デジタル新聞も真似るべき:ネットニュースは読者コメントが面白い

朝日新聞が419億円の赤字に転落したとの記事を読んだ。もちろんネットのニュースで。部数も350万部まで落ち込んでいるらしい。Googleに「朝日 赤字」と入れて検索すれば、ずらっと並んだ見出しを読むだけでおおよそのことは判る。

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広告費6.9兆円(19年)の媒体別内訳でも、新聞(6.6%)と雑誌(2.4%)を合せても9%(17年比86.8%)なのに対し、ネットは30.3%(同年比139.4%)で、テレビの26.8%(同年比96.6%)を上回る。この勢いだと紙とテレビの合計をネットが超える日も遠くなかろう。

紙媒体の衰退は、多くが無料のネットと違って有料なこともあろうし、もちろん朝日の赤字は「角度」をつけ過ぎた記事のせいでもあろう。が、筆者はネットの双方向性が受けている面も大きいように思う。すなわち、読者が記事にコメントで参加できる機能だ。

紙媒体にも「投書欄」があるし、社に問い合わせすることもできよう。が、「なにこれ!」というような記事に、その場ですぐコメントができるネットに比べると、迂遠なのは否めない。この辺りも紙媒体の限界の一つといえまいか。

コロナ禍に見舞われているこの一年の間に、You tubeのニュース解説風番組が雨後の筍の体だ(FacebookやTwitterのことは使わないのでよく知らない)。出演者の多くは講演や公演の減った?評論家や芸(能)人などで、学者や政治家も少なくない。

この手のYou tubeチャンネルには「高評価」と「低評価」の他にコメント欄がある。多くがコメントの書き込みを許可しているが、中には「コメントできません」としているのもある。せっかくの機能なのだから使えるようにすれば良いのに。

You tubeのチャンネルとは違い、筆者が読むネット版のニュース報道では、コメント欄があるケースの方が少ない。デジタル新聞が生き延びる途の一つはコメント欄を設けることだと思う。新聞が滅ぶと、ソースが減ってネットニュースも衰退する。

コメント欄のある数少ないネット報道の中で、筆者のお気に入りは韓国の「中央日報」とネット版夕刊フジ「zakzak」だ。

日本語版韓国紙は、聯合ニュース(配信)、右寄りの朝鮮日報と東亜日報、ちょっと右の中央日報、左のハンギョレを読む。東亜は日本語版の記事が少なく、記事の豊富な朝鮮日報は一週間分しか検索できないが、中央日報とハンギョレはコメント欄があり記事の検索もできる。

中央日報はコメント欄を売りにしている節があり、「腹立つ」「悲しい」「すっきり」「興味深い」「役に立つ」の5項目の「みんなの感想ランキング」まで設けている。これに釣られる日本の読者も多いようで、記事によっては1~2日で三桁のコメントが寄せられる。

コメントも、「日付順」と「そう思う順」(「そう思わない」の項目はない)にソートでき、「そう思う」のトップは300~400個の「👍」を集める。匿名だが英数字のパスワード?が表示されるので、きっと常連がトップを競っているのではなかろうか。

上位のコメントはどれも「なるほど」と唸るものばかりだ。惜しむらくは、偶にある罵詈雑言の類や中央日報自体への苦言。社説や寄稿で書き手を批判するのは良いが、ニュースは伝えているだけだから、中央日報を腐しても仕方がない。

が、中央日報のコメント欄に「返信」機能がないのは惜しい。その点「zakzak」は各コメントに「高評価」「低評価」の他に「返信」ができ、一つのコメントにいくつも返信がぶら下がることがある。

この体裁だと記事によっては、コメントした者、返信する者、その返信に返信する者などが、時には記事の書き手以上に的を射た深い内容の「コメント欄バトル」を展開するケースなどもあって、たいへん面白く勉強にもなる。

中には可笑しな日本語を使う「五毛」?らしきコメントや、記事を腐す左のコメントが右からの批判の嵐に遭ったりもする。が、いずれにせよ広く深く情報収集していないと、これだけのコメントは書けないように思われ、これもネット版ニュースの売りといえるだろう。

最後に筆者も関係する話。本欄で筆者もやんわり難じたことのある富坂聡拓大教授も「zakzak」にコラムをお持ちだが、書くたびコメント欄には中国寄りの論調だとのかなり辛辣なコメントが殺到したりする。これも「zakzak」の「客寄せ狙い」かも知れぬ。

また「zakzak」は、筆者が3日の投稿で触れた韓国系ハーバード大教授の米誌「ニューヨーカー」への寄稿にも登場する。世界中に広く読まれているとは思われないので、きっと日本人の誰かがご注進に及んだか。

最後に、筆者の元豪州首相の米中外交論文の投稿と同じ題材で、大前研一氏が27日の「zakzak」に書かれていた。そのコメント欄に「アゴラに高橋克己氏が大元の記事を読んで書いている」とあり、アゴラとASPIのURLが記されていたのには、何やら不思議な感じを覚えた。