こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
予算審議も佳境に入って参りましたが、先週の公営企業委員会にて水道局・下水道局に対して行った質疑内容の1つを本日は取り上げたいと思います。
東京都では、都が出資している外郭団体(監理団体)が数多く存在しており、いわゆる「天下り先」となっていたり、特命随意契約による仕事を多く受注している問題点は、これまでも議会内外で何度も指摘をして参りました。
過去記事:
理事の約7割が都庁OBの再就職、指定管理案件の大半を特命受注…次なる改革のターゲットは監理団体(外郭団体)と「天下り」だ!
http://otokitashun.com/blog/daily/13670/
で、水道局・下水道局もそれぞれ、多くの事業を特命随意契約で発注している外郭団体を有しています。
今回は、その外郭団体の株主構成に着目してみました。
結論から申し上げますと、一部の外郭団体の株主構成には疑念があり、是正が必要ではないかと感じています。
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まずは水道局の外郭団体である、東京水道サービス(TSS)です。
半数超を東京都が保有し、他に大手金融機関がずらりと並ぶのですが、2つほど事業会社が名を連ねています。
一方で、もう一つの外郭団体である株式会社PUCの株主構成を見ますと、こんな感じ。
こちらは東京都+金融機関のみで株が保有されており、先ほどのTSSにおける二社がやや異質の存在であることが伺えます。
で、こちらの二社がどんな会社なのかというと、水道管工事で一般的に用いられる「ダクタイル鋳鉄管」の国内における業界1位、2位の製造業者なんですね。
工事を施工する事業者に、材料を供給している会社と言うことができると思います。
一方で、TSSの主な役割の1つは、水道工事の管理・監督です。実際にTSSが発注した水道工事の監視していく立場になります。
となると、
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TSS
↓ 仕事を発注、管理監督
施工業者
↑ 材料を購入、使用
株主になっている二社
—
という構図が発生するわけです。
これをもって一概に、「材料購入の圧力になっているのではないか」と断定できるわけでは勿論ありません。
ただ、TSSの設立当初は問題なかったのかもしれませんが、公金が支出される組織に対する世間の目は日増しに厳しくなっています。
利害関係が発生する事業者が株主となっていることは、「官民癒着」との疑念を招きかねず、やはり今の時代には相応しくないと言えるのではないでしょうか。
さらに下水道局の外郭団体・東京下水道サービス(TGS)の株主構成はもっと直接的です。
この一般社団法人下水道設備設備協会は、下水道関連の事業者24社が加盟した協会です。
この加盟事業者の中には、実際にTGSと取引のある会社も存在しています。
つまり、株主が直接的に利害関係者になっている構図になっているのですね。
こちらはTSS以上に、疑惑を持たれかねない株主構成になっていると言えます。
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もちろん水道局・下水道局ともに
「公正・中立の観点から、ご指摘のような官民癒着が行われる事業環境にはない」
「都に準じた適切な契約手続等を行っており、株主であることに伴う不適切な関係はない」
と答弁しており、そうなのだと思います。「不正がないことを証明せよ!」という悪魔の証明を求めるつもりはありません。
しかしながら先にも述べた通り、外郭団体が設立された当初とは社会情勢も大きく変化しています。
株主に利害関係者がいることで、思わぬ「忖度」が行なわれないか。そうした疑念を持たれないためにも、やはり株主構成は「東京都+金融機関」という形でクリアにしておくことが望ましいのではないでしょうか。
もちろん株ですから、外郭団体側の意思だけですぐ変更できるものではありませんが、この点の改善については引き続き求めていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年3月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。