アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。
政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!

政治・経済・社会保障
宮古島駐屯地司令・比嘉隼人1佐は、訓練を妨害する活動家に「許可を取れ」と発言した件で上層部の指示を受けて謝罪に追い込まれました。初期には「訓練に謝罪はしない」としていた防衛省や政治の対応は、現場自衛官の名誉を毀損し、国家としての無責任が顕在化した象徴的出来事とされて批判が高まっています。
自衛隊・宮古島駐屯地トップが活動家に屈することになった防衛省と政治の無責任(アゴラ編集部)

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日本の少子化対策として、著者は「高齢者福祉の縮減」が一部の効果を期待させる政策ではあるものの、少子化そのものを根本解決するものではないと指摘しています。ただし、社会保障費の軽減によって可処分所得が増え、消費を促進するなど景気にはプラスに働く可能性もあり、複雑な政治判断の要素を含んでいると論じられています。
社会保障・老人福祉を削れば少子化は解決する説(Murasaki@論文解説お兄さん)

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参院選大敗による辞任の声があっても、石破茂首相(自民党総裁)は「俺はこの国を滅ぼしたくない」と続投の意志を貫いています。自身と政治改革(政治資金制度・選挙制度改革)こそが必要との思いと、参政党らのポピュリズムに対抗するという立場が原動力だと語っています。一方で、共感や支持は広がっていない現実もあります。
大型選挙3連敗したのにポピュリズムと戦うなどという言葉が出てくる自民党総裁(茶請け)

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創価学会と公明党は、日本最大の宗教団体とその政党組織でありながら、多くの日本人が教義や関係構造を理解できていません。メディアでも「得体の知れないもの」として扱われることが多く、言論空間では好意的な記述が難しい空気があると指摘されています。八幡和郎氏は、これらを「顧客満足度の高い組織」と好意的かつ客観的に描き、その仕組みを一般向けに説明する意図で著作にまとめています。

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戦後80周年の今、欧州では日本の戦争責任に固執せず、成長するアニメ文化や経済協力が若年層の日本への好感につながっています。イギリスではかつて日本軍の記憶が強かったものの現在は安全保障や経済パートナーとしての信頼が優勢に。ニュースで強調される歴史責任より、現実の信頼関係や未来志向を重視すべきであると論じられています。
日本はもう謝罪し続けるべきではなく未来を見るべきだ(谷本 真由美)

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令和になって日本では二大政党制が崩壊し、多党化が進んでいます。もともと参議院の「ねじれ」構造が制度的な欠陥を生み、与野党が双方とも中小政党に依拠する形での運用は長続きしませんでした。制度改変を待たずして自然発生的に生じた多党化は、現代政治の構造的リセットと言えます。

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2025年8月22日、新発10年国債利回りは一時1.615%に上昇し、2008年以来の高水準に達しました。背景には、消費者物価が前年同月比で3.1%上昇したことにより日銀の利上げ観測が高まったことがあります。米国での金利上昇も連動し、30年債利回りも過去最高の3.20%に。膨大な財政赤字下で金利上昇は財政負担を増大させ、景気や国債市場への懸念が深まっています。
長期金利が1.615%に上昇:与野党でバラマキ合戦をやってる場合?(アゴラ編集部)

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今週のVlogです。
国際・エネルギー
ロシアのプーチン大統領が、ウクライナに「NATO型」の安全保障体制を認める姿勢を示したと報じられました。これは戦争の長期化に打開策となり得る一歩であり、米ロ会談での成果とされています。一方で、日本を含む30カ国がその枠組みづくりに関与との報道もあり、安全保障への具体的な関与について石破政権には国民への説明責任が求められています。
プーチン、ウクライナの「NATO型」体制への参加容認か:日本の部隊派遣はある??(アゴラ編集部)

