イスラエルに住むアラブ人の地位とパレスティナの未来

イスラエルのアラブ人と参政権

イスラエル総選挙でアラブ人政党が大躍進し、120議席のうち19議席を獲得しそうだ。これを機会に、『国家の興亡史からわかる現代地政学――西欧の衰退』(さくら書房)をもとに、イスラエルに住むアラブ人の地位とパレスティナ国家の未来について考えてみたい。

イスラエルの住民のうちアラブ人は217.3万人。原則として参政権がある。ただし、そのうち東エルサレムの住民でイスラエル国籍を取得していない35~36万人には参政権がない。したがって、イスラエルの参政権をもつユダヤ人が782.8万人、アラブ人が182万人で、アラブ人の比率は18.9%である。従来は参政権行使に消極的だったアラブ人が今回の選挙では多く投票した結果、15.8%と、参政権をもつ人口に占めるアラブ人の比率に近い政治勢力となったということだ。

日本人には、パレスティナ人にはまったく参政権が与えられていないと思っている人が多いようだ。だから、今回のニュースを見て、イスラエルはフェアだと勘違いする人も出る。

しかし、これは大きな間違いだ。

与党リクードを率いるネタニヤフ首相 同首相インスタグラムより

イスラエル建国とパレスティナ難民の発生

1947年の段階でユダヤ人国家予定地には約50万人ずつのユダヤ人とアラブ人がいた。ただ、イスラエルの建国によって多くは逃げ出した(あるいは土地などを奪われて居場所を失った)ので、1949年には16万人まで減った。それが自然増などで217万人になっているのである。

パレスティナ の地図

また、エルサレムにはユダヤ人とアラブ人が約10万人ずついた。一方、アラブ人国家予定地にはアラブ人が72.5万人、ユダヤ人が1万人いた。

ところが、第一次中東戦争の結果、エルサレムには18.5万人が流入して32.8万人に、サラリア地区(ヨルダン川西岸北部)には12.5万人が流入して35.8万人に、ガザ地区には20.0万人が流入して94.5万人の人口になった。

また、ヨルダンに7万人、レバノンに10万人、シリアに7.5万人、エジプトに0.7万人、イラクに0.4万人の難民が流れた。このうちヨルダンについては、かなりの難民が国籍を取得した。

世界に広がるパレスティナ人と人口構成の変化

そして、パレスティナ中央統計局(PCBS)の2025年末推計によると、世界のパレスティナ人は約1,549万~1,550万人である。ヨルダン川西岸(東エルサレムを含む)に343万人、ガザ地区に213万人、イスラエル領内に186万人、域外のパレスティナ人は808万人である。

つまり、イスラエルを含むパレスティナ全域では、ユダヤ人782.8万人、パレスティナ人742万人で、人口増加率を考えると、いずれパレスティナ人が優位になるし、海外の難民が帰還すれば、いまでもパレスティナ人のほうが多数派である。

二国家共存か、単一のパレスティナ国家か

こういう観点からすれば、イスラエルとパレスティナ国家の共存案は、イスラエルにとって長い目で見てとても有利な解決策なのである。

もし、どうしてもイスラエルが二国家案を拒否するなら、単一の汎民族的なパレスティナ国家を樹立して自由選挙をすればいいのであって、結局のところ、ユダヤ人は南アフリカの白人と同じように少数民族としてパレスティナに住むしか道はないというのが道理だと思う。


国家の興亡史からわかる現代地政学――西欧の衰退(参考図書)

■


地図と閨閥で読み解く戦国地政学


誤解だらけの皇位継承の真実(増補改定版)


系図でたどる日本の皇族


誤解だらけの沖縄と領土問題(増補改定版)

【関連記事】

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント