日本人は、アメリカ人と比較すること、より個人主義的で、他人を信頼しないことが、山岸らの研究で明らかだ。このような自分勝手な民族が、和を重んじる社会を作り上げたのは、相互監視、相互規制によるものと言われる。つまり一度の過ちを厳しく罰する仕組み(いわゆる村八分)により、強い社会強制力によるものである。いわゆるムラ社会というやつだ。日本人が必死に空気を読む理由もここにある。
「日本人はすばらしい」と言われる所以となった日本人の大震災時の高い規範的行動は、相互監視、相互規制がうまく働いた例といえる。多くの人の目の前で、個人主義的な行動をとることにより、多くの人に批判されることを日本人は無意識に強く恐れる。また、ちょっとしたユーモアに「不謹慎」という言葉で総攻撃するのは、過ち(?)を厳しく罰する社会的な仕組み(村八分)が強くでていると見てよさそうだ。どんな理由、どんな心理にせよ、今回の惨事で日本人が取った整然たる”行動”は、やはり日本人が生んだ、すばらしい結果と言って良いと思う。
一方で、日本人の多くが「買占め」という自己中心的な行動に出た(ゲーム理論で言う[裏切り]の選択)。買い物というは通常の行動であり、単独で見れば、それが見かけ他人に批判されるようなことではない。ゆえに、それがたとえ他人に迷惑をかけても、個人として誰にも批判されないため、多くの日本人が[裏切り]の選択を選んだ。日本人が相互監視、相互規制のくびきから開放されたら、自分勝手に行動することをよく示している。
そんな日本人が、良いとか、悪いとか、イデオロギーを言うつもりはないし、教訓めいたことも言いたくない。ただ、「大震災時の高い治安」も「不謹慎ムード」も「買占め」も日本人らしい行動だと私は感じた。そんな日本人に、嬉しさも、息苦しさも、悲しさも感じる。でも、それら全部ひっくるめて日本人なんだ。
(参考)
(村上たいき モンテカルロblog)
コメント
冒頭の山岸氏の研究がわかる本などがわかっていれば。教えてもらえないでしょうか。興味があります。
私も、
山岸らの研究で明らかだ
が気になります。 山岸だれさんですか? 山岸だけじゃよくわからなかったです。 もしよかったら、本のタイトルなど覚えていれば教えてもらえますでしょうか?
筆者です。山岸敏男氏に関しては(参考)に挙げた一つ目の本(「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」橘玲)で、だいたいの内容が載っています。氏の著書はhttp://www.amazon.co.jp/%E5%B1%B1%E5%B2%B8-%E4%BF%8A%E7%94%B7/e/B001JOQLRW/ref=ntt_athr_dp_pel_1をご参照ください。私自身、社会心理学は専門ではないので、論文までは追っていないのですが、山岸氏の主張は、他の研究者による追証もなされているようです。
「山岸 相互監視 研究」で調べてみたら山岸俊男さんのような気がしてきました。今後本を読んでみます。冒頭が気になったのでいきなり質問してしまったのですが、「日本人は、アメリカ人と比較すること、より個人主義的で、他人を信頼しないことが、山岸らの研究で明らかだ。」結局ここに興味があります。網野善彦さんや赤坂憲雄さんが主張するように日本人のルーツはひとつじゃないし、表面的な単一民族だから、農耕民族だから、礼儀正しいから・・・といった通説も疑ってかからないといけないのかもしれません。
山岸さんの本はコレですね。
http://www.amazon.co.jp/dp/4121014790
主張を実験で「実証」しているのがヨイです。
いや、仮説を実験で実証し、主張にしたのだな
村上さん
どうもありがとうございます。