猪瀬知事の愚かな発言によって、2020年オリンピック・パラリンピックの東京招致の目は消えた。いくら無駄にしたのか、招致委員会のサイトで調べたら、申請段階で5億円、立候補段階で70億円という数値が出ていた。合計75億円を猪瀬知事はどぶに捨てたのである。
「雑談の中の発言」などといまだに言い訳しているが、イスラムを侮辱しても得票に影響ないと思っていたのだろうか。慎重に、政治的な配慮を重ねながら発言することすらできない政治家を、政治家と呼ぶことはできない。
以前の記事にも書いたが、前任の石原慎太郎氏は2016年の招致が失敗した際に、次のように発言している。2009年10月4日付けの朝日新聞で記事になっていた。
誰に聞いてもね、東京のプレゼンテーションは圧倒的によかった、ということだけども、こういう結果になったというのは、そういう力学については、私たちはこれから勉強しないとなかなか難しい戦いが続くんじゃないかと思いましたな。
プレゼンテーション勝負だと思っていたなどというお人好しだから、招致に失敗したのだ。開催都市が政治力学で決まると知らなかった石原氏も政治家ではない。
これで二代続けて「政治家もどき」を都知事に仰いでいるのは、都民にとって悲劇である。猪瀬知事には辞職を求めたい。
山田肇 -東洋大学経済学部-