日本は選挙運動のやり方をすぐに変えるべきだ

谷本 真由美

ナタで襲撃されたNHKから国民を守る党の立花孝志党首氏の事件で、日本でも選挙運動の最中に候補者が襲われる事件が起きることがあるのだと自覚された方が多いのではないでしょうか?

立花孝志党首 NHK党インスタグラムより

私は自分の著書である『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズでも海外の政治家が選挙運動や有権者の陳情を聞く機会に殺害された事件を取り上げ、日本人に注意を喚起するようにしてきました。

私はこのような事件を契機としてもう日本は選挙運動のやり方を変えるべきではないかと考えています。

日本も格差が拡大し、自分の生活の不満を政治家や有名人特定の組織といった人々にぶつけようという人間が増えていくでしょう。そしてアメリカや欧州のように、ネットの情報で扇動される人々も増えています。

彼らは自分達の不満を、街頭演説したり有権者と握手したりする候補者や現役の政治家にぶつけるでしょう。事実立花氏は暗殺未遂にあったわけですが、岸田元首相も暗殺未遂にあい、安倍元首相は実際に殺害されてしまいました。

たった数年間の間にこれだけの事件が起きているわけですから、やはり政治家の身の安全を確保するために選挙のやり方や有権者との接触方法を根本的に変えなければならない段階に来ていると考えます。

まず街頭での演説会と有権者と物理的に接触するイベントは廃止するべきです。日本の選挙では有権者に直接顔を見せて握手をし、演説をすることが選挙において大変重要なのだと主張する人々がいますが、しかし他の先進国では日本のように駅の前や道で政治家が大声で語り立てて演説をやっているような国は実は多くはありません。

特に国政選挙となれば選挙区が広くなりますしアピールしなければならない有権者も多いので、物理的に顔を見せることが難しくなります。

しかもイギリスの場合などは市議会選のレベルであっても朝から該当に立って有権者にアピールをしたり演説をしたりするということはありません。

その代わりに候補者の政策をまとめた冊子を自治体や政府が作って各家庭に配布をして終了です。その方が各候補者の政策をじっくりと検討することができますから有権者にも便利です。またその他にテレビ討論も行われることもあります。

ネット広告が解禁されている国もありますが、ただしこれも厳しい規制が存在することもあります。

いずれにしろ現在はネット時代ですし日本は高齢化で外出できないという人も多いわけですから、物理的にアピールしなければならないというのは実は恐ろしく非合理的で効果の薄い戦略なのではないでしょうか。

そして政治家や有権者が街頭演説をしたりイベントに出たりするとなると、身の安全を確保するために莫大な警備費用が必要になります。

警察も出動しなければなりませんからその間は犯罪の取り締まりを行うことができません。

政策は冊子やネットで知ることができるのに我々の貴重な税金をこのような警備に使うことは妥当でしょうか?

さらに私は選挙カーによる運動も廃止するべきだと考えます。

あれは大変日本独自のもので他の先進国では車に乗って政治家があんな風にかなりたてたらすぐに苦情が来て誰も投票しなくなります。

日本は病気で家にいる高齢者も多いですし、夜勤の人もいるわけです。赤ちゃんがいる家もあります。騒音を市街地で流すのは迷惑以外の何者でもありません。

重要だと考えているのは政治家や政治活動を行っている人だけではないでしょうか?

私の周りでは選挙カーが来て嬉しいという人は1人もいません。

日本はもう途上国ではなく洗練された先進国なのですから、街中の騒音や様々な状況にある方々への配慮もするのが当たり前だと思います。

そしてイギリスのような国では個別訪問は禁止されていないのですが手間暇がかかるので実際は政治家が各家庭を回って投票お願いするということはほとんどやっていません。しかも個別訪問の最中に賄賂を渡したらこっそり通報されて逮捕されてしまうわけですから。

しかも電話による勧誘もないのです。どこかの政治家や政党から電話がかかってきたら激怒して投票しない人が増えます。

日本では今まで慣例だからということで先進国ではほとんどやっていないような選挙活動を未だにやっているわけですが、税金も限られていますし高齢者の介護費用もかかる上に、これからは安全保障の費用もどんどん上がっていきます。

そういう中で税金をより効率的に使う選挙運動のやり方を考え直しても良いのではないですか。

選挙運動を簡素化すれば政治家の人の身の安全も確保できますし、お金もあまりかからない上に騒音もありません。良いことだらけなのになぜ反対するのでしょうか?

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