菅元総理のヒトラー呼ばわりを容認する保坂区長

世田谷区議会は本会議での代表・一般質問を終え、3月いっぱいかけて、予算特別委員会で各所管ごとの質疑を行う。ひえしまは、運営委員でもあるので、新型コロナ感染が広がる中、万全の対策を講じ、滞りなく進行できるよう心を砕きたい。

さて、私は一般質問で、1億円PCR検査バスのお粗末さを追及しただけでなく、菅直人元総理が日本維新の会と創設者である橋下徹氏をヒトラーになぞらえて批判した投稿を、保坂区長がどう認識しているのかも質した。私が問題としたのは、区長が1月28日にニューズウィーク(日本版)に掲載された、ブロガーの藤崎剛人氏の記事をリツイートしたことである。

このリツイートには、藤崎氏の論考の中の以下の文章、「『ナチスの手口に学んだらどうか』と発言した麻生太郎財務相(当時)の発言を、当時維新の会の代表を務めていた橋下氏は、『憲法改正論議を心してやらなければいけないというのが(発言の)趣旨だったのではないか』と擁護した。本来はこの発言こそ『国際的にご法度』なはずだ」という文章がわざわざ切り取られ、貼り付けられている。区長が感銘を受けた箇所に違ない。

そもそもリツイートは、これまでのいくつかの法的な見解を見ても、一般的にもその投稿に賛意を示す行為であると見なされるわけだから、区長が藤崎氏の主張に賛同している、と多くの人々は理解するのが自然である。藤崎氏の論考の趣旨を述べるとこうである。

 

1月21日、立憲民主党最高顧問の菅直人元総理は、日本維新の会と橋下氏について、ヒトラーになぞらえてツイッター上で批判。これに対して、橋下氏が「ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」、また、吉村洋文・大阪府知事が「国際法上あり得ない」と反論した。これを藤崎氏は、「国際的にご法度」や「国際法上あり得ない」と言うのは誤りだ、と橋下・吉村両氏を指弾し、菅氏の発言は「論評の範囲内で問題ない」とするものである。

そして、藤崎氏は区長がコピペした文章にある通り、麻生氏の発言を橋下氏が言及した内容こそ、「国際的にご法度なはずだ」と断定しており、区長はその藤崎氏の主張に賛同していることで間違いないか、と確認したのだが、明快な答弁は得られなかった。

私はホロコーストなどをはじめ、非人道的行為を行った許されざる独裁者として歴史の評価が定まっているヒトラーになぞらえて、他人を批判する行為は、それがたとえ政治家どうしであっても、厳に慎むべきであると考える。藤崎氏は橋下氏が麻生氏の発言に触れたコメントについて、「国際的にご法度なはずだ」と非難しているのだが、そもそも、橋下氏が「ナチスの手口に学んだらどうか」と言っているのではなく、それは麻生氏の発言であり、橋下氏はあくまでその見解を述べたのに過ぎない。

それを藤崎氏は麻生氏ではなく、橋下氏だけを一方的に断罪しており、結果として菅氏の問題発言は免罪されるという文脈のこの論考は、公正さや正確さを欠いた、甚だ偏ったものであると言わざるを得ない。こうした極めて政治色の強い、特定政党とその関係者を貶める文章を、公正・中立を旨とすべき92万区民のトップに立つ、区長という立場の公人が、軽々しくリツイートしてよいはずはない。保坂区長のツイッターには、11万人以上のフォロワーがおり、その影響力は決して小さくないのだ。私はこのリツイートの削除を求めたが、区長は受け入れていない。ということは、結果として、菅氏の主張を容認していることと同じである。

菅氏のヒトラー投稿については、JNN(TBS)の世論調査で70%の国民が「問題」と答えている。

保坂区長はジャーナリストでもある。不適切な言論には厳しい態度で臨むべきだが、それは望めないということだろう。国民の常識と乖離していることは、明らかである。