皇位継承についての国会の総意がまとまったが、制度についても現実に起きる状況を理解しないままでの議論が横行し、残念な限りである。
私もこの問題に長年関わってきたし、今回も与野党で良い合意に至るように、いろんな人と長時間話し合い、制度の細部について、現実的な妥当性が取れないことにならないように調整してきた立場から、きちんと説明しておきたいと思う。
旧宮家からの養子については、明日扱うことにして、今回は女性皇族が単独で皇室に残留できるようにしたことについて、その真意と具体的な制度設計を説明したいと思う。また、この問題については、すでに紹介したことがある、『【皇位継承問題】旧皇族復帰か女性宮家か?ついに方針決定の「皇位継承」の裏舞台とは?』の続編として、『【皇室のご結婚】佳子さま愛子さまのご結婚事情 悠仁さまのお相手に必要な条件を八幡視点で大胆激白!』という動画が公表されているので、ぜひともご覧いただきたい。
予備知識のない方を前提として、深田さんの女子トークとしての突っ込みで本音が分かる内容になっている。
現行制度では結婚の選択肢が狭い
反対派は、今回の制度で愛子さまや佳子さまの結婚がやりにくくなるとかいうデマを飛ばしている。しかし、実は現在の制度とか、一部の人が主張する女性宮家を創設してお婿さんを迎え、結婚相手も皇族とするといった制度では、愛子さまや佳子さまは結婚できなくなりそうなのである。

愛子内親王 宮内庁インスタグラムより

佳子内親王 Wikipediaより
現在の制度では、愛子さまや佳子さまは、一生独身でいるか、1億5000万円ほどの一時金をもらって皇室と縁を切るかの二者択一である。後者を選ぶと、公務はできなくなるし、皇族の個人財産はそれほど多くないから、将来の遺産相続は期待できず、持参金だけもらってそれっきりになる。
しかも、内親王をいわゆる名家がお迎えするなら、それなりの住まいを提供しなくてはならないし、社交を含む贅沢な生活もさせなくてはならない。昭和天皇の4人の皇女は、戦中から戦争直後だったので東久邇宮・鷹司家・池田家・島津家に嫁がれたが、島津家を除くと経済的にかなり厳しかったのである。
黒田清子さまは、難航の末に36歳の時に、兄の秋篠宮さまの同級生である東京都職員と結婚され、幸福に暮らしておられるが、お子さまがおられたら、経済的になかなか大変だったようにもみえる。
皇族女子の結婚が難しくなった背景
三笠宮家では、初代の崇仁親王の娘である甯子さまは近衛家という伝統的な嫁ぎ先だったが、次女の容子さまは裏千家に嫁がれた。お相手は旧華族ではなかったから、当時としては画期的な相手だった。
崇仁親王の孫世代になると、三笠宮家の彬子さま(44歳)と瑤子さま(42歳)、それに高円宮家の承子さま(40歳)は独身のままである。結婚すると、両宮家が将来廃止になるというのも躊躇される理由とみられる。

彬子女王 Wikipediaより

瑤子女王 Wikipediaより

承子女王 Wikipediaより
次女の典子さまは、出雲大社の神職と結ばれたが、必ずしも居心地の良い環境とはいえないようにみえる。そして、三女の絢子さまは日本郵船のサラリーマンと結婚して、眞子さま騒動のころ「パーフェクト婚」といわれた。

