こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
昨日は2018年都議会の最終日、会派を代表して最後の討論(意見表明)に登壇しました。
今回は都庁職員の給与が上がる一連の条例案と、都営住宅等の維持管理を都の外郭団体(監理団体)である東京都住宅供給公社(JKK)に特命随意契約で発注する条例案に反対をしました。
そして都職員の給与が上がると、都議会議員の報酬も自動的に上がってしまう仕組みは、相変わらず変わっていません。
過去記事:
●公務員の給与・手当が上がったので、また今年も都議会議員のボーナスが7万4千円アップ…!(2015年)
●都議会議員ファースト?都議一人あたり約12万円のボーナスアップ×126名で、約1,500万円の財政支出…(2017年)
ここ最近は条例提出権を持つ共産党が中心となり、職員と議員の待遇が連動する仕組みに歯止めをかけるための条例を出し続けていますが、否決される事態が続いています。
「都度対応ではなく、抜本的に改正すべき」
「議員の待遇や報酬のあり方を議論してから決めるべき」
といわれ続けて、何年経ったのでしょうか。。
議会構成が大きく変わったこの1年間でも、「議会改革検討委員会」による議会改革は遅々として進まず、その間にもこうして毎年、議員報酬が増え続けてしまうわけです。
否決されるにしても、せめてこうした提案が議員待遇を議論する呼び水になればと思うのですが、少数会派が議席を持たない議会改革検討委員会はどう進んでいくのか、相変わらずブラックボックスで外から見ているとよくわかりません。
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一方で、この議員報酬の増額については、昨年も自主的に増額分を寄付する都議がいたり、今年も支援者による投票で増額分の用途を決める都議がいたりと、都議個人レベルでは試行錯誤を重ねる明るい傾向も見えます。
政治家が、考えることをやめたらおしまいですからね。
私達に残された任期は、わずか2年余りしかありません。これまでの議会慣習に従って、全会一致を原則とした(でも少数会派は入れない)会議体で改革を進めていくやり方には、明白に限界があるのではないでしょうか。
現在のところまで「議会改革」が滞ってしまっている最大の要因は、新しい変化を起こそうとしたのに、それを古いフォーマットに乗ってやり始めてしまったことにあると思います。
軌道修正するのは簡単なことではありませんが、今の議会勢力図を見れば不可能ではないはずです。
議会改革は、私自身が2017年の都議選で掲げた重要公約の一つです。引き続き、問題提起と行動を続けて、少しでも変化を起こせるように努力を重ねて参ります。
最後に昨日の討論全文を記載しておきますので、動画を見る時間がない方は下記をご一読いただければ幸いです。
それでは、また明日。
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私は、維新・あたらしい・無所属の会を代表し、知事提出議案第202号議案から第204号議案、第207号議案および第233号議案に反対、その他の全議案に賛成。議員提出議案第21号に賛成の立場から討論を行います。
初めに、税の偏在是正措置の結果について申し上げます。与党税制調査会が取りまとめた2019年税制改正大綱によって、都の減収額は約9,200億円にものぼることが確定的となりました。小池知事はこれをもって、「地方分権という言葉は死んだ。将来に禍根を残す大いなる誤り」であると喝破しましたが、これにはまったく同意をするものであります。知事は先般の一般質問において、我が会派のやながせ都議からの質問に対して、道州制を含む地方分権改革に一定の理解を示されました。我々は地方分権を一貫して目指す改革勢力として、今般の理不尽な偏在是正措置の早急な撤回を求めるとともに、抜本的な地方分権改革を推し進めて参ります。
次に、第202号議案、「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」他、職員給与の増額に関連する一連の議案について申し上げます。本条例案では人事委員会勧告等を踏まえ、職員の給与等に関して所要の改正を行うものとされております。しかしながら、例年申し上げている通り、こちらの職員給与の見直しの基準となっている人事委員会勧告は、50人以上の事業規模を持つ民間企業を比較対象として、その給与平均値を算出し、民間給与と公務員給与の差を増額調整するものです。この算定方法では、金融機関や商社など、ほかと比べて給与水準の高い企業が多く含まれるため、ある一部の高所得者が平均値を大きく引き上げることになります。実際に民間の実態を反映させるという前提であれば、平均値ではなく、最頻値の導入を検討するなどの改善が必要です。
そもそも本年度は、東京都特別区が人事委員会による引き下げ勧告を無視するという異例の事態が発生し、人事委員会勧告を尊重するという制度運用への信頼は、大きく揺らいでいます。給与が上がる「都合が良いとき」は勧告を金科玉条として受け入れ、引き下げという「都合が悪い時」は無視できるということが明らかになり、こうした制度に依拠して職員給与を決定することは極めて不適切です。今回の職員給与改定が都財政に与える影響額は約75億円にものぼり、政策投資効果を考えても、これだけの財源を人事委員会勧告を遵守するために投資することは甚だ疑問であることから、一連の議案には反対を表明致します。
