「LGBTを法で守れば足立区が滅ぶ」わけがない。ベテラン議員の奢りと無知

音喜多 駿

足立区議会ネット中継より:編集部

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

同性愛広がれば「足立区滅びる」 白石正輝・自民区議が議会で発言(東京新聞)

足立区議「同性愛者、法律で守られたら区滅ぶ」批判続出(朝日新聞)

足立区議会で飛び出したベテラン議員(自民党)の差別発言に批判が集まっています。

「日本人が全部L(レズビアン)、G(ゲイ)になったら次の世代は一人も生まれない」
「LだってGだって法律に守られているという話になったのでは、足立区は滅んでしまう」
(東京新聞記事より抜粋)

私も動画にて一連の内容を確認させていただきましたが、古色蒼然とした価値観の下、いじめや差別を助長する可能性が極めて高い発言であると言わざるを得ません。

「足立区が滅ぶ」とまで属性を名指しで批判されれば、その人の「生きづらさ」は加速し、また学校や職場などでのいじめにつながるという可能性に想像が及ばない方は、残念ながら議員に相応しくないと思います。

一方で、この白石議員が事後のインタビューで発言している、

「レズビアンやゲイは本人の生き方の問題であり、干渉する気はないが、法律で保護しようという動きには反対。(その生き方を)認めようと思わない」

この考え方は、いわゆる「保守」と言われている政治家や人々にとっては一般的な考え方の一つではないかと思います。

ここまでの内容であれば思想信条の自由の範囲内と言えますし、こうした考え方の人々には粘り強く説得・説明を重ねていくしかないというのが現実です。

もちろん、念のため申し上げますと、私自身は上記の考え方は間違っていると思います。

「法律で保護」するのではなく「他と同じ権利を与える」だけであり、またどれだけ「保護」したところで趣味嗜好ではない同性愛は増えません。カミングアウトする人は増えるかもしれませんが。

特に同性婚の問題では、結婚をしている人には税制をはじめ様々な優遇措置がある一方、未婚者にはいまだに医療関係の対応や保険契約・不動産取引で不利益がある以上、認めないことは「差別」と判断するのが妥当でしょう。

この白石議員のように、LGBTなどの多様性を「少子化(子どもを産まない)」を理由に攻撃することは責任転嫁であり、当選11回を数えるベテラン議員であるならば、少子化対策に見事なまでに失敗してきた自分たちの不明を恥じ入るべきであると率直に思います。

最後に。

LGBTの話題を取り上げる度に自戒を込めて何度でも申し上げますが、私もかつて、同性愛者を揶揄するような発言で「炎上」をした不見識な地方議員の一人でした

理由はひとえに「勉強不足・理解不足」。

議員になる前の発言(ブログ記事)だったとはいえ、なんら知識もないまま、イメージだけでネット世論に乗って揶揄していたことを心より反省しています。

参考過去記事:
元LGBT失言炎上議員だけど、東京レインボープライド2016の応援に行ってきた

ネット上の「大炎上」がきっかけ?!台湾の若者政党「時代力量」にお招きいただき、明日から台湾に行ってきます

しかし炎上したからこそ、誰よりも本を読み、当事者たちの話を聞き、いまはセクシャル・マイノリティなどの多様性政策をもっとも推し進めている議員の一人であると自負しています。

人は変われる。いつからでも、何度でも。

ぜひ今回の発言をされた白石議員には、なぜこれほどの批判が巻き起こっているのかを省みていただき、足立区とセクシャル・マイノリティのための政策を推進していただきたいと願うばかりです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年10月5日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。