池田信夫氏に反論:森喜朗会長の発言は辞任相当だ

2021年02月11日 06:01

タイトルの通りである。

まず議論の前提として意見を簡単に述べると、昨今の「誰彼かまわぬ行き過ぎたポリコレ」については、私も大いに問題があると考えている。

森喜朗氏 NHKより

立場や役割の違いで、発言に対する責任は違う。

例えば、芸能人や小説家に、私たちは何を求めているのか?ある意味、私たちが思いもしなかった角度から「揺さぶってもらうための装置」という役割が、彼らにはあると考えている。その意味で、ちょっとああ言ったから、とか、あんな振る舞いをしたから、という理由で再起不能なまでに叩き潰すのは誤りだ、と考えている。

しかし、森会長は違う。首相を経験した元衆議院議員であり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長だ。オリパラにおける「日本の顔」だ。

その意味で彼の発言は、オリパラにおける日本を代表した意見となる。

オリパラにおける「日本の顔」の発言分析

以上を踏まえて、アゴラ研究所所長の池田信夫氏が引いた森氏の発言の要旨を見てみよう(池田氏の意見とあわせ、発言を文字起こししたものはこちらから)。

● 女性理事を4割にせよと文科省がうるさく言う。

● 女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。

● 恥を言うが、ラグビー協会は今までの倍時間がかかる。女性が(中略)5人いる。

以上は前半の森氏の発言の要点だ。

ここで森氏は「女性が多数いる会議は時間がかかる」とし、「時間がかかる会議は、それ自体が恥だ」という認識を示している。

確かに、無意味に長くかかる会議は時間の無駄だ。しかし、森氏は「女性は競争心が強い」ために発言をするというだけで、発言の内容が「無意味なもの」という認識は示していない。仮に、「女性の発言」が「無意味なもの」という認識があるのであれば、そちらの方が問題だろう。

女性が男性に比べて競争心が強いとする認識にも大いに疑問があるが、仮に発言の発露が競争心だったとしても、有意義な内容ならばそれはその会議にとって「実りある発言」であって、問題にされるべきものではない。

つまり、森氏はこの部分で、会議の内容は度外視して「長くかかる恥ずかしい会議の原因は女性だ」という認識を示している。女性は話が長い、という認識自体が、女性蔑視なのは言うまでもない。

中盤の意見の要旨は、他人の意見を引いて以下のように述べている

会議に女性を増やす場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困るという意見を聞いた。そんなこともある。

以上から、前半と中盤について「誰が読んでもこう解釈される」

要約をすると

●長い会議は恥であり

● 女性が多く入る会議は長くかかるため

● 時間規制が必要だという意見もある

また、中盤の結びは「そんなこともある」となっていることから、その「他人の意見」を肯定的にとらえていることは明らかだ。池田氏は発言規制の部分は「他人の話を引用した冗談」と言っているが、文脈を読めばこの引用は、自分の意見を補強・拡張するためになされているのは一目瞭然だ。

以上の森氏の発言を概観すると、「森氏は女性蔑視的価値観を持っていない」とは、とうてい言えない。

もちろん、NYタイムズの記事は、森氏の「引用」を「森氏自身の発言」としており、その意味においては「フェイク」だ。

しかし、仮にNYタイムズの記事が「誰かの発言を引いて、森氏の見解を示した」という内容だったとしたら、それはフェイクではない。つまり、池田氏の記事のタイトルで『森喜朗氏の「女性蔑視発言」はフェイクニュースである』となっているが、森氏が「女性は長くかかる恥ずかしい会議の原因だ」という認識を示している以上、女性蔑視発言はフェイクではないのだ。

森氏の後半の発言の要旨はこうだ

● 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に女性は7名いる。

● この7名の女性は、国際的な経験も豊富なため、わきまえており、話もきちんとした的を射ていて、大いに役立っている。

● 欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになる。

つまり、組織委員会の女性7名は、国際経験も豊富で、よくわきまえているため役立つということらしいが、前半中盤の話の流れからすれば「同組織委員会所属の女性の特殊性」を言っており、「それ以外の(ラグビー協会の女性理事含む)女性一般」は、森氏に言わせればやはり「長く恥ずかしい会議の原因」なのだ。さらにまずいのは、前半中盤の流れから考えれば「それ以外の(ラグビー協会の女性理事含む)女性一般」は、「国際経験もなく、わきまえていない」上に「話も的を射ておらず」、「役立たない」という認識すらあると読める。

最後の「欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになる」という発言は、前半冒頭の「女性理事を4割にせよと文科省がうるさく言う。」を受けての話と解釈できる。

この発言の背後にある森氏の思いは「やれやれ、欠員がでたら女性を選ぶんだってさ。文科省も罪なこと言うよね」あたりになるのではないかと思うのだが、どうだろう。

池田氏の論考の結びにある「くだらない騒ぎはもうやめるべきだ」には同意する。

ただし、それは「森氏がさっさとオリパラ会長を辞任して」、恥ずかしい「日本の顔」を取り換えてからの話ではある。

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