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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。
商工会などの経済団体加入で、仕事は取れる
Q:仕事を取るために地元の商工会などに入れば、絶好の営業場所になりそうです。
地域密着で仕事をするなら、商工会などの団体に入るのがよいと聞きました。経営者が集まっている会ですし、仕事は取りやすいと思います。絶好の営業場所だと思うのですが、何か気を付けることはありますでしょうか?
結論からいえば、商工会などの団体に入ることで仕事は取れます。しかし、当然入っただけで仕事が来ることはなく、いくつかの注意点が必要です。
まず、本論に入る前に各団体の概要を知っておきましょう。多くの経済団体が、社会活動の貢献や企業の繁栄のためにつくられています。
(1)日本商工会議所
明治時代からある経済団体。130万人以上の会員を誇る組織です。活動は日本国内のみに留まらず、国際的な活動も行います。
(2)全国商工会連合会
商工会議所と名称は似ていますが、別の団体になります。活動は商工会議所と似ていますが、小規模企業中心の活動で、国内の活動が中心的になります。
(3)中小企業家同友会
47都道府県にあり、4万人以上の経営者が参加しています。経営体験を報告する例会などが行われています。
(4)倫理研究所
個人会員20万人、経営者6万5千社が参加する会。法人の会を倫理法人会と呼び、こちらが比較的一般名称として知れ渡っているようです。社会教育、研究、文化、出版などの事業を行なっています。
(5)ライオンズクラブ
世界最大の社会奉仕団体「ライオンズクラブ国際協会」に所属する単位クラブで、ボランティア活動が主な活動内容になります。
(6)ロータリークラブ
国際的な社会奉仕連合団体「国際ロータリー」の単位クラブ。ボランティアや社会活動が中心の団体です。
この他にもさまざまな団体がありますが、士業として活動するのであれば、おおよそこのくらいの団体と関係していくのが一般的です。
地域団体は、「血縁団体」に近い
話を元に戻しましょう。こういった団体に入ることで仕事は取れるようになります。しかし、ただ入っただけでは効果はありません。
逆の立場で考えてみるとわかるでしょう。あなたがこういった団体に長く所属していたとして、素性のわからない新人会員に喜んで仕事を出しますか? あるいはあなたには会の活動があるのにもかかわらず、自分の営業しかしない会員に好印象を持ちますか? 答えはいわなくてもわかるはずです。
つまり、こういった団体に入って仕事が欲しいと思えば、自分の事務所の営業活動などはせずに、会の活動をしっかり手伝うことが重要になります。定期的に開催されるイベントや、忘年会や新年会、各祝賀会やパーティなどに参加し、積極的に活動していくことが必須です。その中で、あなたの活動が評価されたとき初めて、仕事を頼まれるようになります。
私自身も東京都調布市の商工会に所属していました。特に私は生まれが調布市だったわけではないので(埼玉県出身)、余計に「よそ者」でした。そのため、営業活動などは一切せずに会の活動や大小さまざまなパーティや飲み会に参加し、会の一員になることを目指しました。半年以上そういった活動を繰り返すことによって、存在を認められ仕事が増えていきました。これは私だけの経験ではなく、各地域のクライアントから報告いただいているので、どこの地域でもおおむね間違っていない戦略です。
もう少しかいつまんで説明すると、「君、いつも一所懸命いろいろなイベントに参加していて好印象だな。ところで、仕事は何をしているんだ?」といわれるようになれば、仲間入りといえます。こういった地域団体は、あなたがどんな仕事をしているかよりもあなたがどういう人間なのかのほうが圧倒的に重要なのです。
適切な距離感で活動することが重要。
ところで、開業して間もない頃で時間に余裕があれば、こういう団体のイベントには積極的に参加できますが、徐々に仕事が増えてくると飲み会など断らざるを得なくなる可能性もあります。このとき気をつけたいのが、「一定の距離感」で付き合いは続けるということです。
あまりに離れ過ぎてしまうと仕事がこなくなってしまいますし、逆に近づきすぎても本業がおろそかになってしまう恐れがあります。イベントも3回に一度の参加程度にして、徐々に自分なりのペースをつかんでいくことが重要だといえるでしょう。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2025年2月13日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。