前回の『新型コロナは、もはやインフルエンザより「危険ではない」のか?』でも使った、12月14日開催の第110回アドバイザリーボードの資料を見ていたら、またもや不思議なことを発見してしまいました。
資料3-2-②では、オミクロン株対応ワクチンの「有効率」は71%とあります。
しかし、この資料をいくら読んでも、なぜこの数字になるのか理解できません。作成した鈴木基氏は、国立感染症研究所の感染症疫学センター長です。よって、単純ミスではないと思います。
データから導かれた結論だけ書いておくと、
- ワクチンの効果は現在では「マイナス」である
- 接種後の「魔の2週間」は、未接種者より何倍も感染しやすくなる
- 接種回数が増えるほど「体調不良」が増える
そして、論理的に考えると…
- ワクチン接種開始直後の魔の2週間により感染が爆発する
- 現在は接種者が大多数のため、感染の増加傾向に歯止めがかからない
- 接種回数が増えるほど体調不良が増え、超過死亡も増加する
となり、現実の数値とほぼ合致するのです。
順に説明しますので、内容については皆さん自身で判断をお願いします。
アドバイザリーボードの見解
この第110回アドバイザリーボード資料3-2-②のタイトルは「新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第五報):オミクロン対応2価ワクチンの有効性」となっていて、ニュースでも報じられたとおり、その「有効率」は71%と書いてあります。
しかし、資料をいくら読み込んでも、なぜこの数字になるのかが理解できませんでした。
たとえば、「接種されたワクチンの種類が1回でも不明の者270名を除外して解析した。」と注意書きがあります。ところが、この除外した270人のうち何人が陽性だったのかは書いてありません。ワクチン接種者のうち陽性は1,801人ですが、「本当」はこの除外した陽性者の人数だけ多くなり、その分だけ有効率も下がるはずです。
その他にも多くの疑問点がありますが、次からは論点を絞って説明していきます。
長崎大学の研究報告を読み解く
現実のデータで確認してみましょう。
話を簡単にするため、説明には12月21日開催の第111回アドバイザリーボード資料3-12-①にある長崎大学のデータを使います。この研究には65歳以上のみの数値も明記され、年齢構成が比較的単純で、割と簡単に解析できるからです。
それによると、65歳以上のPCR陽性者489人では、(1)接種歴なしが32人、(2)接種歴ありは457人です。
勘がいい人なら、ここでピンときたはずです。(1)に示す未接種の陽性者が「32人」では少な過ぎるのではないかと…。
なぜなら、65歳以上のワクチン接種率は、常識的には90%以上だからです。ワクチンの有効率が95%なら、接種者の感染は95%防止できることになります。
65歳以上の90%以上が接種済みなら、陽性者(感染者)は未接種に比べて95%減となり、本来の人数の5%に激減するはずで、“無防備”な未接種者の10%より少なくないとおかしい。しかし、現実には未接種者の10倍以上となっています。
ひょっとして、ワクチンの効果はほぼゼロなのでしょうか?
