今年1月2日のブログに「ひろの10大予想」があり、その中で株価についてこう予想しています。
(株価の予想は困難) 株式投資を14歳から始めた私も2022年の株価予想をするのは極めて困難だ。理由は起こりそうな大変革が多すぎてどの問題が株価や経済に最大のインパクトを与えるか読めないからだ。一見すると悪いニュースが推し並ぶがマネーも地球上に溢れるほどある。近視眼的な動きが強まり、乱高下が続くかもしれない。ただ、止まない嵐はないはずで、案外、一年後の株価は今と同じ水準とか、もっと高くなっているのかもしれない。」
1-2か月ほど前、G20が終われば(イベント通過感で)年末にかけてラリーを予想しました。私のその予想はインフレ鎮静化期待と世界の様相が少し見えはじめ、投資家の不安が解消されることでマネーが動き出すだろうとみたわけです。しかしG20が終わっても相場はちっとも動かず、膠着状態だったのですが、東京市場が今週になってようやく動き出し、北米市場は実質週明けから年末ラリーになりそうです。
このところ、さえなかった動きの理由は前回の「今週つぶやき」でも指摘したように市場の出来高が少なかったことが主因ですが、これも来週には復活しそうです。悪役は原油価格で現在NY市場で77㌦程度に下落しています。原油価格の下落は株式市場の下落、と考えて頂いてよいでしょう。原油の需要が多ければ産業が活性化していることであり、それが廻りまわって景気を押し上げ、株価も潤うのがシナリオになります。
ということはアナリストや専門家が見込む来年の景気後退が今後、どの程度なものになるのか占うのが今後の試金石であり、まずは金曜日から始まるショッピングの動向が注目されます。
今、ラジオをつければブラックフライディーのセールスのコマーシャルが例年に比べはるかに多く流れてきます。販売競争は熾烈で商品の価格は割引価格の値札から更にレジで値引きするような状態になっています。レジでの値引きはこのところ、北米でよくあるセールス攻勢で「メアドを登録したら更に1割引き」なんて言うのは当たり前になってきています。(故にレジに時間がかかり、長蛇の列になりやすい弊害もあります。)逆に言えばそれぐらいしないとモノが売れないとも言えそうです。
アメリカの消費者物価指数の指数構成の約4割は住宅関連費で賃料のウェイトも大きいのですが、アメリカでは利上げにより潜在住宅購入者層が賃貸住宅に留まり、物件を売った人も一時的に賃借を選択するケースが増えたため、賃料が高騰してインフレ率を押し上げたのも一つの原因です。大家もローン支払いのため金利の上昇分をカバーするため賃料を引き上げたい動機が生まれています。つまり、今のインフレはFRBの自作自演的なところもあるのです。よって利上げに対する不信感は今後更に強まるはずで利上げ打ち止めは春には見られると予想しています。
とすれば目先の株式相場の焦点は景気後退に対する耐性、つまり企業業績が耐えらえるか、にかかってきています。アメリカのハイテク系は雇用調整がリストラ感となり、株価をサポートしていますが、あまり嬉しい話ではありません。もう一つ見えてきたことはドル独歩高のサイクルは既に終わったか、最終局面にあるので日本円や新興国の通貨が少し持ち直してくるだろう、とすれば行き過ぎたドル高の修正から世界経済は多少、改善するだろうと予測できます。
また、中国の動きは要注目ですが、日経に「中国が『脱ドル』か 名乗らぬ中銀、金の大量買い」と題した記事を入れています。22年の中央銀行による金(ゴールド)の購入量が既に1960年以来の規模に膨れ上がっているというのです。新興国の中銀がかなり金の保有高を増やしているのは分かっていますが、たまにしか保有量を公表しない中国が相当仕込んでいるのではないかとみられています。中国はアメリカ国債の保有量を徐々に減らしていますが、その代わりに無国籍通貨であるゴールドを増やすということです。これはロシアの苦悩をみてゴールドの一定量の所有は国家防衛に重要である、と判断した可能性はあります。
これは米ドルが弱含むバイアスに更に拍車をかけることになる点は頭に入れておいた方がいいでしょう。仮に23年度中に円ドルで120円台までゆっくり戻すシナリオを描けるなら日本全体でプラスになるので株価は中期的には上昇波動になると考えるのがナチュラルかと思います。くれぐれも中期であり、目先は景気後退の底が見えるまで上下に振れやすいとみています。
アメリカに投資した海外投資家もドルが高いうちにアメリカ株を売却し、他国の株式に乗り換えることで為替メリットを享受することができます。この潮流の変化を捉えることが重要です。
日本では今年の春から夏ごろでしたか、アメリカ株への投資を煽るメディアの記事が多かったと思いますが、あの時に投資をした方は高値つかみになっていた公算があったと思います。日本では個人向けの投資指南書が山のように売られていますが、投資はどんなに難しくても最終的に自分で分析しないとダメです。
私の投資判断は個別銘柄を調べたうえでチャート的に初動を捉えることに徹しています。コツンとくればそれが小波動か大波動かわかりませんが、そこですかさず動きます。そんなタイミングは極めて限られた期間なので書籍のような印刷物を待っていれば既に全くタイミングがずれているということです。日本の新興企業銘柄なら午前外せば午後は高値つかみなどしょっちゅう起きてしまうのです。
私は皆さんがそれで大事な元手をなくしてほしくないのです。正しい投資への理解が改めて求められるとも言えそうです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月24日の記事より転載させていただきました。