情報アクセシビリティと障害者の就労

デジタル改革法案の参議院審議は5月6日に内閣委員会で参考人質疑が実施され、大詰めに近づいている。すでに記事にしたように、衆議院段階では、一部野党も賛成して障害者対応を強化する方向で法案は修正されており、早期の成立に期待する。

一方、障害者差別解消法改正案については、衆議院が全会一致で可決し、4月20日に参議院に送付されたが、内閣委員会での審議は始まっていないようだ。この改正案の審議も早く進めてほしいものだ。

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情報社会化が進む中で、障害者・高齢者・外国人などと共生する社会を実現するポイントの一つが情報アクセシビリティである。デジタル改革法案が修正されたことは、情報アクセシビリティへの社会的取組の強化を求めるものである。

それでは、障害者の就労における情報アクセシビリティの現状には、どのような課題があるのだろうか。

認定NPO法人タートルはこの課題についてアンケート調査を実施し、その結果を公表している。

アンケート回答総数は106件(視覚障害者104、晴眼者2)で、内訳は全盲38.7%、ロービジョン50.9%だった。事務系が63.2%を占め、そのほかに技術系(9.4%)、理療系(7.5%)教員(6.6%)等となっている。パソコンを使用する際には85.6%がスクリーンリーダを利用しているという。

業務を進める上で情報アクセシビリティの問題に遭遇した割合は84.6%。大半の視覚障害者が困りごとを抱えている様子がわかる。より具体的には、社内システムに関連する問題があったという回答が31件、次いでシステム環境が15件で、リモート環境で問題に遭遇したという回答も12件あった。

情報アクセシビリティの問題を解決していけば、これら視覚障害者が就労しやすくなる。これは、昨年12月25日に閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が掲げる、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を進めるというビジョンにも合致するものだ。

ところで、情報アクセシビリティに対応するというのは具体的にはどのようなことなのだろうか。また、業務で多用されるTeamsやOfficeにはどのような機能が装備されているのだろうか。

このような基礎的情報を広く社会に伝えるために、マイクロソフトが5月20日にオンラインセミナーを実施する。僕も登壇して企業競争力に関する話題を提供する予定である。障害者就労に関わる情報が提供されるこのセミナーに皆様ぜひご参加ください。