100円玉貯金より5円玉貯金の方が経済合理性がある

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節約法の1つに100円玉貯金というのがあります。毎日家に帰ったら、財布の中の100円玉を取り出し瓶の中に入れていく。それが無意識のうちに節約につながると言う子供騙しのような方法です。

このようなことをしても資産形成にはほとんど意味がないと思いますが、5円玉貯金であれば、面白いかもしれません。

何故なら、日本経済新聞の記事によれば、どの価格が急上昇し、円安も相まって5円玉の製造原価が84%まで上昇しているからです(図表も同紙から)。

日本経済新聞より

5円玉は、銅と亜鉛の合金の「黄銅」でできています。3.75グラムのうち、60~70%が銅なので、銅は平均して2.44グラム含有されているそうです。

硬貨の意図的な損傷や鋳つぶしは、法律違反です。溶かして銅を取り出すと貨幣損傷等取締法違反で罰せられることになります。だから、今後価格が上昇しても、5円玉を集めて金属として利用する事はできません。

しかし、もし今後さらに円安や銅の価格上昇が続けば、5円玉の製造方法変更し、銅の比率を下げる可能性があります。

そうなれば現行の5円玉は、レアコインとして5円以上の価値で取引されることになるのではないでしょうか。100円玉貯金をするよりは経済合理性のある行為です。

ただし、5円玉の製造コストがもし10円になったとしても、10,000枚持っていて50,000円が100,000円ですから、大したメリットにはなりません。

私は現金をほとんど持ち歩かず、万が一のために紙幣を何枚か携帯に挟んでいますから、5円玉を見る機会はまずありません。なので、この話にはご縁は無さそうです(お後がよろしいようで・・・)。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。