イングランド銀行も早期利上げが視野に

英国の中央銀行であるイングランド銀行は14日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決めた。7対2の賛成多数での決定となり、マカファティー氏とソーンダース氏が前回会合に続き、0.25ポイントの利上げを主張した。今回からホッグ委員の後任のラムズデン委員が加わり3月以降で初めて、フルメンバーとなる9人での採決となった。

市場では今回のMPCで利上げ主張派がひとり増えて6対3とすることで将来の利上げの可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。しかしそうはならなかった。そのような回りくどいやり方ではなく、同時に発表した議事要旨で「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数か月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」とした。

カーニー総裁もあらためて、向こう数か月で緩和縮小が必要になるかもしれないと自らも判断していると発言していた。イングランド銀行は早ければ次回11月のMPCで利上げに踏み切る可能性を強く示唆した格好となった。

さらにハト派(緩和派)と見なされていたブリハ委員も講演で「経済指標の動きは中銀が利上げをしなければならない瞬間に近づいていることをますます強く示唆するようになっている」と述べた(ロイター)。

英政府統計局が12日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月比2.9%上昇と7月の2.6%上昇から加速し、4年ぶり高水準となっていた。この物価上昇が継続すれば、それを理由に利上げつまりFRBと同様に正常化に向けた動きを強めることになる。

ECBも10月の理事会で国債買入の縮小などを決定するとみられている。ECBは今年12月末までは月600億ユーロペースで国債などの資産を買い入れていくことが決まっているが、来年以降はこのペースを徐々に落としていくことが予想される。利上げについては簡単には踏み込みそうにもないが、まずはテーパリングを視野に入れている。

FRBは今月のFOMCで保有資産の縮小を決定するとみられている。年内あと一回とみられる利上げについてはやや不透明感を強めたが、14日に発表された8月の米消費者物価指数は前年同月比で1.9%の上昇と予想を上回っており、2%に届かなくてもこのあたりの水準であれば、利上げに支障は出ない可能性がある。ちなみに変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は同1.7%の上昇となっていた。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。