退職金4000万円上乗せって得なの損なの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。

ダイヤモンドがスクープした「パナソニックの早期退職募集」が波紋を呼んでいます。「あのパナソニックが」「割増退職金を4千万円も積んでまで」というのがポイントでしょう。

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【参考リンク】パナソニック「退職金4000万円上乗せ」で50歳標的の壮絶リストラ【スクープ】

パナソニックというのはちょっと前まではトヨタ同様、日本型雇用信者の心の拠り所でしたから。

これから同社では何が起こるんでしょうか。また同社に限らず、会社が早期退職募集を開始した場合、どういう人材が手を挙げるべきなんでしょうか。よい機会なのでまとめておきましょう。

4千万円という金額から見えてくる本気度

まず4千万円という割増退職金ですが、通常の大企業のソレは年収2年分が相場ですから、せいぜい2千万円といったところです。その2倍ですから相当奮発したなという印象です。

朝日新聞社が以前に「年収半分を10年間支給」=50代なら6千万円超という太っ腹な早期退職募集をやってましたけど、製造業は普通そんなに出せませんからね。

この金額からは会社側の以下のスタンスが予測できます。

・本気で辞めてほしい人たちがいる

割増退職金の額は会社が辞めさせたがっている本気度に比例します。とにかく何としてでも辞めてほしい、席にいられるだけで職場に悪影響がある(と会社はみなしている)集団が存在するということです。

・きっちりした数値目標がある

早期退職と言っても色々で、「とりあえず制度だけ作っておくから利用したい人は利用してね」という緩い早期退職制度も多いです。期限もきらず、どちらかというと第二の人生を考えている人がいたら応援しようくらいのスタンスですね。

一方、本件の4千万円という金額からは「絶対に〇〇人辞めさせる」という強い決意を感じます。おそらく数百人~1千人(あるいはそれ以上も)といった目標枠は既に決まっていて、これから事業所ごとに管理部門に割り振られるんじゃないでしょうか。

・少なくとも辞めてほしい人のセレクションは行われる

たまに「日の丸電機が中韓の電機メーカーに負けたのは技術者を大事にしなかったから。終身雇用をしっかり義務付けておくべきだった」なんてわかったようなことを言う素人がいますが、アホですね。

実際は終身雇用だから仕方なく割増退職金付きで早期退職募集かける

→もともとヘッドハンターからオファー貰って迷ってたような優秀者に「お!3千万円貰えるじゃんラッキー♪」と外資への転職を決断させる

→いらない奴だけしっかり根付く

という負のスパイラルがさく裂して早期退職やるたびにボロボロになっていったわけです。日の丸電機は終身雇用やめたから新興国メーカーに負けたんじゃなくて、終身雇用をダラダラ続けたから負けたんですよ。

どっちみちそんなもん維持できなかったんだからスパッと解雇規制緩和して、いらない社員はリストラして優秀者の年俸を2倍3倍に上げていれば今でも日本の電機産業はそれなりの競争力を維持できていたはずです。

筆者の感覚でいうと、上乗せ退職金の額は高ければ高いほど優秀者が転職しやすくなり、会社が辞めてほしいと思っている人はいくら積まれても微動だにしないものです、はい。

なんてことはパナソニック人事は当然理解しているはずなので、普通に4千万円上乗せして募集するだけ、なんてことはしないでしょう。

少なくとも手を挙げてほしい人とそうでない人のリストアップくらいはするはずです。

以降、
早期退職に手を挙げるべき人、そうでない人
常に選択肢のある人材を目指せ

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Q:「副業以外でキャリアの幅を広げる方法はありますか?」
→A:「『新しいチャレンジがしたい』旨を上司に相談すべきでしょう」

Q:「ワタミって本当に脱ブラック企業化したんでしょうか?」
→A:「粗はあるんでしょうけど良い方向に進んでいるように見えます」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2021年5月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。