フランスを拠点に世界中に店舗展開をし、フランス料理界の巨匠として活躍する、アラン・デュカス。レストラン展開とともに力を入れているのは、”Manufacture”(マニュファクチュール)と名付けた、チョコレート、コーヒー、氷菓、ビスケットをテーマにした専門店だ。
皮切りは、2013年に誕生した「ル・ショコラ・アラン・デュカス」。世界中のカカオ生産地を回って選りすぐったカカオ豆を輸入し、パリ市内に作ったアトリエで、豆の選別から焙煎、練り上げなどの工程からなるベースのチョコレートを製造。それを元に、タブレットやボンボンなど各種チョコレートを作っている。
日本でも注目されている、いわゆる”ビーン・トゥ・バー”。ヨーロッパ各地に残されていた古いチョコレート製造機械を探し、必要なら修理を施し、大手チョコレートメーカーの台頭の陰で忘れ去られつつある職人気質なチョコレート製造に力を入れた。
ベースチョコレートはもちろんプラリネまで丁寧に自家製で作る商品は、すぐに大人気に。今では、国内外に多くの店舗を構え、アトリエも拡大しているが、職人気質なチョコレート作りは健在。多くの人々に愛されている。
チョコレートのマニュファクチュールの成功に続き、2019年には「ル・カフェ・アラン・デュカス」が誕生。名前の通り、コーヒー専門店。
チョコレート同様、世界から選りすぐりのカカオ豆を仕入れ、フランスの焙煎チャンピオンタイトルを持つ職人が、最新鋭の焙煎マシーンを駆使して、豆ごとに最適な温度や時間を考えて絶妙な焙煎を施したコーヒー。豆の購入に加え、カウンターで丁寧に入れた各種コーヒーも楽しめる。
さらに、2021年には、アイスクリーム&シャーベットの専門店「ラ・グラス・アラン・デュカス」が誕生。アイスクリームの聖地として上質な氷菓店がひしめくボローニャで腕を磨いた氷菓職人を招き、アラン・デュカスならではの極上素材と熟練氷菓職人の技術を掛け合わせた、見事なアイスクリーム&シャーベットを精力的に創造。
定番味のほか、フレッシュハーブミックス、グレープフルーツ&ヴェルモットなど、個性的な風味も。アラン・デュカスのいくつかの店では、この氷菓店のシャーベットをソースや香味料に利用した料理も食べられる。
そして2022年にできたのが、ビスケット専門店の「ル・ビスキュイ・アラン・デュカス」。香り高い小麦や栗、蕎麦などの粉をベースに、ノルマンディ地方のジャージー牛農家が作る風味豊かなバターを組み合わせた、シンプルかつ素材の質を感じられるビスケット専門店だ。
職人の手が生み出す技術とそれを大切に継承する、チョコレート、コーヒー、氷菓、ビスケットの”マニュファクチュール”。それぞれの本店は、歩いてすぐそばの距離。4店を梯子して、フランスの食文化の伝統継承に力を注ぐアラン・デュカスの想いが強く宿った職人芸のおいしさを満喫してほしい。
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