先月の都知事選ではいくつか驚くようなことがありました。
元安芸高田市長の石丸伸二氏が2位に、AIエンジニア・起業家ですが世間では完全に無名な安野貴博氏が5位に、ネット民にしか知名度がなく素顔と本名さえ不明瞭だった暇空茜氏が7位に入ったということです。
この3名の人気は、日本社会の流れの変化を象徴しています。つまり持たざる層が日本社会に対して大変な怒りを感じているということです。
私の新作書籍『世界のニュースを日本人は何も知らない5』でも解説していますが、日本社会の流れは変化してきています。
安野貴博氏も石丸氏と方向性は違いますが、上の世代に対抗するキャラクターです。
テクノロジーや知性で古い世代の間違った方向を正していき、AIで日本を効率化して活性化していくというわけです。
スマホ世代には受ける主張が多いのです。それだけ日本がテクノロジーの面では遅れており何とかしなければいけないと思っている人は多いのでしょう。
さらに暇空茜氏の人気は最も注目するべきことです。
私は実は暇空茜氏をかなり前からXで見ているわけですが、東京都などに詳しい情報公開を要求し入手した資料を使って公金の不正な使用を徹底的に洗っている人です。
日本だとあまりこういうことをする人がいませんが、北米や欧州北部では政府の情報公開を要求して、政策の実績評価や不正使用を洗い出す一般の人が結構います。
従って暇空茜氏の活動は海外の感覚だと全く過激ではありません。そしてその活動が丹念にXやnoteで公開され、大手メディアへの露出や組織の後ろ盾なしに10万票を超える票を獲得したというのは大変なことです。
つまり選挙において主要メディアよりもネットの方が効果が高いということが明らかになってしまったわけです。
さらに暇空茜氏がこれだけの支援を得るということは公金の不正支出や効果がないと思われる政策や団体への公金投入に怒っている有権者が相当数いるということです。しかし分かっていないのは日本政府や自治体です。
生活が苦しい人が多いので政府や自治体が税金を無駄遣いすることを許さんという人が以前よりも多いのです。
特にそこで注目するべきなのは独身の中年以上の男性や氷河期の人々、若い男性です。
これまで公金の使われ方や政治に興味を持っていなかった人々の意識がかなり変わり始めているということでしょう。しかし自民党や地方自治体はこの層の人々をこれまで無視してきました。自民党だけではなく野党も同じです。
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