『円安と補助金で自壊する日本』を読んで浮かんだ3つの疑問

「円安と補助金で自壊する日本」(野口悠紀夫著)を昨日読んだ。

例によって駆け足で読破したので誤解が多いかもしれないが、以下のような疑問を抱いた。

まず、日本は韓国と違って輸入が輸出を大きく上回る「経常赤字」なので、支払いのためにドルを買わなければならない。

ドルが買われると、ますます円安になり「経常赤字による円安スパイラルが起こる」と書かれている点が気になった。

しかしながら、為替取引に占める実需の割合は10%程度で約90%は(いわゆる)投機だ。

経常赤字はたかだか10%の実需に過ぎない。

実需によって円安になりそれを見越した投機筋が更に円を売るというのであれば理解できるが、経常赤字だけで「円安スパイラル」が起こるとは考えにくい。

経常赤字による実需の円売りが、為替取引の約90%を占める投機筋に影響を与えるのだろうか?

もしそうだとしたら、「スパイラル」とは言わないのではないだろうか?

第二に、金利を上げると日銀が債務超過に陥り日銀への信頼が失墜すると書かれていた。

確かに日銀も株式会社であり債務超過は法人の破産原因になる。

しかし、日銀券である円は日本で強制通用力を持ち、ごく一部の例外を除けば日本国内では円で決済するしかない。

破産状態にある日銀が発行した通貨であっても、我々は使わざるを得ない。

自国通貨で支払うよりドルで支払った方が喜ばれる国もたくさんあるが、日本国内では円決済がほとんどだ。

ドルで支払おうとしたら多くの店で断られるだろう。

このように、国内の決済のほとんどが円で行われている以上、日銀の信頼が崩れても問題はないのではないかと考える。

第三に、円安による原材料高を消費者に転嫁できず粗利が減るので、企業は従業員の給料を上げることができないという趣旨の記述があった(私の誤解かもしれない)。

ならば、消費者に原材料高を転嫁すれば従業員の給料は上がるのだろうか?

日本企業の賃金が上がらないのは、「稼ぐ力の弱い」旧態依然たる産業構造が温存されているからだ。

成長産業に人材がどんどん流入することが必要であることは野口先生も認めている。

消費者への価格転嫁は徐々に行われているが、それで日本人の低賃金問題が解決する訳ではない。

私は、常日頃から野口先生を著書を愛読しており、わかりやすい文章で鋭い指摘がなされていることに感銘を受けている(おそらく、野口先生の崇拝者の一人だろう)。

浅学非才で経済は専門外の私の疑問など一蹴されるかもしれない。

「知らぬは一生の恥」と思い、一人でも多くの方々から有益なご指導をいただきたく本投稿を書いた次第だ。

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編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2022年10月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。