
(前回:佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑤:20年固定で支払い続ける見えないコスト)
本年1月10日未明、佐倉市臼井台の県道64号線において、歩行者が車と衝突し死亡する事故が発生した。
さらにその三日後の1月13日夕刻、同じ県道64号線と市道が交わる変則五差路において、車両同士の玉突き事故が発生した。警察によれば、この事故も人身事故だ。
二つの事故現場は直線距離でおよそ50メートル程度しか離れていない。
県道64号線は、歩道幅が狭く、カーブが連続し見通しも悪いことから、地域住民の間では以前から危険性が指摘されてきた路線である。私自身も、同路線の安全対策については過去の一般質問で繰り返し取り上げ、改善を求めてきた経緯がある。
観光政策において、交通と安全は集客計画そのものであり、観光体験の質と地域生活の両方を左右する最も基礎的なインフラである。
あいまいな数値をもとにした積算ではあるが、市が来場者47万人を想定した以上、どこから、どのような交通手段で、どのルートを通って来場し、どこで滞留し、どのように帰るのかを、事前に設計しておくのが行政の責務である。
交通量調査が行われていない
令和7年6月10日、木崎俊行議員は、ふるさと広場催事時および通年型施設化後の交通量予測について問いただした。これに対する市の答弁は明確だった。
「交通量の調査は実施していない」
47万人の集客を想定しながら、その影響を受ける周辺道路の実測データが存在しないという事実は、行政計画として致命的である。
なお、拡張整備前である現在でも、ふるさと広場のイベント時には、当広場への主要アクセス経路である水道道路、県道64号線は厳しい交通渋滞が続き、臼井地区、角来地区の住民は家から出られないほどの状況が、すでに現出している。その現状を顧みることなく、当広場の拡張整備と広場での通年型イベントを実施することになれば、渋滞はさらに重篤なものとなるだろう。
交通分担の設計が存在しない
令和7年12月4日、私は来場者47万人について、交通手段別の分担率を質問した。
これに対し都市部長は、
「ほとんどが普通車による来場と想定している」
と答弁した。普通車の来場が多いと想定しているにもかかわらず、地域の渋滞に対する改善策がないことは重大な問題だが、さらに
- 徒歩・自転車
- 公共交通
- 観光バス
といった手段の分担割合が設計されていないことも、この答弁から明らかになった。
このような極めて粗い見通しは、交通政策ではなく、前提放棄の姿勢にしか思えない。
駅から広場までの安全動線が設計されていない
さらに私は、京成臼井駅からふるさと広場までのルートについて、
- 歩道幅
- 交差点安全
- すれ違い空間
- 観光ピーク時の交通処理
の観点から調査の有無を問うた。
市は「電動モビリティの実証実験は行った」と答えたが、歩行者動線としての安全性やピーク時の処理能力を含む計画としての整理は行われていない。
京成臼井駅から広場までの道には、臼井城址や雷電の菩提寺など、観光資源が点在している。 本来であれば、これらを回遊動線として組み込み、地域交通と観光を一体で設計するべきだ。しかし、その視点は計画から完全に抜け落ちている。地域の交通安全がはかられていない中にあっては、仕方がないことかもしれない。
県道64号線は計画にも制度にも位置づけられていない
さらに決定的なのが、主要アクセス路の一つである県道64号線である。
先のとおり、この道路では本年1月10日に死亡事故が発生している。
この道路について、私は一般質問において、歩行空間拡幅、無電柱化、バリアフリー化などの中長期的な整備方針が、都市計画・道路行政上のいずれの計画に位置づけられているのかを質した。
これに対し市は、
「県道64号及び周辺生活道路の拡幅等につきましては、市の各種計画への具体的な位置づけはございません」
「市独自の制度につきましては、直接の予定はございません」
「(県に確認したところ)歩道や右折車線の具体的な計画はないということでございます」
と答弁している。
一方で、市は来場者47万人の算定について、
「そのほとんどが普通車による来場であると想定し、算出している」
とも答えている。
危険性が指摘され、実際に死亡事故も発生している主要アクセス路について、具体的な整備計画も制度も存在しないまま、47万人の集客だけが先行している。
これは、交通と安全を「計画の外」に置いたまま観光開発を進めているに等しい。
結論:安全は「検討事項」で止まっている
整理すると、
| 項目 | 状況 |
| 交通量実測 | 実施されていない |
| 交通分担設計 | 資料化されていない |
| 歩行者動線設計 | 計画として整理・公表されていない |
| 主要道路整備計画 | 未位置づけ |
| 地域安全体制 | 制度化・運用計画が示されていない |
これは、整備が間に合う計画ではなく、計画に整備が追いついていない状態である。
交通と安全という基礎条件が欠落したまま集客を語ることは、市民生活と観光の双方に対してあまりにも無責任である。
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