小泉進次郎陣営の「ステマ指示」問題から見える政治の危うさ

自民党総裁選はいよいよ本格化し、最有力候補とされる小泉進次郎農水相の陣営で「ニコニコ動画」に“ステマコメント”を投稿するよう指示が出されていたことが報じられました。

小泉氏自身も「私は知らなかったが、陣営の責任はすべて私にある」とおおむね認めています。

この問題には、単なる“選挙戦術の一つ”で済ませてはいけない重大な論点が潜んでいます。

ステマの効果があったようにも思えないコメントが並ぶニコニコ動画(編集部)

信頼を大きく損ねた小泉陣営

総裁選で圧倒的な支持を示すように見せかけるため、意図的に「ポジティブなコメント」を流し込む。しかもその文例までリスト化されていたという報道には、政治の世界を見てきた私でさえ驚きを隠せません。

こうしたやらせ的行為は、国民の信頼を著しく傷つけます。とりわけ「若さと清新さ」を武器に支持を集めてきた小泉進次郎氏にとって、そのダメージは計り知れないものになるでしょう。

SNS規制を議論する与党がこれをやる恐怖

さらに問題の本質はここにあります。

与党・自民党は今、生成AIやSNS規制について真剣に議論を進めています。国民に対して「ネット上の言論を監視・規制を検討しよう」と言う側が、その裏ではネット世論を自ら操作しようとしていた。

このダブルスタンダードを見て、国民が「本当にこの人たちに情報空間を管理させて大丈夫か?」と強い疑念を抱くのは当然のことです。

総裁選への影響は?

今回の“ステマ指示”問題が、総裁選の大勢にどこまで影響するのかは未知数です。

日本の政治において「ネット工作」が過去にどの程度、票や支持に直結したのかは評価が分かれます。しかし少なくとも、候補者の「誠実さ」や「透明性」を問う大きな争点となることは間違いありません。

総裁選は、単に自民党総裁を選ぶだけでなく、日本の次期総理大臣を決める選挙です。候補者の資質や手法は、徹底的に検証されなければなりません。

政治の世界に「信頼」と「透明性」が必要であり、まさにそれが総裁選の争点の一つだったはずです。

こうした中で小泉陣営が落ちてしまった穴は、実は想像以上に深いことになるのか。

総裁選の大勢にどのような影響を及ぼすか、注視していきたいと存じます。


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年9月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。