ローマ教皇レオ14世訪仏の歴史的成功と宗教復興の気運

ローマ教皇レオ14世のフランス訪問が空前の大成功だったと評判で、世界における宗教復興の機会になることが期待されている。

日程は以下のようなものだった。

パリで国家元首として歓迎されたレオ14世

9月25日(金)パリ

午前、ローマからパリへ到着。空港で正式な歓迎を受け、エリゼ宮でマクロン大統領夫妻と会談。その後、政府・外交団・市民社会代表を前に演説した。

首脳会談では、ウクライナ戦争、中東和平、アフリカとの関係、気候変動、AI・人工知能の国際的規制、多国間主義などがテーマだった。

午後はユネスコ本部を訪れた。ここでは、AI、教育、人間の尊厳、多国間協力などについて演説した。トランプ政権がユネスコや多国間機構に批判的なのとは対照的で、レオ14世が「国際機関を通じた秩序」を重視する姿勢を示したものと受け止められている。

そして、アンバリッド周辺からパリ市内をパパモービルで巡回し、修復が終わったノートルダム大聖堂を訪れて祈りをささげ、サン=ドニのスタッド・ド・フランス(ワールドカップ主会場)で、約8万人の若者が参加したミサを行った。『ル・モンド』は、若者たちが教皇を「ロックスターのように」迎えたと表現している。

ローマ教皇レオ14世 インスタグラムより

コンコルド広場からルルドへ

9月26日(土)パリ → ルルド

午前は、移民・難民支援施設のMaison Bakhitaを訪問。

続いてパリ・カトリック学院で、洗礼志願者や新受洗者などと会談した。

そして今回最大の行事がコンコルド広場―シャンゼリゼ大ミサだった。午後3時にコンコルド広場に祭壇を設け、凱旋門方向までシャンゼリゼを事実上巨大な礼拝空間にした。事前登録は約60万人だったが、バチカン側発表では約80万人に達した。教皇は凱旋門から広場までオープンカーでパレードし、ミサが始まった。

その後、オルリー空港から南西フランス・ピレネー地方のルルドへ移動し、19時40分ごろ、マッサビエルの洞窟で祈った。

9月27日(日)ルルド

午前9時、フランス司教団と会談。

午前11時、ルルドの大草原でミサ。約15万人が参加した。

午後は病者やボランティアと会い、教会関係者による性的虐待の被害者との非公開会談を行った。

7人との面会が予定されていたが、実際には約2時間にわたって被害者の話を聞き、「この悪が繰り返されないよう取り組む」という趣旨を表明した。安楽死などに対する慎重な姿勢も表明された。夜はルルド名物のロザリオと松明行列だった。

つまり、ここでは信仰・病者・虐待問題の1日だった。

欧州統合の象徴・メスで締めくくる

9月28日(月)メス(ロレーヌ地方)

ここはフランスとドイツの係争地で、「欧州統合の父」の1人、ロベール・シューマンの故郷である。

午前には宗教間対話、その後、「欧州の根源へ――平和と統一のために」という会議でレオ14世が演説した。ここにはマクロン大統領や欧州各国の要人、モナコ大公夫妻なども招待された。午後には市内をパパモービルで回り、16時にメス大聖堂でミサ、19時ごろローマへ帰国した。

この訪問は、ジャン=マルク・アヴリーヌ枢機卿(マルセイユ大司教・フランス司教協議会会長)が、予定されていたペルー訪問が延期されたのをチャンスとして捉えたものだ。

フランス司教団が教皇訪問を強く希望し、教皇が了承し、フランス政府が国家元首として正式招待したものだ。

マクロンは、ノートルダムの修復工事を自ら教皇に案内したいと提案したのだが、これはあまりにも政治的だとして教皇は断った。また、コンコルド広場でのミサには、マクロンは政教分離を気にして欠席した。

しかし28日のメスでは、マクロンが当初の予定を変更してミサにも出席した。

宗教復興を印象づけた訪仏の成功

今回の成功について、『ル・モンド』は教皇を静かで人をまとめる人物(“pape tranquille et rassembleur”)として好意的に評価している。フランシスコのような即興型ではない落ち着いた話し方、穏健な政治メッセージなどによって、反発を招かないことに成功している。フランス社会の分断が深まる中で、宗教の有用性が認識され始めているということかと思う。

また、会場を単に多くの人が集まれるというだけでなく、コンコルド広場やシャンゼリゼ通り、ノートルダム、フランス第一の聖地であるルルド、そして、かつてドイツ領だったメスという国家的に重要な場所に選んだことが、フランス国家とカトリックの長い歴史を思い起こさせることに成功する武器になったと思う。

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