早春の茶所:福岡・八女ドライブ

八女中央大茶園

福岡県南部の八女。昨日は寒波襲来で季節外れの雪がこの地を襲いましたが、春分の日の今日は穏やかな晴れ。絶好のドライブ日和となりました。明日は20℃くらいまで気温が上がると予想されてまさに三寒四温を経て着実に春が近づいてきています。春といえば、一番茶の茶摘みがはじまる季節。そんな春を先取りして福岡を代表する茶所、八女市をドライブしました。

八女市には前々から行ってみたいお茶畑がありました。その名も「八女中央大茶園」。大茶園というからにはさぞ広大な茶畑なんだろうな、と思いながら車を走らせます。そしてその展望所から見た景色がコチラ。

大茶園やーーん!

見渡す限り茶畑が広がり、その名に偽りなきお茶の大農園が目の前に広がります。その広さは70ヘクタール。1969年から4年をかけて県のパイロット事業として山を切り開いてお茶の栽培を行ってこの規模の大茶園となりました。静岡でも茶畑の中をドライブしましたが、この規模の茶畑を見るのは初めてです。

展望台に備えられたベンチに座れば一面に広がる緑の茶畑をゆったりと望むことができます。今日は茶畑の向こうがかすんでしまっていますが、空気の澄んだ日には佐賀平野の向こう、有明海や島原半島まで望めるそうです。

東の斜面もベンチ、そして眼前に広がる茶畑。

展望台から道を下り、茶畑の中を歩きます。まだ冬と春が入り混じったような日が続いていますが、これから暖かくなれば新芽が芽吹き、5月にはおいしいお茶が収穫されるのでしょう。

梅の木はひと足早く春を迎えました。

展望所に戻って来ました。展望所にはGreen Monsterというカフェがあって、八女茶を飲みながらテラスからお茶畑を眺めることができます。

白と黄色を基調とした清潔感漂う店内。

八女茶の抹茶のカフェラテを頂きました。濃厚な味わい。今年も香り深いお茶をたくさん楽しめることを期待したいです。

八女茶カフェぶんぶく

 

ちょうどお昼時になったので、食事をとることにします。八女中央大茶園から山を下りたところにある「八女茶カフェぶんぶく」さん。八女美緑園製茶の直売店の隣に、お茶の味を店内で楽しめるカフェが併設されています。

抹茶パフェやアイスも魅力的だったのですが、お昼時ということもあって抹茶を練り込んで打たれた茶そばをいただきました。八女のお茶を存分に楽しむ、そんなドライブになりました。

八女福島の白壁の町並み

福島城外堀跡。

続いてやってきたのは八女市役所のある福島地区。関ケ原の戦いの翌年、1601年に田中吉政が福島城を築き、廃城後も商人地がここに残りました。

紺屋町の信号付近には白壁の街並みが広がります。リノベーションしたうえで今も店舗で活用されているものが多い印象です。

こんなサッシが印象的な木造家屋が多い。

心理カウンセラーとしてリノベされた店舗。

ドラマの撮影で使われそうな病院は今も現役。

横町の町家は観光案内所になっており、3月のこの時期はひな人形が展示されているとのこと。ちょっとのぞいてみることにします。

これは……合コン?

福岡県は埼玉県に次いでひな人形の生産が盛んな県です。その中でも八女市は「雛の里」と呼ばれ、多くのひな人形の故郷とされています。あなたのお宅にあるひな人形ももしかしたら八女で生まれたものかもしれませんよ。

最後は鉄オタらしく廃線跡へ

さて、最後は鉄オタらしく鉄道関連のスポットに立ち寄ります。

現在、八女市に鉄道は通っていませんが、かつては筑後市の羽犬塚駅から八女市の奥、黒木(くろぎ)まで国鉄矢部線が通っていました。第一次特定地方交通線に指定され昭和60年に廃止されており、現在鉄路はほとんど残っていませんが、その残り香がかすかに残る場所があります。

こちらは福島地区にあった旧筑後福島駅の駅舎。元あった場所から少し移設して公園内で倉庫として利用されています。

ここは鉄道記念公園。旧築後福島駅跡を活用しており、このように機関車の遊具も備えられています。

鉄路の跡もほんの少しだけ残ります。

まだ冬の装いですが、八女は藤の名所でもあります。この歩道にはシーズンには500メートルの藤のトンネルができるのですが、この藤棚は矢部線の廃線で不要となったレールを使って作られています。

おわりに

福岡のお茶の一大産地、八女市。山の斜面一面に広がる大茶園だけでなく、古い街並みも楽しめる見どころの多い町でした。春は新茶が積まれるお茶の一番おいしい時期。この時期に八女市を訪ねてみてはいかがでしょうか。

ホッとするまち 八女市で心やすらぐ旅へ|[旅色FOCAL]福岡県八女市特集
福岡県八女市は、言わずと知れた“八女茶”の産地です。また、数多くの伝統工芸が息づく手仕事のまちでもあり、石工は古墳時代、手漉き和紙は安土桃山時代、仏壇や提灯は江戸時代からの歴史があります。現在も古い街並みが残り、歴史ある手仕事や八女茶の魅力に触れることができます。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。