汚職大国中国の本気が見られる名著の紹介と日本はどう対抗すべきか?という話

要点まとめ

『レッド・ルーレット』は、中国の富・権力・汚職の内幕を暴露するリアルな記録です。著者が体験した共産党幹部とのコネ社会の実態や汚職構造は驚愕の連続で、同時に迅速な意思決定の合理性をも示唆します。一方で、日本は汚職の少ない清潔な社会を維持しながら、民主主義を基盤とした効率的な合意形成の仕組みが必要と考えさせられる内容です。

年末年始に時間がある時に読むのにすごいオススメな本を紹介したいんですが・・・

この本↓、単純にめっちゃ面白い上に、中国という国の実像についてものすごく考えさせられるし、その上で日本はどうやってこの「困った巨人」と付き合ったり対抗したり競争したりしていけばいいのか・・・について本気で考えるためにものすごく重要な情報を与えてくれる本でした。

私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット:中国の富・権力・腐敗・報復の内幕

どういう本なのか、そして内容の紹介だけでなく、中国という国の運営方法についての考察と、ソレに対して日本はどうやって対抗していけばいいのか?というような話をします。

1. ”自由主義社会育ち”の中国人が体験する「中国共産党幹部の世界」のリアル

この本の特徴を一行でいうなら、この小見出し↑みたいな感じなんですね。

作者のズモンド氏は上海生まれなので「物心つくまで」は中国本土にいたんですが、その後10歳の時に両親が親戚を頼って香港に亡命して、その後香港で極貧生活から両親が成り上がっていく横で育ち、アメリカに留学して香港で仕事をはじめて・・・という生い立ちなので、かなり個人としては「自由主義社会育ち」寄りの人物なんですよね。(ちなみに1968年生まれなので、日本でいうと今50代なかばの「バブル世代」みたいな感じの世代感です。)

でもその後改革開放時代の中国でキャリアを積むに従って、「ガチの中国育ちで共産党幹部のコネを掴む事に命を賭けている奥さん(ホイットニーさん)」と出会って、その後二人で協力して「共産党幹部とのコネを利用しつつ巨額の富を築くビジネス」を成功させる。

とはいえこのデズモンドさんは「自由主義社会側」の育ちなので、ガチ中国人なら疑問を持たないような部分にも一応毎回疑問を持ちつつ、冷静な筆致で「実際にそこで起きた事」を丁寧に書いているので、すごく読みやすいし面白いです。

でもその後、ホイットニーさんとは徐々に考え方の違いから衝突するようになり、離婚して息子を連れて英国に別居したんですが、その後ホイットニーさんは(おそらく中国国内の政治闘争に巻き込まれて)突然行方不明になってしまったそうです(恐ろしい・・・)。

最後のところで、筆者が中国の現体制に対する怒りを述べている部分があるんですがなかなか切実でした。(自分は子どもの頃から中国への愛国心を持って育ち、大人になってからはビジネス面で数々のプロジェクトを成功させて貢献してきたのに・・・という話に続き↓)

だが、いったいどんな体制が、ホイットニー・デュアン(筆者の妻)を襲ったような違法な拉致を許可するのだろう?人を世の中から消し去り、そのことを両親や息子にも知らせもしない権利を捜査機関に与えるのは、どんな体制なのだろう?アリストン(二人の息子)は当然、母親に会いたがっていたが、彼や私達みんなを最も苦しめたのは、彼女に何が起きたかわからないことだった。ホイットニーはどこにいるのか?果たして、生きているのだろうか?

