佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う①:なぜこの計画は「評価不能」なのか

観光推進に賛成の立場から、あえて問う

ふるさと広場拡張事業は、総額約30億円、市の単独負担だけでも20億円超という、佐倉市の財政規模から見ても例外的に大きな観光投資である。

以上をふまえて、結論から話をする。

本稿は、佐倉ふるさと広場拡張計画における「構造的な欠落」を明らかにするものである。

また、その欠落がなぜ生まれたのかという考察では、現市長の任期を前提に「不可逆的な政治的区切り」をつけるために逆算された「欠落承知の強行スケジュール」が組まれた可能性について検討する。

また最終章では、本計画について私が考える公正性・安全性・市民還元を担保するための前提情景を提示し、それらを踏まえて、ふるさと広場の未来について展望を語る。

なお、以下の論考はすべて、市が公表している行政資料および議会での一般質問答弁に基づいている。出典資料は原文のまま、私の公式サイトにも掲載する。

観光事業に不可欠な「設計思想」とは何か

私は、観光事業の推進には基本的に賛成の立場である。

適切に設計され、軸が明確で、市民に利益をもたらす観光政策は、地域経済を潤し、市民の誇りにもなり得るからだ。また投資対効果であげられた税収から、福祉政策などで市民に還元することも可能となる。

だからこそ、観光事業には厳密なマーケティング設計が不可欠であると考えている。

一方で、市民に利益をもたらす観光政策は、本来次の問いに答えなければならない。

  • 何を目的とするのか
  • その目的達成のために、誰を、どのような手段で来訪させるのか
  • どのような動線で迎え、
  • どこで消費してもらい、
  • 佐倉市にどの程度の経済効果をもたらし、
  • その経済効果が市民にどのような便益として還元されるのか

それぞれの項目について指標を設定し、検証しながら進めることが、行政が行うべき最低限の政策設計である。

さらに、そのようなマーケティングを基盤に考えれば、観光開発によって影響を受けるエリア、交通需要、生活環境への影響はある程度予測できる。

したがって、交通・ごみ・安全対策などのインフラ整備を、ハード・ソフト両面で事前に組み込むことが可能となる。

それらが整って初めて、事業の成否は判断可能になる。

佐倉ふるさと広場では何が起きているか

佐倉市の観光事業に関する上位計画である「佐倉市観光グランドデザイン」、「佐倉ふるさと広場拡張整備基本計画」、および令和7年以降の一般質問に対する市の答弁を精査した結果、これらの要件がほとんど、あるいはまったく満たされていないことが明らかになる。

本連載では、以下の質疑と行政資料をもとに、佐倉ふるさと広場拡張整備事業がどの段階で、何を欠いているのかを検証していく。

別添:『【連載】佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う』連載検証用資料

【一般質問】
令和7年6月12日 五十嵐智美議員
令和7年6月10日/9月4日 木崎俊行議員
令和7年12月4日 髙橋とみお議員

【行政資料】
佐倉市観光グランドデザイン
佐倉ふるさと広場拡張整備事業計画 令和4年3月千葉県佐倉市(PDF資料)

行政資料については、佐倉市の公式サイトにも掲載されているが、本論考執筆時点(2026年1月6日)の資料を保存するため、私の公式サイトにアップしなおしたものを原典として扱う。

上記資料と一般質問をあわせて確認いただくことで、本稿で指摘する問題の解像度は、より明確になるはずである。

また、その過程で、この連載がむしろ抑制的な表現に留まっていることも理解いただけるだろう。