ワクチンの「本当」の有効率を計算する
そこで、「本当」のワクチンの有効率について、データから簡易的に計算してみることにします。
デジタル庁の新型コロナワクチンの接種状況によると、65歳以上で1回でもワクチンを接種した人の割合は92.59%(12月22日時点)で、未接種者は残る7.41%となります。現在は1回目接種はほとんど行われていないため、ここではこの数値を採用します。
もし、ワクチンの効果がないなら、陽性者全体の7.41%が未接種者となるはずです。
もう一度データをチェックすると、陽性者のうち未接種者の割合は、32人÷489人=6.54% となり、驚くべきことにこの7.41%より低いのです。
つまり、接種者は未接種者より 7.41%÷6.54%=1.13倍 だけ「感染しやすい」ことになります。薄々は感じていたものの、さすがに現実の数字を見るとショックを受けました。
もっとも、以上は簡易的な計算ですし、年代による感染率の差も考慮していないため、この1.13倍という数値は厳密なものではありません。ただ、ワクチンの効果が「マイナス」であることを象徴的に表していることは確かです。
「魔の2週間」を実データから確認する
驚くのはこれだけではありません。
この長崎大学の研究には、65歳以上の人の「接種日後13日以内」と「14日以降経過」のデータが区別されて掲載されています。
この数値も、見れば見るほど奇妙なのです。
研究期間ですが、2022年7月1日から10月31日までの123日間となっています。接種日から13日以内は14日間ですから、感染する確率が同じなら、陽性者数もそれぞれの日数に比例するはずです。つまり、接種後13日以内(14日間)の陽性者数は、接種後14日以上経過(123-14=109日間)の14日÷109日=12.8%と予想されます。
ところが、研究期間中に継続して行われた「4回目接種」では、この数値は 43人÷98人=43.9% と予想値12.8%の3.43倍にもなっていました。もっとも、感染が多かったのは7月から8月の2か月で、研究期間は4か月ですから、正味の数値は半減することでしょう。しかし、それでも予想値である12.8%の2倍近くにはなるのです。
ここで思い出すのが「魔の2週間」です。ワクチン接種直後から2週間は免疫が不安定となり、未接種者より感染しやすくなるという仮説です。
上の簡易的な計算結果は、この魔の2週間の存在を裏付ける数値のようにも思えます。
接種回数と「体調不良」の関係
最後に、飛び上がるほど驚いた数字を紹介しておきましょう。
図6 出所:第111回アドバイザリーボード資料3-12-①(P7)
さきほど説明したように、ワクチン接種者がPCR検査で「陽性」になる割合は、未接種者の1.13倍とあまり変わりません。
ところで、この研究の対象となったのは「症状」があった人、言い換えれば体調不良の人です。繰り返しますが、ワクチン接種者と未接種者でPCR陽性の割合はあまり変わりません。よって、陽性に対する「陰性」の人の割合が大きいほど、体調不良の人が多いと推測することが可能です。
そこで、65歳以上の人でこの割合(接種後14日以上経過のみ)を計算してみると、
未接種 0.71倍(25:32)
1回目接種 0.50倍(1:2)
2回目接種 1.23倍(32:26)
3回目接種 1.27倍(329:260)
4回目接種 1.85倍(181:98)
となり、接種回数が増えるほど、新型コロナ以外による体調不良が増える傾向が見られます。
比較しやすくするため、未接種者の数値を1とし、接種者は陽性が1.13倍になる分を補正したのが下のグラフです。なお、1回目は人数が少ないので除外しました。
こうなると、冒頭に書いたオミクロン株対応ワクチンの「有効率」が71%なのは、実は話が逆なのかもしれません。ワクチン接種で陽性者の絶対数があまり変化しないのだから、体調不良者が増えた分だけ陽性者数の割合が減ったのでしょうか。
単純計算だと、その割合は1/(1-0.71)=3.44倍となり、オミクロン株対応ワクチンでは、4回目接種の2.29倍より、さらに体調不良の人が増えるという結果になります。
ここまで書いてきて、だんだん憂鬱になってきました。
アドバイザリーボードの方へのお願い
これれまでに得られた結果を整理すると、
- ワクチンの効果は現在では「マイナス」である
- 接種直後の「魔の2週間」には、未接種者より何倍も感染しやすくなる
- 接種回数が増えるほど「体調不良」が増える
ということになります。
そして、論理的に考えると…
- ワクチン接種開始直後の魔の2週間により感染が爆発する
- 現在は接種者が大多数のため、感染の増加傾向に歯止めがかからない
- 接種回数が増えるほど体調不良が増え、超過死亡も増加する
となり、現実の数値とだいたい合致するのです。
結果論ですが、新型コロナの対策は「何もしない方がよかった」のかもしれません。ワクチン接種なしの実効再生産数を試算してみると、多くの時期で感染収束の基準となる1以下となり、既に感染が収束していた可能性もあります。
もちろん、以上は私のような素人の計算ですから、本当は違うのかもしれません。
同じ事を何回も書いて大変恐縮ですが、新型コロナとワクチン接種について、アドバイザリーボードのメンバー同士で正々堂々と議論を行い、どうか科学的で正確な結論を出していただきたい。このことを、繰り返し強くお願いしたいと思います。
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