日本の第3波の予測(連載⑲)を2度も修正し(連載⑳、連載㉑)、しかもピークアウトすらしていないのに、第4波とは何事かと、お叱りを受けそうですが、新しい要素が分かりましたので報告します。
前回書きましたように、ドイツとスウェーデンの最近のピーク周りは、これまでにない動向を示しています。しかも、米国や日本の挙動にも類似性があります。ドイツの解析をしていて気づいたのは、1) ピーク内、ひとつの死亡率の成分では死亡者の変動を再現できない、2) 分離できないふたつのピーク(不分離ツインピーク)が重なったものではないか、ということです。
ピーク周りの陽性者の動向も不分離ツインピークに解釈できるような形状になってきたので、この方針で解析しなおしました。
1.不分離ツインピーク、日本、ドイツ、スウェーデン、米国
まず日本です。左が線形表示、右が対数表示で、陽性者、死亡者、実効感染者、重症者等が示してあります。
橙色と緑色の破線が第3波と第4波の成分です(第4種、第5種と記載しています)。第4種から第5種になって死亡率が上昇しています。死亡者の動向を再現するには、第5種の死亡率をもう少し上げた方が一致は良くなりますが、最後の短期予報で示すように、死亡者数はこれで大体合っています。
次がドイツです。日本と同じように水色と橙色の破線が第3種と第4種の成分です。第4種の死亡率を第3種の死亡率の5倍にしないと死亡者数の急上昇を再現できませんでした。これが、今回の2成分を導入した不分離ツインピークによる再解析のきっかけです。
次は、スウェーデンです。水色と黄色の破線が第5種と第6種の成分です。スウェーデンの死亡者のデータは、日々変更される途中結果のようで、確定的なことはまだ言えません。
米国です。黄色、水色、橙色の破線が第2種、第3種、第4種の成分です。米国の第3種、第4種は不分離のピークになっています。死亡率が変化しています。
これら4カ国は、ふたつの種の成分が重なって不分離ツインピークを形成しています。時期、形状に共通点があり、また、最初の成分から次の成分に向けて死亡率が大きくなっているところも共通です。
2.分離型ピークの出現、フランス、ベルギー、スペイン
次のフランス、ベルギー、スペインは、最近、新しい波の兆候が見えてきた国です。まだ上昇を始めたところなので、予測の精度はあまりありませんが、独立したピークとして成長するだろうと予想されます。現在、3カ国ともほぼ同じ位相に見えますが、スペインに急上昇の兆しが出現しているところです。
3.分離型ピークの成長、イスラエル、ブラジル
前回報告しましたように、イスラエルとブラジルには、分離型の新しいピークが成長してきています。イスラエルもブラジルも本日の陽性者の値が共に跳ね上がっていますが、どこまで上昇するか注目されます。
4.日本の新型コロナの短期予報
以上、ここ1週間の世界10カ国の近況報告です。表示しませんでしたが、オーストラリアは全く変化がありません。このまま収まってしまうのでしょうか。
最後に、年末に向けて日本の短期予報です。12月9日の厚労省のデータを参照データとして調整して、1週間毎の予測値を下の表に示します。12月16日の結果は、既に発表されましたので、検証として示します。この予想ですと、12月16日から年末まで、新規陽性者約5万人、新規死亡者約700人です。