2. ”絵に書いたような汚職国家”で飛び交う札束の金額の大きさ

とはいえ筆者とその妻が、成功するまでの間に相当に危ない橋をわたったのも事実で、そのプロセス自体は不謹慎ですが他人事としてみるなら「面白い」エピソードに事欠かない感じではあります。

奥さんのホイットニーさんは、あの温家宝首相の奥さんである「張おばさん」という人の懐に入り込んで、おばさんの望むことをどんどん先回りして実現する存在になりきることで、中国で重要な有力者とのコネ=「関係(グワンシー)」を築いていくわけですね。

右が温家宝首相(ウィキペディアより)

で、その「有力者の庇護を受けている立場である」という威光を利用して、色々な投資案件に噛ませてもらったり、北京空港の物流センターのプロジェクトを担当させてもらったりする事で財をなしていくことになる。

でもこれ、例えばジョイントベンチャー会社を設立したり、独占分野を持つ未公開巨大国有企業の株式に投資するにあたっても、張おばさんは「協力する」というだけで、実際に「出資金」を入金してきたりは一切しないんですね(笑)自分たちでリスクは一切取らない。

「顔を貸してやる」「温家宝首相の奥さんの庇護下にある存在だと示してやる」だけで、なんと最終利益額の3割を貰っていく・・・というのが「中国共産党の有力者」と関係を利用する時の「相場感」らしいです。

もちろん契約書とかはない「信用」だけの世界だけど、そのあたりの「相場感」から外れたような事をして「有力者」を失望させると一気にビジネスどころか「命の危険」もありえるので、当然それは支払うしかないという感じ。

とはいえ、十数億人の巨大国家が急激に資本主義の狂乱に巻き込まれていく中で、その中である種の独占的立場を得られた存在は、巨額の利益を得られる事が珍しくない。筆者夫妻もだいたい四桁億円ぐらいの資産を築いたようです。

その後の「金遣いの荒さ」もめっちゃすごくて、筆者も奥さんも余り裕福でないどころか「極貧」と言っても嘘ではない育ちから大富豪になったので、

・「奥さんは狂ったように世界中をプライベートジェットで飛び回り二桁億円のダイヤや美術品を買いまくる」
・「数百万円の時計とかは官僚に賄賂で送るために一気に何本も買っておく
・「有力者を巻き込んだ新ビジネスをやるにあたって関係者を集めて行った接待欧州ツアーはワイン代だけで1500万円」

みたいな感じで・・・

なんというのか、特に奥さんの方は、「高官の機嫌を取ることに全振りして生きてきた」みたいな感じだからか、いわゆる本当に「他人が欲しがるものを欲しい」的な方向で「とにかく一番高いものを買いたい」みたいなお金の使い方が印象的でした。

不妊治療するってなったらまず「北京で一番高名な」お医者さん以外眼中になく、そこにコネを使って予約をねじ込んでもらい、それでもしばらく授からないとわかると今度は「世界で一番高名なニューヨークのクリニック」にまたこれコネで予約をねじ込んで、実際そのNYの病院の近くのアパートを買っちゃって不妊治療するみたいな。

奥さんはガチ中国育ちなので、そういうニューヨークのお医者さん相手でも「接待攻勢」をかけまくらないとちゃんと診てもらえないだろう・・・と必死にアレコレやろうとして、先方が困惑してるのを見て旦那さん(筆者)は少し気恥ずかしい思いをした・・・とかいうところとかすごいリアルでした。

あと面白かったのは、「ステータス大事」な中国らしい話として「自家用車のナンバープレートを3000万円で買う」っていう話が(笑)

「京A80027」っていうプレートなんだけど、「A」は北京の都心で登録された事を示し、次の「80」は所有者が国務院の部長クラス以上であることを示し、「027」という若い暗号は国務院(中国の内閣)と何らかの繋がりがあることを暗示しているらしい。

で、そういう「特権的なナンバープレート」があると、バス専用レーンや歩道を走れるし、違法なUターンや信号無視もお咎めなしになり、気に入ったレストランの前の駐車禁止区域に停めていても平気らしい。

本全体としてあまりに常識を超えてる話が沢山出てくるんですが、著者は「中国ビジネスをする外資系」もわかっていてこの「輪」の中に入って暴利を貪っていたじゃないか、というような批判的なことも結構書いてますね。

最初にビジネスを始めた時に筆者は香港のプライベート・エクイティにいたんですが、本来は輸入ビールには高い関税がかかるはずなのに、筆者の会社の投資先の会社だけは「なぜか」無税で輸入できたりして・・・(有力者との関係があるとそれができるらしい)

