台湾の新型コロナ事情

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日本から124万回分のワクチンが提供されたことで、さっそく台湾の知人数名から「謝謝」メールが到来した。が、何かした訳ではない筆者としては、ひたすらこそばゆい。

8日現在の台湾感染者は前日から219人増えて累計11,694人、死者は同じく22人増の308人となった。が、同じ日の日本の累計感染者は前日比1,885人増の76,604人、死者は同じく99人増の13,759人。よって台湾はまだ「さざ波」だが、今まで抑え込んできた分だけ、今後の蔓延が懸念される。

日本の新型コロナによる死者の年齢別データ(5月31日時点)を国立社会保障・人口問題研究所のサイトで見てみると、合計13,056人のうち90歳以上2,249人、80歳台4,541人、70歳台2,500人、60歳台772人、59歳未満2,994人となっていて、60歳以上が77%を占めている。

日本はWHOの推奨に沿い、PCR検査で陽性を示した死者をすべからくコロナ死としていると巷間いわれるので、筆者はこれら9千人余りの高齢者の死因が、本当に新型コロナ肺炎なのか、それともそれが契機にはなったものの、実は老衰や癌など他の疾患による死なのか、疑問に思っている。

そこで台湾の死者の年齢別データを調べてみた。すると5日の「元気網」なるメディアが、中央流行疫情指揮センター医療対応チームの副リーダーによる「死亡者の89.1%が60歳以上であり、平均死亡年齢は72歳で、全死亡者の81.7% に慢性疾患の病歴がある」との発表を報じていた。

日本のコロナ死の平均年齢は70歳代後半といわれる一方、日本と台湾の19年度の平均寿命を比べると、日本は男性81.4歳で女性が87.5歳、台湾は男性77.7歳で女性84.2歳と、概ね4歳ほど日本の方が長いので、台湾と日本のコロナ死者の平均年齢の差は平均寿命の差並みか。

こういった事態を受け、台湾の国会はその国民性を反映してか、日本以上に大荒れの様相だ。台湾立法院では8日午後、蘇貞昌行政院長と中央流行疫情指揮センターの陳時中所長が野党国民党の曽銘宗議員の激しい攻撃に晒された。

曽議員が「308人が死亡したが、陳氏は謝罪すべきか?」と問うと、陳所長は「これは謝罪の問題ではない。非常に残念に思う。この状況を沈静化するために努力する」と答えた。蘇院長も「これは謝罪問題ではない。陳所長は1年以上、流行防止に懸命に働き、その効果は良好だった。政府は死者や感染者がでたことを遺憾に思う。政府の対応が不十分だったので改善したい」と述べた。

曽議員は「私は謝罪を求めた訳ではない。が、308人が死亡したに政府の誰も謝罪するといわない」と激高、「質問の時間を停止し、この問題をボイコットする」と述べた。これに陳所長は「命は尊い。センター長として、深くお詫び申し上げる。この様なことが二度と起こらないよう最善を尽くします」と述べ、蘇院長も同様に陳謝した。

先の米国での政権交代にも政府のコロナ対応が少なからず影響したようだし、日本の菅内閣の支持率も長引く緊急事態宣言からか、ここへきて急落している。世界でも最優等といわれた台湾のコロナ対策だが、ひとたび流行が始まれば即座にこういった状況に陥る。

偶さか側聞したことだが、高雄のある日本人向けのクラブは、日本人の往来が途絶え、政府からの給付金の類もなく(給付対象に当てはまらないとのこと)、一年以上も赤字が続いているという。こういう状況はまさに共産中国の思う壺、民進党政権と対立する国民党としては攻め時が来た、ということか。

一方、ここへ来て武漢ウイルス研究所での「機能獲得」研究やウイルス流出の究明が再浮上している。一年前、すでに沸騰していた話で、これまでトランプに批判的なビッグテックやメインストリームメディアの「ban」や「報道しない自由」によって消されていたことだ。

Facebookはトランプのアカウント凍結は延長するようだが、この問題では5月末に方針転換し、新型コロナウイルスの武漢研究所流出説の投稿禁止を撤回した。が、このようなことが堂々と罷り通ること自体、正常であるべき国際社会の神経が麻痺してしまった、といわざるを得ない。

とはいえ、ファウチCDC所長の3千通余りのメールが表に出てきたり、トランプがノースカロライナの共和党集会で10兆ドルを賠償すべきと演説したりで、この問題の究明と共産中国への批判が再び高まっているのは極めて好ましいことだ。

いま国際社会の平和を脅かしているほとんどの出来事は共産中国が発信源といって過言でない。新型コロナウイルスの起源調査と隠蔽調査が一刻も早く進展することを願う。