スパゲッティがほどけ始めた

山田 肇

目的・用途と技術・周波数がスパゲッティのように絡む電波監理』という記事を書いたことがある。記事では「スパゲッティの絡み方を理解できる、電波村に住む特別な人々だけに電波が独占されてきた。」と電波監理を批判した。その電波管理に変化の兆しが現れた。

電波部は今、『無線局免許申請書等に係る目的及び通信事項の区分の見直し(案)』について意見を募集している。案によれば、目的は現在の135が9区分に見直され、通信事項は現在の220が122区分に削減される。この案は、2011年4月8日に閣議決定した「規制・制度改革に係る方針」に対応するものだ。

ネット上で、また行政刷新会議の提言型政策仕分けでスパゲッティを批判してきたが、僕らの主張の方向に電波監理行政が動いたことを素直に評価したい。


今後は、技術の指定の簡素化を検討して欲しい。携帯電話では、大勢の利用者(や機械)が同じ技術で同じ周波数を利用しているが混信は起きない。利用の目的は、業務連絡のため、恋人と話をするため、自動販売機が在庫を自動通知するためと、まちまちであるにもかかわらず。同様に、異なる目的・通信事項であっても同じデジタル技術が利用できる可能性がある。技術の指定の簡素化によって専用無線が汎用無線化されていけば、電波はよりいっそう有効利用される。

同時に、周波数割当計画についても見直すべきだ。急がれるのはテレビ帯ホワイトスペースの利用である。先般の記事にも書いたように、電波部はエリアワンセグで覆い尽くそうとしているが、アメリカではWiFiへの活用が進んでいる。スマートフォンの普及と電波資源のひっ迫への対応としてはアメリカの方が正しいし、産業競争力にも資するものだ。

情報通信政策フォーラムでは、4月12日にアメリカ在住のITジャーナリスト小池良次さんをお迎えして、アメリカ電波政策の動向について、ホワイトスペースの活用を中心にお話しいただくことにした。

山田肇 -東洋大学経済学部-