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国際関係の戦争終結研究では、「情報の不確実性」と「コミットメント問題」が終結を妨げる要因とされています。ウクライナ戦争では、互いの戦力や相手の意図が見えにくく、停戦合意後に破られるリスクがあるため、終結への動きが難しいとの見方です。停戦のためには、「戦争を終える合意が守られる仕組み」が不可欠であると論じています。
ウクライナ戦争はどのように終わるのか:戦争終結研究から考える(野口 和彦)

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米アラスカ州で開催されたトランプ氏とプーチン氏の米露首脳会談後、「ウクライナの安全の保証」について一定の進展があったと強調されたものの、ロシアの攻撃は継続。ゼレンスキー大統領のロシア大統領との会談は現実味を帯びず、欧州各国での安全保障に関する議論も停滞しています。制裁強化を通じた圧力戦略の不在が、交渉の行方を不透明にしています。
米露首脳会談と「その後」の変貌?:揺らぐウクライナの「安全の保証」(長谷川 良)

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「2050年までに日本の砂浜が6割失われる」という報道がありますが、この予測は「Bruunルール」として知られる単純なモデルに基づいており、科学的に誤った情報とされています。実際には、日本の砂浜減少の主因はダム建設や護岸工事による砂の供給停止で、海面上昇だけでは説明できません。気候変動リスクと人為的要因を分けて捉える必要があるとしています。

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斜面に無造作に設置されたメガソーラーは設計・施工・環境評価の杜撰さが目立ち、民法第709条による“過失責任”、国家賠償法による“行政の監督責任”が問われ得る事態です。全国で制定が進む条例や、住民の差し止め訴訟など、制度による抑止と地域主体のアクションも重要な対応策として示されています。
メガソーラーの杜撰な設計に法的責任は問えるか:技術者が見た現場と制度(室中 善博)

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2024年11月9日夜、四国電力管内で最大36万5,300戸の停電が発生しました。原因は、他電力との連系線の制御がうまくいかず、需給バランスの崩れと系統周波数の低下によるものです。送電系統では5秒ごとの周波数調整が欠かせず、新規参入発電所が対応しづらい規制問題も浮き彫りに。系統の安定には構造的改善が欠かせないと論じられています。
2024年11月9日その時何が起きたのか?四国電力大停電を解析する(尾瀬原 清冽)

ビジネス・IT・メディア
沖縄・今帰仁村のテーマパーク「ジャングリア沖縄」は、プロモーション映像では「大自然没入型」の体験を謳っていましたが、実際は送電線やゴルフ場跡地に植林された森が目立ち、「大自然」とのギャップが批判されています。アトラクション数も実質11種程度とされ、広告が期待感先行である点に注意が必要だと指摘されています。成功には今後のリアルな体験向上が鍵となりそうです。

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日本では、狭い土地に三階建ての住宅を建てる“狭小住宅”が増えています。1階を駐車場として延床面積を増やし儲ける構造ですが、実際に使われているのは空き車庫であったり、階段が曲がりくねって高齢者には危険だったりと問題も多いです。街並みの美観や住まいの長寿を考え、市町村による都市計画と緑地義務の導入が必要とされています。
三階建て狭小住宅の謎:人口減や街並み維持を考えず儲け主義に走る事業者たち(岡本 裕明)

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米国では大卒の新卒者が「就職氷河期」のような困難に直面しています。生成AIがプログラミングなどの定型業務を代替し始め、IT大手の新卒採用が冷え込んでいます。経験や判断力が必要な仕事だけは人手不足が続く一方、日本では中高年雇用の硬直性により新卒採用縮小が進み、米国以上に厳しい就職環境に陥る恐れがあります。
アメリカに「AI就職氷河期」が到来:日本の就活はより苛烈になる可能性(アゴラ編集部)

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AIや自動化の進展により、ホワイトカラーの職は淘汰が進む一方で、肉体労働や現場技術には依然として人間の判断力が求められ、価値が見直されています。日本でも建設・土木分野の求人倍率が4~8倍と高水準で、ホワイトカラー職は1を下回る状況です。Fラン大進学よりも「手に職」をつける道を検討すべきだという提言です。
Fラン大より職業訓練!21世紀はブルーカラーの時代だ(Xポスト転載)