でも、投資先がすごいグレーなことをやっていても、投資してる香港の会社とかシンガポールの会社とかアメリカの会社は「そういうのは知らないフリ」をして儲けていたらしい。

一度は人民解放軍の将校が、軍艦を使ってビールを輸入しないかとか言ってきて唖然としたとか(笑)

なんか、「こういう有力者に取り込んで特権的なビジネスを立ち上げてそこに出資する」のに最も熱心かつ最も成功してたのはシンガポールの国有ファンドだ・・・っていう話も面白かったです。

そうそう、あとは北京空港関連のプロジェクトをやるにあたって許認可権限持ってる官僚たちをまとめてロサンゼルスに接待旅行につれてったら、現地についてからある有力官僚が心臓が痛いというのでアメリカの病院につれてったら・・・

そこで「絶対安静」ってお医者さんに厳命されたのに本人が「仲間と一緒にラスベガス行きたい」って言い張るから無理して行かせたら案の定心臓発作が起きて死にかかり、必死で病院につれてって緊急手術で命を助けた・・・結果、「俺達の兄貴の命を救ってくれたお前は香港人だけど俺達の仲間だ」って事になって急激に話が通るようになった話

・・・みたいな、「香港映画に出てくる”マフィアの下っ端の気の良いマヌケキャラ”のドタバタ劇じゃないんだから」みたいな感じで面白かったです。

こういう「面白い話」が大量にある本なので、ぜひ手にとってみていただければと。

3. 無茶苦茶なようで合理性もある汚職経済の全貌

で、ここまででこの本の「面白さ」は伝わったと思うんですが、それに加えて非常に考えさせられるのは、こういう「汚職経済があることの合理性」みたいなものもまたあるような感じなところなんですよね。

本の中では、北京空港に隣接した最新型の物流センターのプロジェクトを筆者夫妻が手掛ける話がかなり詳細に出てくるんですが、こういう

「野心的な海外留学帰りの斬新な発想」が「有力者の権力」と一体となることで、ゴリゴリと押し通して一気に実現してしまえるという一定の合理性

…は、まあ賛否両論あるとしても事実としてあるなと。

これが、「中国製造2025」計画とか、最近の中国の電気自動車が世界を席巻しつつある成功に繋がっている面は明らかにある。

例えば空港の立地って世界中で色々問題起きがちで、というのは巨大都市に近い土地って色々と利権が絡むしそこの土地に元々住んでいた人たちとの関係性とかが難しい問題に発展することがありますよね。

そういう課題について、成田の土地問題が延々と揉め続けた事で、「アジアのハブ」を韓国の仁川国際空港に取られてしまった・・・みたいな形で、「無数に無数にいるステークホルダーの利害調整」に時間を取られないように、「有力者」の顔さえ立ててれば納得感が生まれるというのは、(繰り返すように賛否両論あるでしょうが)一定の合理性はある。

そういう「無数の色んな人々の意見がバラバラでまとまらない」みたいな状況を避けるために、「三割のみかじめ料」を払うことで「頭良い人が考えた壮大なプロジェクト」を押し通すことが可能になる・・・ってことですね。

この本の中では、そういう「地方の名士」的な存在である「土皇帝」みたいな存在は、地域を私的な領地のように経営した問題はあったが、そういう存在は地域社会をよく理解していて、何が必要で何が必要でないかを知っており、引退してから近所の住民に恨まれたくないので、地元を大切にする政策に着地をするよう心を尽くした・・・というような評価もしています。(それが習近平時代になってから徐々に強烈な中央集権化によって、中央から派遣されて現地に何の思い入れもない存在に置き換わってしまった問題もあるらしい)

田中角栄的な存在が生きていた頃の日本が、こういう「大域的な合意形成が必要な話題」をある程度うまく処理できていた側面もあった・・・というような現象に近い論点がここにはあるように思います。(ただ角栄時代とはいえ中国ほどの”汚職度”では全然なかったような感じもしますが)

