ピエール瀧さん:マスコミは依存症治療を追いかけないで欲しい

週刊誌にピエール瀧さんが治療に向かう様子が掲載されていましたが、こういうの本当にやめて欲しいです。

石野卓球氏ツイッターより:編集部

ピエール瀧、「最先端治療でドラッグ抜き」超厳戒の通院撮(NEWSポストセブン)

しかもこれ、我々が読むと色んなところに突っ込みどころ満載で、「ガセだよ!ガセ!」と言いたくなる記事なんですよね。

なんなんですか?依存症の最先端治療って?
え?それ一体どんなものなのか教えて下さいよ。
そんなこと聞いた事ないですよ。

依存症なんてね、せいぜい新しいプログラムテキストができました~!程度の違いですよ、今の所。
若干、アルコールで新薬が出てざわざわしてますけど、ピエール瀧さんに関係ない話しですしね。

ノリピーやASKAさんがどうのこうのとか、グループセッションがどうのとか、それに対してコメントした医療関係者の話って誰なの?って感じ。
依存症にきちんと関わっている人間なら、そんなことコメントするわけがないです。

アメリカのベティーフォードセンターなどでは、有名人が治療にきても、「誰が入寮中」とか「どんな治療を受けている」なんて話したら即刻クビというルールがあるのですが、日本ではそこまで明文化されていないと思いますが、そこは暗黙の了解で当然に沈黙を守るものです。

まして「ここの病院なら本気度を感じる」なんて意味不明のコメントプロなら絶対しないですよね。
じゃあ、どこなら本気で、どこなら本気じゃないんですか?
その基準は、どこでどう線引きするのでしょうか?

マスコミの皆さん、こういう治療に向き合う人を追いかけまわすのやめませんか?
他にも患者さんがいるわけじゃないですか。

ましてや依存症なんて「絶対人に知られたくない!」と怯えている中、勇気を持って繋がってきた人達なんですよね。
そんなところに、カメラを構えた人がうろうろしてたら、「もう二度と行きたくない!」となってしまいます。

また、これまでにも私たちの耳に入ってきた暴挙は様々にあります。

  • 回復施設のベランダに忍び込み勝手に内部を撮影していた。
  • 回復施設に事前のアポイントなく、突然ズカズカと上がり込んできて撮影を始めた。
  • 自助グループのミーティングに、依存症当事者を装って記者が潜入した。

などなどです。

そもそも一部のマスコミは薬物問題を抱えた人や、依存症者になら傍若無人にどんな振る舞いをしても構わない!と思っている節がありますよね。
表立って文句を言えない立場の人達のことは、とことんしつこく追及し、治療にまであ~だこ~だと揚げ足取りをする。

で、ありながら自分たちは「正義」だと思っているんですから、本当に悪質です。

私たちは1回1回のプログラムに「命がかかっている」と言っています。
ですから、プログラムを行うミーティング場を「守っていく」という言い方をします。
依存症は一般の人より20~30倍も自殺率の高い病気です。
この1回に繋がれたか、繋がれなかったかで、本当に生死を分けることがあるんです。

一部マスコミが興味本位でひっかきまわして良い場所ではありません。
それは病院、クリニック、回復施設、自助グループいずこの場合も同じです。

そもそも無理やり写真を撮ったとしても、それに対し真の専門家はコメントしないわけですから、その報道は実に上っ面で、真実が語られていないわけじゃないですか。
誰のためにもならないガセネタが垂れ流されるだけです。

どうか静かな治療環境の保全に協力して下さい。
宜しくお願い致します。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト