私の近著『世界のニュースを日本人は何も知らない5』でも解説していますが、外国人は滞在国や訪問国の人の本音を読み取ることがなかなかできません。
海外に憧れすぎている人の中には「海外では日本より自由に意見が言え、個人主義が強い」と固く信じている人がいます。
しかし実際に海外で長く働いてみると、それがまったくの誤解でありむしろ大きな落とし穴だということがよくわかります。
本音がはっきりしない部分は、実はアメリカだけではなく、歴史がさらに長いイギリスやフランスで、イタリアだとその傾向がさらに強まります。
欧州の場合は各国ごと、地域ごとの遠回しな言い方、空気感、行間の読み方があるので、その都度癖を学習し、現地に合わせていかなければなりません。
イギリスの場合は欧州大陸よりは金が絡むと若干直球な部分があります。ドイツやオランダ、東欧圏は比較的直球なところがあり、空気を読まない部分もありますが、それでも日本よりも空気を読ませるところがあります。
フランスはかなり難しく、意外と本音を言わない人々です。これがビジネスの場だけではなく、普段の生活やお店などでも同じなので結構難しいわけです。
イタリアやスペインはもうちょっと直球系ですが、特にイタリアの場合は言い方にエレガンスが重要だったりします。喋り言葉、書き言葉も、最初に結論を言わず、まずは美しい言葉で膨らませ、詩のように語ってから最後に本題を述べる。そういう技術が重要で、それができるかできないかが、その人の「知性」を表すと考えられています。
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