ただなんにせよ、日本人と比較して、中国人は「実力者の意向を汲んでそれに合わせて動かないと!」という精神はものすごくある人たちなんだな、というのは感じましたね。

骨の髄まで「上意下達」が染み付いてるというか。

私はコンサル業のかたわら趣味で色んな個人と「文通」をしながら人生について考える仕事もしていて(ご興味があればこちらから)、それで繋がってたある「アメリカのビッグテック」で働いてる女性が、

「中国人の同僚と話す時には、ただ決定の結果だけじゃなく、いま上層部がどういう意図で動いていて今後どうなっていきそうかとかちゃんと話さないと何か隠していると疑われる。でもそういう情報をちゃんと常に伝えるようにしていけば、すごくこちらの意図を汲んだ動きをしてくれるようにもなる」

といっていて、そういう部分が「中国人の長所」でもあるわけですけど・・・

意外なことですが、日本人は中国人に比べるとよほど「お上に対する反骨心」がある面があるというかこういうのは「忖度だ!」って日本では徹底的に嫌われる要素という感じで、じゃあどうやって中国が実現しているような「無理やりではあるものの大域的な合理性」に対抗していけばいいのか?というのは大きな課題ですね。

4. 「汚職に厳しい国」日本はどう対抗するべきか?

要するにここまでの話をまとめると、

中国の常識外れの汚職の横行は、しかしそれによって「意思決定の迅速さやある程度の一貫性を保つ効果」というバカにできないパワー自体は実際に持っている

ってことですね。

それは特に日本のように「とにかく合議に時間がかかる国」としては真剣に考えなくちゃいけない。

ある種の「日本という国を憎悪しているタイプの日本人」の人からすると日本だって「自民党のお友達が全てを支配しているとんでもない邪悪な汚職国家」に見えているかもしれませんが、実際は以下記事にあるように、アジアでダントツの「汚職の少なさ」だと世界的にも認められているレベルなので・・・(特に”ビジネスと政府の関係”のクリーンさでは世界一の評価になっているらしい)。

汚職の少なさ、日本は世界10位 政府の清廉度でアジア首位維持 | 共同通信
世界で汚職防止に取り組む米国のNPO法人「トレース・インターナショナル」がこのほど発表した2024年...

あれだけ「裏金議員!」って大騒ぎしてたけど、受取り自体は合法のお金の不記載でしかなく、しかもその不記載分が議員によっては数十万円ってこともあるのに「裏金!」の大合唱で落選しちゃった議員とかはちょっと気の毒に思うところもありました。

中国なんかは「首相の妻でしかない張おばさんの、さらにその愛人の男」が口利きをするための賄賂が一件数億円の相場とか、有力者に媚を売るためにその息子にプレゼントとして送るスーパーカーが一億円とかそういうレベルなので・・・(しかもそういう有力者の子どもが交通事故起こしたら親の名前出して威張って不問にさせようとする国w)

日本じゃあ例えば国全体を揺るがす話題だった「モリカケ」の「モリ」の方も、諸説ある中で「最も邪悪なケース」を想定してもこの「中国の首相の妻の、さらにその愛人の男」が”日常的にしょっちゅう受け取ってる賄賂一件分”ぐらいでしかない。

さらに言えば、この上で日本ではさらに政治資金の規制をもっともっと厳しくしないと!!!って今国会で議論されてるわけで(笑)、「中国のマネ」とかはもう絶対できない感じではありますね。

それについてどう考えていけばいいのか?というのは本当に悩ましい問題ですが・・・

日本では(社会を一方向に動かすのに必要な大きな合意を取りつける効果を持っていた存在ではあった)「巨悪」がどんどんいなくなった結果として、「小悪」はあちこちにあり、それはただフラグメント化されたそれぞれの持場の「食い扶持」を守るためだけの利権を主張することで全体的なシナジーが壊滅的になっている、みたいな問題はありそう。

しかしとはいえ、日本はそこで「もう一度汚職を許容できる国にしていきましょう」みたいな方向でやっていける国の状況では全然ないですよね。

いわゆる”モリカケ”の「カケ」の方も、日本における獣医学行政の上でまあまあ合理性があった案だという意見の人もかなりいる状況ですが、それでもアレだけ揉めたりするのが日本なんで・・・

「ちょっとした事も許せん!」と思う人がこれだけいることが、結局あちこちで役所が賄賂を要求したりしない清潔さが保たれている結果に繋がってる面はあると思うので、それはもう「日本はそういう国」なことを前提とした上で、どうやって大域的なみんなのための合理性を合意していけばいいのかを考える必要があるってことですね。

それはどうしたらできるんでしょうか?

