2019年9月24日、韓国に関心のある人には必見の番組がインターネットで公開された。『反日種族主義』の共著者であるイ・ウヨン氏がDHCテレビの名物番組である「真相深入り虎ノ門ニュース」に韓国より生中継(Skype)で出演した。
番組スタジオ側はコメンテーターに百田尚樹氏と松木國俊氏(朝鮮近現代史研究所所長)が登場し、松木氏が主に質問しイ氏のコメントを即翻訳して視聴者に伝えた。
イ・ウヨン氏への質問
番組では、例えば以下のような質問を予めイ氏に通告し、それに回答してもらうスタイルで質疑を進めた。(質問はこれらで全部ではない。)
- 反日種族主義とは?
- 事務所に暴漢が入った?
- 告発される危険性は?
- 韓国が反日をやめるには?
これらに対するイ氏の回答は、これまでアゴラにて発表されてきた論考を裏付けるものも多く、また「なるほど」と納得感の高い話もあった。回答の具体的内容について、筆者は記録したが、いわゆるネタバレになるのでここでは開示しない。ぜひ番組をご覧頂き直接ご確認頂きたい。なお、筆者は番組関係者ではない。
番組出演がなぜ「命がけ」なのか
大袈裟に感じるかもしれないが、DHCテレビは韓国において「極右嫌韓」番組として知られており、番組の韓国批判の映像を紹介されたりしている。その中で百田尚樹氏のコメント部分も使用されており「極右作家」として有名である。しかも韓国メディアJTBCによると「韓国国会政務委員会が来月DHC会長を証人として呼ぶ計画を進めている」らしい。この点について松木氏は番組内で「内政干渉(どころ)のレベルではありませんね。
要するに『よその国の言論を弾圧する』と。そんなこと国際的な常識から言って考えられませんよね」とコメントしていたが筆者も同感である。
そんな虎ノ門ニュースに出演し、韓国についての「不都合な真実」を日本中に話したとなれば、既に韓国において名誉毀損で訴えられているというイ氏が、一層激しいパージに合う危険性は確実に高まるだろう。「敵国を利する」という理由である。
百田氏も松木氏も「命懸けだ」と真剣に語り敬意を表していたが、特に韓国の実情を良く知る松木氏がイ氏を「金玉均」に喩えおり、その点について百田氏も懸念を表明していた。(金玉均は愛国者だったが暗殺され遺体を侮辱され家族も非文明的な扱いを受けた。)
仮に、反日感情が吹き荒れる韓国において「親日」のアイコンとして恨みのエネルギーが彼に向かうならば、「不義を討つ義士」を演じる思慮の足りない活動家が出かねないと筆者も心配している。仮定を元にした非難ではなく、リスクマネジメントの観点から想定し対策を打つ必要があると考えている。
イ氏自身はいつ反日の呪縛が解けたのか
一つだけどうしても百田氏の質疑から引用したい。
百田氏:イ教授も反日教育を受けたと思うが、いつごろ解けたか?
イ氏:私も昔学生運動をやった反日でした。大学院に行って勉強しているうちに「どうもおかしいのではないか」と気づきました。「教科書に騙されてしまったのではないか」と。要するに韓国のGDPの60%を奪ったと教えられているのですが、そんなことは嘘だと色々な数字を見るうちにわかってきました。政府が嘘をついていることが解り、怒りました。
筆者が意外だったのは、「真実の歴史の証拠となる資料が大学院にはある」ということである。それらはとっくに「焚書」され、新たに捏造された「新証拠」の山に埋もれているのだろうと想像していたからだ。真実の証拠があるならば、あとは真実を探求する姿勢さえ持てば、韓国国民も政府の嘘の歴史教育に気が付くのではないか。
イ氏は日本に阿っているのではなく、心から祖国を大切に思い、真実を表明しているのだろう。「日本の国益に叶うから」ではなく「歴史の真実を大切にするために」彼らに注目して行きたい。
田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。