悪い成功体験は必ず破滅に向かう

黒坂岳央です。

作家でタレント、岩井志麻子氏がこの記事でとても印象的な言葉を残している。それが本稿タイトルの「悪い成功体験は必ず破滅に向かう」というものである。

一般的に成功体験は良いものとされる。だが、すべての成功体験が良いわけではなく、世の中には「いい成功体験」と「悪い成功体験」が存在すると思っている。

Khosrork/iStock

悪い成功体験がもたらす罠

人は一度成功を経験すると、それを繰り返したくなる。これは「スモール・ウィンの罠」とも呼ばれ、最初は小さなズルでも、「誰にもバレなかった」「うまくいった」という経験を積むことで、次第に大胆な不正行為に発展する。

また、正常性バイアスで、過去にうまくいった悪事も「これからも大丈夫だ」と錯覚しやすくなる。

例えば、詐欺師が一生詐欺をやり続ける理由は、簡単に手早く大金が手に入るからだ。一度その味を覚えると、コツコツ地道に働いて稼ぐのがバカバカしくなって何度でも繰り返す。

また、詐欺の被害者の多くはお金を失っても泣き寝入りすることが多いため、「捕まらないなら大丈夫」と思い込んでしまう。しかし、それが繰り返されると、被害者の中には法の垣根を乗り越えて報復に出る人も現れたりする。

これはたとえると自分の命や信用をチップにして、人生丸ごとかけごとをするようなものだ。しばらく当たりを引いても、一度外れを当てることで再起不能な打撃を受ける。

持続可能でない挑戦は破滅を招く

法に触れる行為や、人の恨みを買うような行動は、長期的に見ると破滅の道を歩むことになる。一時的に大金を手にしても、それは長く続かない。

例えば、違法なビジネスで巨額の利益を得ても、いつかは摘発されるリスクを伴う。また、不法で横暴な経営で一時的に会社を成長させても、従業員の反発や顧客離れによって崩壊する可能性がある。

要するに、短期的な誘惑に負けず、長期的な成功を目指すことこそが、本当の意味での賢い選択なのだ。

悪い成功体験は、一時的な甘い蜜のようなものだ。しかし、それに依存すると、次第に身動きが取れなくなり、最終的には破滅へと向かう。やる前から破綻が確定的であるため、最初から持続性のない挑戦はやる価値がないのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。