前回の記事では、草ぶえの丘指定管理者選定の仕様について
- 指定管理期間:過去実績としては5年以内としていたが、10年に延長
- 指定管理費用:前回の公募では年間上限額6,800万円としていた管理費用を1億円に増額
という大改変がなされたことにより、同事業が利権の温床になりうるゆがみを抱えることになった、という指摘をしました。
ここはとても重要なポイントなので、もし本稿から読み始めた読者の方がおられましたら、ぜひともこちらの記事からお読みください。
本件は、本年3月21日の予算特別委員会にて審議が行われました。本件を含む同日の審議のすべてをご確認いただく場合は、佐倉市議会の公式サイトをご確認ください。
ただし、これは丸一日の委員会の議論すべてを文字起こししているので、とてもではないですが読みきれません。
そこで、私が同日の「草ぶえの丘指定管理者」関連の審議についてのみ抜き出してみました。また、このページには事前に配布された資料や、審議にあたった議員(委員)名も書いてあります。
2024年度(令和6年度) 佐倉市当初予算審議 草ぶえの丘の指定管理に関する審議抜粋
予算審査の方法と草ぶえの丘指定管理者の事業審議
議論の内容についてお話しする前に、佐倉市議会の当初予算の審議について説明します。
予算審査特別委員会の委員に選ばれた12名の議員は、予算委員会では、1部局当たり一人10分の質疑時間が与えられます。
図が、このときの同委員会のスケジュールです。赤い下罫線の個所が、草ぶえの丘指定管理者の審議を含む「1部局」という単位です。
ご覧いただければわかるとおり、産業振興、環境、農業にかかわる予算全般を、10分の質疑時間で実施しなければなりません。その10分内訳は、委員による「質問」と、執行部側の「答弁」を合わせた時間なので、できる質問は多くて7事業程度、場合によっては、1事業で時間終了、ということもありえます。
そのような審議で、一般財源でいえば500億円以上の予算を決めてしまうシステムがどうか、という問題もありますが、そこはおくとして、委員としては部局あたりの質問を効率よく実施できるように、事前に内容を精査する必要があります。
一方、佐倉市にとってこの「草ぶえの丘指定管理者問題」は、過去議会を大きく揺るがした重要事業です。過去二回にわたって、佐倉市議会が「さくら会等議員団」と「それ以外」で立場が割れた議案でした。
事前の説明資料が不十分ならば、限られた時間の中ではあるものの、判断できるレベルの核心的な質問をすることが議員の務めであることは言うまでもありません。
佐倉市議会の分類
ここで少々横道にそれますが、「さくら会等議員団」と「それ以外」とは、「保守」と「左派」の対立だろう、と思っておられる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
まず、この記事を書いている「それ以外」の議員である私にしたところで、分類上は保守ということになるでしょうし、「それ以外」の議員の中には、自民党の議員や、参政党の議員もいます。もちろん、「それ以外」には共産党をはじめとする左派勢力もいますが、「それ以外」の議員は、議案ごとに立場も賛否も異なります。
ちなみに、この草ぶえの丘指定管理者の議案に関しては、お話ししたとおり「さくら会等議員団」は2回にわたり「反対」しましたが、共産党等の左派の議員も、理由は異なりますが本事業に「反対」しています。
「さくら会等議員団」と「それ以外」を分類するとすれば、「賛否拘束をかけることで権力を保持し、行政を操る側(さくら会等議員団18名)」と「是々非々(それ以外10名)」という分類になるでしょう。
次回は、冒頭紹介した予算委員会の審議について解説します。
(次回につづく)
【関連記事】
・佐倉市草ぶえの丘の指定管理者選定問題①:議会の横暴に関する典型事案
・佐倉市草ぶえの丘の指定管理者選定問題②:指定管理者の二回の否決
・佐倉市草ぶえの丘の指定管理者選定問題③:指定管理者否決の問題点と謎
・佐倉市草ぶえの丘の指定管理者選定問題④:大改定されたいびつな仕様