけの話なので、それほど対象から除外する範囲を広げる必要はないはず。

Q21.所得に課税された後の預金に課税するのは二重課税だ。

A21.消費税も所得税で課税された後の消費に課税されるものだし、固定資産税も課税された後の所得で買った資産に課税される。

Q22.財産権の侵害だ

A22.国民の財産を強制的に取るのが税。このためどんな税でも慎重に検討される必要があるが、少なくともデフレ下では預金に利得は発生しており、政策目的もあるので、課税の合理性はある。

Q23.なぜ銀行の預金だけなのか。証券会社の預り金等に課税しないのは不公平だ。

A23. 今の資金は銀行に集中し過ぎ。卵を一つのバスケット(銀行等)に盛っている状態。
銀行は、破綻しそうになれば政府が放っておくわけにはいかない。1000兆円規模の資金を運用しているので、景気が悪化すれば、そのインパクトは銀行を直撃する。1%でも10兆円がシコることになり、それが約130行の銀行を中心とする1300しかない金融機関を直撃する。
リスクをもっと国全体に分散させないと、経済がクラッシュした際に公的資金の投入等に時間がかかり、再び停滞を長引かせる原因になる

銀行は預金の受け入れを断れない。銀行員に「預金欲しく無いの?」と聞いたら「そんなことはございません」と言うに決まっているが、運用先も無いので実際にはもう預金はいらない。
また、前述のとおり、実際には預金者の大部分は、銀行が勧める商品に資金を移すはず。銀行には手数料収入も入る。

Q24.世界でも前例が無い。何が起るかわからない

A24.この税率は機動的に変えられる。課税対象が、少数の金融機関だけだからこそできる。
前述のとおり、0.5%の税率では百兆円単位の資金が銀行預金から流出することにはならないと思うが、万が一起りそうな場合には、税率を下げるなどの措置を行うことにすればいい。

Q25.預金課税というのは共産党や民主党が検討している内部留保への課税と同じではないか?

A25.違う。こちらのブログ記事をご覧いただきたい。
内部留保は企業の資金調達(貸方・右側)であり、預金はその運用(借方・左側)の概念である。
預金を大量に溜め込むのは企業の資金運用として望ましく無いし、預金を預かった銀行からも企業に貸付が流れるわけではない。
しかし内部留保で調達した資金をほとんど設備投資に回している企業にまで課税するのは、投資して社会貢献してる企業を罰することになる。

Q26.政治的に考えて、新しい税を導入するのはハードルが高すぎる。

A26.そのとおり。増税はどんなものであっても政治家のみなさんの政治生命に大きく影響する。しかし、政治家が落選するのがイヤで、いつまでも国民にいい顔をして財政をバラまき増税もしないのでは、早晩国家財政が破綻するのは目にみえている。

(以 上)

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