河野太郎行政改革担当大臣がハンコの廃止を各府省に要求した。行政手続きでのハンコ使用を原則廃止し、できない場合はその理由を今月中に示すように求めたそうだ。
デジタル化を阻む壁には他にも対面主義や書面主義などがあるが、ハンコはアナログ文化の象徴であり、その廃止から始めるのは筋悪ではない。各府省からは「××法によって廃止できない」という回答が大量に戻ってきそうだが、それを並べれば法律改正のきっかけになる。
ハンコを押した契約は、今後、電子契約に変わっていく。双方の合意を文書化した「契約書」だけではなく、「見積書」や「請求書」も電子化できるから、今後は大量の電子契約関連文書が飛び交うようになる。
ところで契約には「口頭契約」という種類がある。双方が合意すれば、それが口頭であっても契約は成立する。しかし、合意した記録がないから「言った・言わない」で争いが起きる場合がある。
電子メールのやり取りでも双方合意でき、これも電子契約の類型である。しかし、電子メールは後で改変できるから、その電子メールの信憑性が、「言った・言わない」と同様に問題になる恐れがある。
それでは、その電子見積書はその組織が作成したものであり、その電子契約書は双方が合意して作成したものであり、いずれも改変されていないということは、どうすれば証明できるだろうか。
証明に求められるのが「電子署名」である。電子署名の典型は、公開鍵暗号方式に基づくデジタル署名であるが、「公開鍵暗号」や「デジタル署名」という言葉は技術者以外にはハードルが高い。
同様に、契約の日時を示すタイプスタンプが電子契約に付与されるケースがあるのだが、「タイプスタンプ」っていったい何だ。
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