自公過半数維持からの衆参同日選挙へ:日本保守党の躍進で自民保守派は全滅

選挙は自公過半数を割っても無所属を入れればなんとか過半数の可能性あたりが強い。そうなったら石破首相は辞任し両院議員総会で新総裁を選んで、来年夏の衆参同日選挙で勝負すればいい。

しかし、そのときは高市さんかといえば、そうはならない。また、日本保守党を実質与党として当てにするのは絶対にやめたほうがいい。

すでに書いたことがあるが、今回の自民不振を招いた混乱は、高市氏が幹事長でなければ嫌だと言い、また高市支持者の一部が執拗に石破を支持した半数以上の議員は落選させようとなどと騒いだことに始まる。

与党不振の戦犯は石破氏?高市氏?:選挙後の政局を占う
「高市早苗さんは応援したいが、石破自民党だけは絶対に許せない」とか言って、高市さんの応援団だった人たちが、比例で自民党に入れずに日本保守党などに入れろとか、小選挙区でも総裁選で高市に入れなかった候補者には投票するなとかネットで暴れまくって自...

それに対して、石破首相も村上誠一郎総務相といった愚かな人事をし、さらに、裏金議員への広範すぎる処分をしたので収容がつかなくなった。

石破首相にも責任はあるし、退陣ということになってもおかしくはないが、こういう場合に高市さんということにはならない。

落選運動を主導していたのは、福井県立大学名誉教授である島田洋一氏だが、島田氏は保守党の近畿ブロック比例名簿で1位になっている。

島田洋一氏Xより

落選運動というのは、島田氏が福井県立大学時代に地元の稲田朋美議員にLGBT問題での見解の相違を理由に執拗に展開していたものだが、それを、総裁選挙の結果が気に入らないからといって半数以上の議員に広げた形だ。

一般に選挙に参加した限りは、選挙で負けたら結果は受け入れるべきだから、選挙終了早々からの辞任要求、打倒運動などおかしい。まして、自分は日本保守党から選挙にでるつもりだったとなれば、二重国籍者による内乱扇動みたいなものだ。

米国の予備選挙でも問題になって州によっても違うが、ふたつの政党に属したり支持者のような顔をして活動するのは、いいことでない。国共合作で国民党に共産党員の加入を認めたのが、中国国民党をおかしくした第一歩だった。

また、保守党との関係を曖昧にすることは、参議院選挙でも支障が出る。次回の和田政宗、佐藤正久、有村治子、衛藤晟一、山東昭子といった保守派の議員が改選期を迎え、衛藤晟一以外は再立候補しそうだ。しかも、杉田水脈とか長尾たかしも出馬するらしい。

清和会の弱体化の中でいまの候補者だけでも苦しいのに、仮に日本保守党が登場すれば、その得票は、ほとんど自民支持者だった人たちのなかでも保守派が移ってくるものだろうから、自民党の保守系候補者が本来、得るはずだったものだ。間違いなく、自民党のなかの保守系議員は大きく減少するだろう。

もうひとつ心配なのは、島田氏が正々堂々と『日本独自核抑止力をもつことを国会の場で主張する」といっていることだ。

日本の核武装を堂々と主張する政党が数議席を獲得するかもしれない勢いだというのは、被爆国の国民としてちょっと平静には受け入れられない。。

日本が米国の核兵器を借りるとかいろんな可能性があるのだから、頭から否定することもあるまいという意見もある。

しかし、その人たちが勘違いしてると思うのは、島田氏は勉強するべきだとか、可能性のひとつとして検討すべきだといっているのでなく、独自核抑止力をもつべき、つまり即時の核武装を主張していることだ。

どんな形であれ将来の可能性を研究することすら完全に排除するのはおかしいとか、具体的な選択肢としても全くありえないわけでないとかいうなら、そういうことを主張すること自体慎重であるべきだとおもうが、そういう意見の人がいることはありうる。

しかし、核武装すべきとかいうそんな議論は、安倍さんだってしたことない。被爆国としての矜持から完全にはみ出た国益を毀損するものとしてとんでもないと思う。

島田洋一氏の核武装論だが、ひとりの議員がそう思っているだけでなく、政党を代表して国会で意見を表明しようということのようだから、中国に軍拡を、北朝鮮や韓国にも日本に警戒する口実を与えることになるだろう。そんな党が議席を絶対に好ましくない。

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