絢子女王 Wikipediaより
夫の守谷氏の父親は私の経済産業省時代の同僚で、ごく普通の官僚である。これまでの皇族女子の結婚相手とは違った。それでも、小室圭氏と眞子さまの結婚が話題になっていたときだけに、それよりずっといいというので、「パーフェクト婚」と歓迎された。
その後も3児に恵まれ順調のようだが、これには、もともと絢子さまが千葉県東金市の城西国際大学に通われ、下宿共同生活も経験された庶民性も理由だろうし、佳子さまや愛子さまが同様の相手とうまくいく理由にはならない。
名家に嫁ぐことの現実的な負担
佳子さまや愛子さまについても、従来の皇族を離れるとなると相手探しはなかなか難しい。たとえば、佳子さまのお相手として、島津玉里家(本家でなく久光を初代とする公爵家)の子息が話題になったが、なかなか難しそうだといわれた。
もし島津家のような名家が内親王を受け入れるとなると、住居もそれなりのものを用意しなくてはならないだろうし、普段の生活も社交生活もそれなりのものを期待される。となると、島津家として住まいを別にしても、相当な支出を覚悟しなくてはならないが、旧華族でそんな負担ができる家は少ないのである。
また、裏千家のように仕事の内容として皇族女子を迎え入れるメリットがある場合はいいが、普通のオーナー社長にとってそれほどメリットがあるとは思えない。さらに、一般に皇族女子は、キャリアウーマンとして高収入を得られるような育てられ方をしていないから、ダブルインカムで贅沢をというのも難しそうである。
愛子さまの場合は、知らない人とのお付き合いは苦手で、大学にも3年間はほぼ通学ゼロだし、現在の職場も多くの人と交流するという性質のものではないし、お出かけも両親と一緒が多い方であるので、なかなかハードルが高いだろう。
女性宮家案にも高いハードルがある
それなら、佳子さまや愛子さまが女性宮家を創設して、相手も皇族になるということになると、まず、男性の方からいえば名字も変えて婿養子になることを意味する。男性の親も息子と普通の親子関係を維持できなくなるし、仕事も辞めることになる。
当然、初の民間人出身の男性殿下であるから、家系的にも本人の資質についても、かなりハードルは高いとみられるし、結婚に当たっては、皇室会議の許可も必要になる。
そうなると、相手がみつかるかはかなり疑問だし、逆に結婚して皇族になりたいというような男性もその実家もかなりの野心家ということになり、皇室に迷惑をかける可能性も心配である。
欧州王室でも結婚相手をめぐる問題は多い
ヨーロッパにおける女性王族の結婚相手も、最近は貴族ですらない人が多いが、なかなか問題が多いのである。スペインでは、国王の姉妹が1人は貴族、もう1人はハンドボール選手と結婚したが、ともに離婚した。
スウェーデンでは女性皇太子がスポーツジムの経営者と恋に落ち、すったもんだしたが、女王の夫としての教育を受けさせて、なんとか合格ということで結婚した。
ベルギーでは、現国王の妹は聡明で女王にしたいという声もあったが、歴史的に敵対関係にあるハプスブルク家の男性と結婚したことで、かえって、即位の可能性を誰も言わなくなったのがけがの功名である。ノルウェーでは国王の長子である長女がアフリカ系の霊媒師と結婚して国民を困らせている。
本人のみ皇族という制度の利点
そんななかで、今回創設される制度では、佳子さまや愛子さまは、皇族としての身分を維持し、おそらく年間3000万円ほどの皇族費(いわば給料。無税)をもらえ、赤坂御用地の中も含めて都心に一戸建ての邸宅をもらえて住める。
結婚相手は、自分の名字も維持でき、子供に家を継がせることが可能で、仕事も続けられる。赤坂御用地に夫も住めるのかという人もいるが、それも含めて女性国会議員の夫と同じで、反社会的なことをしない限りは許される。
こういう枠組みだと、男性の実家が豊かである必要はないので、ごく普通のエリート・サラリーマンとか、研究者、医者、弁護士、企業経営者など何でもいい。私の意見としては、官僚だと内親王の夫に向いた処遇を自由に決められるし、とくに外交官など佳子さまや愛子さまに皇室外交を担ってもらうためにも好都合になると思って推したい。
そうなれば、男性からみて、3000万円の年収があり、住まいは提供してもらえ、婿養子でもないという単純においしい縁談になるのだから、現在のような皇室離脱とか、女性宮家のような敷居の高い話でもなくなるので、お二人が良縁を見つけやすくなる。
愛子さまと佳子さまを支える制度
愛子さまは皇女として両陛下をお側で支えられるし、佳子さまは悠仁さまを姉として支えられるので、まことに安心である。逆にいえば、美智子さまに近い人は、そういう制度が清子さまのときにあったら、美智子さまも清子さまもずっとお幸せだったのにという。
陛下が新しい制度について国民の理解を願われたのは、こんな嬉しい制度だからで、旧宮家からの養子についてだという理由はないのである。
なお、賀陽家や東久邇家の男子と愛子さまをくっつけるべきとかいう、人権無視の発想には反対である。一般的に近親婚は避けたいし、何十人も母数があれば別だが、ごく限られた数人の中から選べというのはグロテスクである。
夫婦間で身分が違うとやりにくいという人がいるが、国際結婚なら家族の中で国籍も一緒ではない。それに比べたら、なんという問題でもないのである。
女系天皇論とは別の制度整備
愛子天皇とか、女系天皇の可能性については、もともと皇位継承順位を変えるなら、ヨーロッパの常識でも、悠仁さまの誕生前にするべきだったし、2017年の皇位継承についての法律改正がされたときに、わざわざ、秋篠宮殿下が立皇嗣礼をし、壺切御剣の親授という神事まですることを決めているのだから、政治家でもそんな主張をする人はほとんどいない。
ただ、悠仁さまに男子がいない場合に、旧宮家か女系かどちらからとるかは、将来の世代が決めたらいいことであって、今回はその問題に決着をつけるものではない。ただ、旧宮家からの養子と、佳子さま、愛子さまの皇室残留によって、どちらの可能性についてもバランスよく環境を整備しようということなのである。
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