公明が石破・小泉と同条件で高市と組めないのは当然だ

高市氏はおかしなことは言っていなかったが、応援団による連立相手の公明党に対する暴言の数々を抑えようとしなかった以上、そのコストを払うしかない。公明党関係者がそれを我慢できないと考えたとしても責められない。安倍総理があれだけ大事にして安定政権の基礎とした公明党との信頼関係を足蹴にした人たちは、安倍氏にどういうお詫びをするのだろうか。

公明党が政治資金問題での不一致を理由に連立を解消したことについて、小泉総裁であればそんな厳しい条件を突きつけなかったのに卑怯だという人がいる。だが、それは間違っている。

私も公明党も、ここに至る経緯をきっちり説明すべきだと思う。しかし、政治資金問題で高市総裁に突きつけたハードルが、石破時代や小泉総裁の場合に比べて高くても何も不思議ではない。

自公連立政権は解消を「大変残念に思う」と述べる高市総裁 自民党HPより

高市氏と公明党のややぎくしゃくした関係の歴史を私はよく知っているが、少なくとも最近においては、高市氏自身がそれほど困ったことを言ったわけではない。

ただ、応援団の人たちによる公明党、創価学会への罵詈雑言は聞くに堪えないものだった。とくに、あたかも公明党が中国の代弁者であるかのような物言いは、連立を組む公党に対して失礼極まるものだったし、「公明党のほうから連立を解消してくれるのなら歓迎だ」などという声も多かった。

それに対して高市氏は厳しく制止せず、ネトウヨたちだけでなく応援団長的な人たちのそうした発言を放置していた。それはいかにも危険だったし、私もそれを指摘していた。それどころか、「高市氏はさしあたっては公明党と連立を組むが、いずれ解消するつもりだ」などという側近もいた。

また、斉藤鉄夫代表も、高市氏が総裁になった場合には連立交渉が難航する可能性を予告していた。

そういう状況で、公明党が石破時代や小泉氏が総裁になった場合よりも明確なかたちで、政治資金問題への厳しい取り組みを要求しても何も不自然ではない。

そして昨日、公明党の内部で一日がかりの厳しい議論が行われ、政治資金問題で意見が一致しなければ連立を解消すべきということで斉藤代表に一任されたことも、高市氏は知っていた。その状況で、公明党の要求を丸呑みするために役員会を開くわけでもなく、会談の延期を要請するわけでもなく、漫然と会談して「来週まで待ってくれ」では、斉藤代表も「わかりました」とは言えなかった。

高市氏がどういうニュアンスで「待ってくれ」と言ったかは分からないが、斉藤氏としては、来週まで待って受け入れられないと言われてはたまったものではない。私が高市氏なら、「総裁の椅子と引き換えに党内の意見集約をする。約束が守られなかったら総裁を辞退する」とでも言ったと思う。

公明党が政権から離脱した以上、衆議院を解散したほうがよい。その結果がどうであれ、総選挙後の衆議院の構成は民意である。その民意を見て新しい政権を構成すればよい。しばらく石破政権が続くのは困るが、仕方がない。

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