イランの最高指導者・ハメネイ師を精密誘導ミサイルで、米国とイスラエル軍が斬首した作戦で思ったのは、日本の場合、首相官邸・公邸、戦時態勢下の指揮部門は外部からの攻撃をどの程度防げるかという問題です。
首相官邸の地下一階には、危機管理センターがあり、震災や災害を含め、軍事的有事の際の指揮を執ることになっており、内閣府庁舎と地下通路でつながっているそうです。
イラン戦争、中東動乱で現実味を帯びてきたミサイルの撃ち合い、核攻撃の対象に日本が巻き込まれれば、わずか地下一階の施設は一瞬にして精密誘導ミサイルに破壊されるでしょう。首相が居住する公邸も、退避場所が用意されているのかも不明です。

Moeru Matsunoo/iStock
飽和ミサイル攻撃を防ぎきれない
日本の迎撃ミサイル体制は国際的にみて極めて脆弱です。大雑把にいえば国外からのミサイル攻撃に対し、「まず海上自衛隊のイージス艦が迎撃ミサイルを発射し、大気圏外で破壊する」、「撃ち漏らしたら地上部隊のPAC3で迎撃する」、「市ヶ谷の高射部隊は官邸、首都を守る」ことになっています。
おとりを含め、多数のミサイルの攻撃(飽和攻撃というらしい)を受けたら防ぎきれるものなのでしょうか。無理でしょう。
わたしは少なくとも、戦時の指揮系統と首相官邸には強固な地下シェルター化が必要で、多数の人数が長期間こもれる施設が必要だと思ってきました。たった地下一階程度の危機管理センターはいかにも脆弱です。
防衛省は4、5階が地下施設になっており、戦時の際の指揮系統を守れるそうです。政権中枢も移動できるのでしょうか。立川の広域防災基地(米軍立川基地の跡地)も戦時の際は代替拠点になるとか。緊急時に迅速に官邸から大量の人間が移動できるのか不安になります。
外部勢力はこうした日本の弱点を知っていますから、まず日本の政治・防衛の中枢機能をマヒさせる作戦にでるでしょう。
強固な地下シェルター、地下施設が世界の常識
海外の防御体制をChatGPTやグーグルAIに聞くと、ハメネイ師を殺害されたイランでも、地下要塞、山岳司令部があります。ハメネイ師は殉死を覚悟し、国民を奮い立たせる方を選び、退避しなかったと言われています。
米国は核戦争を想定した地下司令部「NORAD(北米航空宇宙防御司令部)」(コロラド州)を設けています。「地下数十~数百m、数週間~数か月の自給が可能。いわゆる「代替司令部」だそうです。
東西冷戦でソ連を警戒していた欧州諸国も強靭な防御体制を以前から敷いています。「ドイツは山岳地帯やライン川沿いに17kmに及ぶ地下施設があり、戦時には政府、議会、軍司令部など3000人を収容できる」、「フランスは大統領府の地下に核戦争に備えた作戦指揮施設がある」、「英国はロンドンの中心部地下30mに代替司令部があり、数百人が長期滞在できる」そうです。
「中国は地下の万里の長城の異名を持つ巨大な地下施設が存在する」など他国の体制と比べ、日本は異質の国です。
米国に促されて日本はGDP比で2%、さらに3%へと防衛費を増やし、米国から大量の高額な兵器を輸入します。いくら防衛費を増やしても、政権や自衛隊の指揮系統が破壊されれば、巨額の防衛費は無に帰します。自衛隊の地下シェルター化を進めてはいます。散発的な反撃はするのでしょうか。
数km圏内に集中する日本の中枢部の弱点
さらに日本の重大な弱点は、「官邸、公邸、危機管理センター、議会、議員宿舎、防衛省を含む各官庁など国家の中枢が狭い永田町の一角、数km圏に集中し、極めてリスクの高い配置になっている。集中攻撃を受けたら日本はマヒする」ところにあります。
近く開かれる日米首相会談に向け、高市首相は米ミサイル防衛構想への参加を伝えるとの報道(読売新聞)があります。ミサイル防衛に脆弱な日本がそこに参加すれば、海外からミサイル攻撃の対象に日本は置かれることを意味します。「そういう危機意識が薄い日本は大丈夫なのだろうか」、「勇ましい発言が多い高市首相はどう考えているのだろうか」と思います。
政府の継続性と国家中枢機能の防衛は一体
安全保障用語では「政府の継続性と国家中枢機能の死守を一体で考えるべきだ」、「戦時の代替政府を想定した体制が必要」となるとされます。
イラン戦争は長期化する情勢です。国会では予算の年度内成立、消費税減税の財源問題、原油高騰対策などで議論が伯仲しています。世界的視野に立ち、日本の脆弱な数々の弱点を国会で審議しなければならない時なのです。
編集部より:この記事は中村仁氏のnote(2026年3月13日の記事)を転載させていただきました。オリジナルをお読みになりたい方は中村仁氏のnoteをご覧ください。







コメント