5. 「中国の短所」を超える道を日本は進めるはず

中国のこういう「ガチ汚職国家」的な話は、どんな経済課題も「国」がなんとかしちゃう、そうしないといけなくなる・・・という課題はあるわけですよね。

中国経済がいかに「国が何でもかんでも解決する無茶苦茶な剛腕っぷり」でできているのか・・・という本を紹介したらめっちゃバズって数百冊ぐらいこのリンクから買ってもらったことがあるんですが・・・(以下リンクをクリックすると解説文がもう少し長めに続きます)

上記の本の紹介文から以下引用↓

笑っちゃったのが、欧米で「サプライサイド経済改革」っていうと市場のチカラで選別して次に伸ばすべき分野に自然とお金が集まり成長するメカニズムの事を意味するわけだけど、中国におけるサプライサイド改革というのは、国が「お前の会社は無駄だから潰せ」って言って潰しまくり、そこで生まれた失業者を今度はあふれるほどの公共事業をやって吸収しちゃうことらしい(笑)
そんな「お手盛り」をやってたらどんどん「国が全部コントロール」しないとすぐ破綻しちゃう依存症みたいになっていくはずですが、まさにそういう感じだから恐ろしい。
よく言われているような、

「今はボスの習近平がバカだから、せっかく育った経済を壊しちゃうような強権発動しちゃってるんで、彼をやめさせさえすればまた自由な経済が戻ってきてすぐに良くなるんでは?」

…というのは”甘すぎる期待”なのではないかという感じがしたのがこの本を読んだ最大の学びかもしれません。

なぜなら、中国経済の過去の流れの中に「国の強権がないと成り立たないような無理」が内包されすぎていて、ただただ経済を回しているだけで、今日より明日、明日より明後日に向けてもっと「国の権力を強化しないと破綻しちゃう」みたいな恐ろしい”不可避的な構造”がある感じなんですよね。

こういうの↑に対して、日本は今後「国の力でなんでもやる」はできない状況にどんどん追い込まれていくので、逆に「適切な市場主義」で伸ばすところを伸ばし徐々に撤退するべきところを撤退していく自然な「上善如水」的な経済に転換していけるだろうという可能性はありますね。

それは以下の記事で書いたとおりです。

人口減少時代は絶望しかないか?|倉本圭造
ものすごく絶望的な話を聞かされるのかな?と思って読み始めたら妙に希望の持てる分析で、なんだか自分が考えている日本経済の今後とも合致する感じがした本を紹介したいんですよ。 それは、以下の本なんですが… ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」 坂本貴志 この本は、以下に今後の日本が いかに想像を絶す...

また「政治面」においても、

しばらく石破が続くかも?と思う理由(安倍は遠くなりにけり)|倉本圭造
石破内閣の支持率急落 1カ月前の46%から34%に 朝日世論調査:朝日新聞デジタル  衆院選の結果を受けて、朝日新聞社は11月2、3日に全国世論調査(電話)をした。石破茂内閣の支持率は34%と、1カ月前の組 digital.asahi.com 所信表明演説直後から既にすごい地を這う支持率にいきなりな...