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コンビニはかつての“便利の象徴”ではなくなりつつあり、支払い・チケット購入・荷物受取などの役割はネットや宅配箱に取って代わられています。その一方で、イオンの「まいばすけっと」やディスカウントスーパー「トライアルGO」などが小型店舗で食品に特化した展開を進め、コンビニの居抜き物件に出店するケースも増えています。結果として買い手層が分散し、競争はますます激化していると分析されています。
コンビニは生き残れるか?撤退した居ぬきにまいばすけっとやトライアルGOが出店(岡本 裕明)

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2025年度の新入社員調査によると、「同じ会社に長く勤めたい」は過去最高の51.8%、「自分の能力で仕事が続けられるか不安」は71.3%に上り、安定志向が顕著です。特に「年功序列」を望む割合は56.3%と過半数を超え、成果主義には抵抗感が強い傾向が見られます。若者の不安に対応する制度設計が求められています。
成果主義を敬遠し「年功序列」に回帰する新入社員たち(関谷 信之)

科学・文化・社会・一般
現在の大学教授やリベラル論客がカタカナ語や難解な概念に頼り過ぎ、俗化した「ルー大柴化」していると批判しています。戦後世代の知識人が「学問の土着化」を重視してきた歴史的背景を踏まえ、いまこそ言葉を“お守り”ではなく、庶民の生活に届くように噛み砕く姿勢が必要だと主張しています。
令和の大学教授は “ルー大柴” になり、そしてみんな信じるのをやめた。(與那覇 潤)

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広陵高校の甲子園出場辞退を契機に、著者・金尾泰之氏は昭和型の体育会系部活動の問題点を鋭く指摘しています。部活と学業が一体化し、Exit(退部や転校)が難しい体制が暴力や不祥事の温床になっていると論じます。欧州のような学校外クラブ制度への移行が必要で、「必要悪」としての容認はすでに通用しないと訴えています。

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2022年、京都市の高齢者施設で86歳女性がクリスマスのお寿司を喉に詰まらせて亡くなった事件で、名古屋地裁は施設側に「慎重さを欠いた」として約2,900万円の賠償を命じました。その結果、介護現場ではお寿司や餅など誤嚥リスクのある食事が禁止されるなど、安全重視のあまり“生活の質”が犠牲になる恐れが強く懸念されています。
86歳女性の「お寿司で窒息死」に2900万円の損害賠償:裁判所が医療介護を破壊する(アゴラ編集部)

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チャーチル政権下のイギリスは、1940年の絶望的状況にも関わらずナチス・ドイツとの和平を拒み徹底抗戦を選びました。当時、アメリカの参戦期待、ドイツ経済の脆弱性への過信、心理的効果としての爆撃戦略などが背景にありました。民主主義を守る価値のためという美談とは異なり、現実には実利と戦略への期待に支えられた判断だったと論じられています。
民主主義国はどんな犠牲にも耐えるのか:チャーチル政権のナチス・ドイツへの抵抗の虚実(野口 和彦)

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上野千鶴子氏の「現役世代は平等に貧しくなれ」といった挑発的な発言は、社会に潜む本音をあえて剥き出しにするスタイルです。建前を越えて発言するその姿勢が意図的であり、攻撃的な言動こそが彼女自身のモチベーションの核であると分析しています
上野千鶴子センセーってなんでいつも一言多いの?と思った時に読む話(城 繁幸)

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山口・長門湯本温泉は、昭和の団体観光中心だった温泉街から転換を図り、廃れた鉄道駅をBRTに替え、星野リゾート界や新たな公衆浴場「恩湯」、竹林や紅葉のライトアップ階段、地ビール店などを整備。回遊性豊かな街歩きを演出し、「おとずれたくなる」温泉地として再生しています。
「おとずれ」たくなる温泉地へ:生まれ変わりつつある長門湯本温泉歩き。(ミヤコ カエデ)