関連して、議員提出議案第21号について申し上げます。四会派で昨年に引き続き提出した本条例案は、職員給与の改定に連動して都議会議員の議員報酬、期末手当支給額がアップしてしまう事態に、歯止めをかけるためのものです。現在、都議会議員は議会改革の一環として報酬の二割カットを実施している最中であり、社会保険料の増額や消費増税で都民負担の増大が見込まれる中、我々の報酬が増額される理由は一切ありません。
昨年も提出した同条例案に対して、ある会派は「議会改革検討委員会で議論するのが道理であり、今後、職員給与と都議の報酬が連動する仕組みのあり方を含め、委員会の場で引き続き改革を進めるべきと考え、都度対応である本案には反対」という理由を述べて、否決をされました。しかし現実には、丸1年が経過しても議会改革は遅々として進んでおらず、公用車の部分的削減と、インターネット中継の一部実現がなされた程度で、メインテーマの一つである議会基本条例に至っては、ようやく勉強会が始まったという有様です。
このような状況下で、いつまでも「議会改革検討委員会での議論」を理由に対応を先延ばしにし、増えた報酬を受け取り続けるのは、議会改革に期待した有権者に対する明確な裏切りであります。私たちに残されている任期は、たったの2年余りです。議員報酬がアップする状態にまず歯止めをかけるとともに、議員待遇を根本的に話し合う議会改革を、議会慣習に囚われず一刻も早く、大胆に前に進めていくことを、心ある都議会議員全員に強く呼びかけるものです。
次に第233号議案、都営住宅等の指定管理者について申し上げます。本条例案は、都営住宅等の指定管理者を、引き続き都の監理団体である住宅供給公社に特命随意契約するものであり、到底賛成することはできません。都は随意契約にする理由として、「高齢者や障害者ら配慮が必要な人への対応」などを上げておりますが、住宅管理は民間事業者も得意とする分野であり、住宅供給公社に決め打ちする合理的な理由にはなりません。指定管理者選定委員会では、有識者から住宅供給公社に対する改善要望も複数出されておりましたが、なぜこうした要望に対応できる民間事業者を公募で探そうとしないのか、大きな疑問が残ります。加えて、住宅供給公社は都庁職員が多数再就職している、いわゆる「天下り先」であることも深刻な問題です。
そもそも、都内に空き家が増加する中、高倍率で不透明な選考をくぐり抜けて入れた人のみが恩恵を受けられる「都営住宅」という事業そのものを見直すべき時にきています。福祉としての住宅環境の提供であれば、低所得者に住宅バウチャーという形で現物支給をするなど、民間活力と競争原理を活かした様々な方法が考えられるはずです。以上の理由から、本条例案には強く反対するとともに、都営住宅についても時代に合わせた大胆な見直しが行われることを強く要望いたします。
続いて、本定例会で議論になりました、築地市場跡地についても一言申し上げます。小池知事は代表質問の答弁の中で、築地市場跡地は一般会計への有償所管換えを軸に検討していくことを明言されました。私が3月の予算特別委員会で指摘したように、市場会計に築地市場跡地を残したまま、健全な会計を維持するのが現実的に困難なことはすでに明らかであり、有償所管換えをする方針自体には賛成です。しかしながらこれは、「築地を守る、豊洲は活かす」と宣言し、築地市場跡地はそのまま市場会計とする、市場機能を築地に残し、希望する市場業者には築地に帰れるお手伝いをすると断言した、選挙公約の明確なる撤回です。知事は経済環境が変わったことなどを理由に上げられておりますが、1年で変わる状況変化を予期せずに、50年に渡る長期の貸付けスキームを考えていたとでもというのでしょうか。
残念ながら、政治家であっても、人は過ちを犯すものです。私自身、築地・豊洲の両立案をかつて支持した間違いを認め、昨年12月に本会議場で謝罪・撤回を行いました。もし小池知事が1年前に、今回の有償所管換えの決断をされていれば、築地跡地の利用方法を巡って係争状態にあった千客万来施設事業者とのわだかまりはなくなり、千客万来施設はすでに着工し、2020東京大会に間に合った可能性が十分にあります。知事の政治判断により、都政がどれだけの損失を負ってしまったか。この現実と真摯に向き合い、お約束をした有権者に対する謝罪を含めた、為政者として適切な対応を望むものです。
最後に、2020改革プランについて申し上げます。担当の特別顧問が退任された本年3月末以降、改革の意思は見る影もなく失われ、現状を是認する内容ばかりとなっています。抜本的な改革に至る提案はなく、各局から出されている改革案はそれぞれ「やった方がいいこと」ではあるものの、これでは東京大改革ではなく、東京改善運動であります。小池知事の任期前半では、工業用水道廃止という難題に切り込み、下水道事業のコンセッションという画期的な改革テーマが提案されました。一千万都民が小池知事誕生の際に期待したことは、これまで誰も見たことのないような東京の大改革です。情報公開を筆頭とし、これまでの都政をブラックボックスと喝破した小池知事の選挙公約は、いま振り返ってみても極めて正しいものでありました。
維新・あたらしい・無所属の会は、正統なる東京大改革の推進者です。小池知事には改革を妥協することなく、敢然と突き進んでいただきたい。そして、小池知事が向こう傷を恐れず、不退転の姿勢で臨まれるのであれば、我々はその覚悟を支え、志の親しい仲間たちとともに、大改革に再び火を灯すエンジンとなるべく尽力していくことをお約束いたしまして、私の討論を終わります。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年12月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。