今の「これどないせえっちゅうねん的議席配分」の結果として、どこかの誰かがクローズドに握りしめて何かを動かすことがどんどんできなくなる結果として、本当の意味で「衆知」を集めて決めるようになっていける、それは「超長期的にアメリカ一強ではどんどんなくなっていくグローバル社会における舵取り」の上でも重要だ、という視点はありえると思います。

最近の、103万円の壁関連の国民民主党とか維新とか立憲とか自民その他の「ドタバタ劇」には心を痛めている人も一部にはいると思いますが・・・

でもこれまで「官僚と自民党の部会」だけでクローズドに決めていたものを、これだけ「オープンにギャアギャア騒ぎながら決めて行けている」というのは、本当の「民主主義」のためには非常に大事な変化であるはずなんですよね。

日本の官僚はかなり優秀だと思いますし、「山積みの問題を破綻せずになんとか穏便に」落とし所を見つける能力は超すごいと思うし、それによって今までの日本の「安定」は保たれてきた功績は否定できないと思いますが!

とはいえ、そういう「弥縫策」でダマシダマシやるのも限界では?っていう流れになってきている中で、ある程度「ノイズ」の含まれるだろうけれども、それでもちゃんと「オープンな議論」ができるようになっていかなきゃ・・・という方向に日本社会は向かっているということなのだと思います。

今はまだギクシャクしていますが、その先で「ただ官僚システムの惰性の延長でなんとかなる範囲だけで帳尻を合わせる」ような方向ではない決断が丁寧に可能になる情勢に持っていくしかないですね。

それが、「中国型の汚職国家によって国家の権力を高めて一貫性を無理やり生み出す」みたいな方向ではない形で、日本なりに「民主主義をちゃんとやる」ために必要な産みの苦しみなのだと思います。

なんとか、「汚職にめちゃ厳しい国=日本」ならではの方法で、そういう「ちゃんと衆知を動員して状況に対応できる国」にしていきましょう。

今回記事と対になる以下の記事では、「日産&ホンダ」提携問題と、あと最近話題の落合陽一氏の会社のトラブル問題に関連させながらこういう「大域的な連携」のあり方を今後日本でどうしていけば良いのか?について考察してるのでそちらもぜひお読みください。

ホンダ&日産提携問題の本当の課題は何なのか?そして”落合陽一氏の会社”の話も・・・|倉本圭造
自動車業界に興味を持ってある程度ニュースを見ていた人からすると「イマサラ」感があった日産の経営危機ですが、結構世の中的には予想外にショックが大きかったのが意外だったというか、「このままでいいのか日本!?」みたいな機運が高まってきているのを感じています。 「このままでいいのか?」っていう機運が高まること自体はすごく良い...

長い記事をここまで読んでいただいてありがとうございました。

ここ以後は、特に「レッドルーレット」の本を読んでいて思った話として、筆者の奥さんの「他人が欲しがるものが欲しい。そしてそれを自慢せずにはいられない」っていう感じが爆発してる感じのヤバさ・・・についてもう少し考察してみたいと思っています。

なんだかんだ日本社会はここ20年ダラダラと内輪で守りあって暮らしてきたので、そういう「他人がどうこうでなく自分が欲しいものを欲しがれよ」という方向性が、社会の中である程度維持されてる側面はあるように思うんですよね。

もちろん、SNSが生活のあらゆる側面に入り込んできた今の時代には、徐々にそういう「自分という存在の意地を通す」のは難しくなってきてはいると思いますが・・・

一方で、この本の中で奥さんが「金入ってきてどんどんオカシクなってってる」時期に、筆者のデズモンドさんの方は、「毎日末端の空港職員がいるオフィスにいってしょうもない話して帰って来る」のが楽しくて仕方ない!みたいになってってて(笑)、その違いもすごく印象的でした。

「男女差はいつもこういう形で現れる」みたいな話ではないにしろ、この「奥さんの方の狂気」が社会の中で蔓延しかかった結果として、「習近平型の強権」が「人々の潜在的民意」として待望された面があるんじゃないか・・・というような話などを以下では掘り下げます。

(お知らせ)2025年2月7日に新刊出ます。過去一番の「ほんとうに全力を尽くして良い本を作れた」と感じています!年明け1月中旬にはアマゾンの予約もできるようになるのでぜひよろしくお願いします。

つづきはnoteにて(倉本圭造のひとりごとマガジン)。


編集部より:この記事は経営コンサルタント・経済思想家の倉本圭造氏のnote 2024年12月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は倉本圭造氏のnoteをご覧ください。