どの年代が高市自民党を支持しているのか

高市自民党の支持率が高いという報道が続いている。内閣支持率が高いのは、そもそもそれが解散の理由のようなもので、折り込み済であった。自民党の政党支持率は、内閣支持率ほどは高くないのだが、それでも自民党大勝の予測が出ているのは、他党が伸び悩んでいるからだと言える。もっとも、自民党の都合で任意の時期に総裁選挙を行って、支持率が高いのを見て争点も明らかにせず解散総選挙に臨んでいるわけなので、野党側の準備が追い付いていないのも、やはり当然かもしれない。

応援演説する高市首相 同首相Xより

そんな中、年代別の政党支持率のデータが、SNSで注目されているのを見た。確かに興味深い点がいくつかある。

以下の3点に集約されるわけではないだろうが、高市自民党を支えているのはどのような層なのか、という観点から、私が目に付いた事柄を3つ、列挙しておきたい。

第一に、石破政権時代に大きな課題となっていた現役層への浸透を狙って高市首相を擁立した自民党の狙いは、当たっているという点だ。政策的な争点が目立たない反面、初の女性首相であり、派手目のパフォーマンスを好む高市首相のイメージ戦略は、奏功しているようだ。

高齢者層の支持に依存していた一年前の石破政権時代の年代別の政党支持率と比較してみると、現役層への自民党の浸透が顕著であることが、一目瞭然である。

第二に、他方において、自民党の最大の支持者層が若者層に移行したとまでは言えず、依然として高齢者層の支持が厚いことを指摘しておかなければならない。

第三に、現役層に限ると、50歳代での支持が多いことが目に付く。

SNSでは、自民党の支持が現役層に浸透したのを見て、若者層が高市首相のイメージ戦略に乗せられている、というコメントがなされているのを、数多く見る。しかし(18歳以上)20歳代の自民党支持率は、依然として全世代で最低である。自民党への支持が一番高いのは、80歳代の高齢者層だ。その次は、50歳代である。自民党の支持率だけを取り出してみると、次のようになる。なお真ん中の行が最新の自民との支持率で、一番下の行は、一年前の支持率である。

18~29歳 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代
31.8 32.5 33.8 39.3 33.6 36.5 43.7
16.2 24.0 23.5 35.9 35.3 48.5

一年前の数字と比較してみて、60歳代と80歳代以上では、自民党の支持率は減っている。高市首相のパフォーマンスが逆効果になっているのだ。しかし現役層では増加している。中でも増加率が高いのは、18歳~30歳代と、50歳代だ。ただし、18歳~30歳代は、他の世代を圧倒するほど自民党支持者が多いわけではない。依然として、若年層では、全世代で一番自民党の支持率が低い。自民党が支持率を減らしてもなおまだ高い80歳代に次いで、自民党の支持率が高い世代は、むしろ現役層の高齢層である50歳代である。

20歳代の右傾化が語られることが多いのは、全世代平均の3.5%の支持率を大きく上回る8.2%が、参政党を支持しているためだろう。だがそれを考慮しても、最も右寄りの層が20歳代だとまでは言えない。

高市自民党と参政党の支持率を足した数字を、世代別に見てみると、次のようになる。

18~29歳 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代
40.1 38.1 39.4 43.5 37.7 37.9 44.8

やはり80歳代に次いで高いのは、50歳代だ。20歳代は、参政党の支持者を足しても、まだ50歳代ほどではない。

さらに自民党と連立を組む維新と、保守党の支持率を足していき、さらに広い右派ブロックのようなものを見てみようとすると、以下のようになる。

18~29歳 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代
42.0 50.6 45.3 47.1 42.5 43.3 48.8

30歳代では維新の支持率が6.9%と、他の世代に比して際立って高くなっているため、ここでは一番高くなる世代となる。一年前は、国民民主党の支持者が一番多かった世代だ。それに次いで多いのは、やはり80歳代と50歳代である。

このようにして見てみると、一年前の石破政権時代と比して、高市自民党の支持層が、確かに高齢者層から、現役層に比重を移したことがわかる。

他方、ただ若ければ若いほど高市自民党を支持しているというわけではなく、実は50歳代の支持が堅固であることなども見えてくる。

なぜ50歳代なのか。もちろんそれは、より詳細なデータを集めてから検討してみないと、わからない。

漠然とした想像だけを働かせてみると、次のようになる。50歳代の中核を占めてきているのは、上半分がいわゆる「バブル」世代で、下半分が「氷河期」の「団塊ジュニア」の世代だ。特に下半分の世代に、一般に経済学者などに評判の悪い「行き過ぎた緊縮志向から脱する」高市首相のスローガンが受け入れられている可能性がある。また中国とロシアに対峙する二正面作戦を辞さず、その補填としてアメリカとの同盟関係を強調する「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」にも、この世代が好感を抱いているようであことも、留意したい点だ。国際政治学者らが強調する「リベラル国際秩序」が、冷戦終焉とともに世界標準であるとみなされるようになり、日本もその中核を占める重要国だ、という認識が広まった時代に成人してキャリアを形成してきた世代である。

自民党の支持者層の比率よりも、参政党の支持者層の比率が、相対的に高い20歳代は、移民問題などにより厳しい考えをもっている反面、「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」などには、相対的には関心を強くは持っていない可能性がある。

こうした世代別の動向が、非常に短い選挙戦期間とはいえ、投票日までに動くのか、実際の投票行動に反映されるのかは、もちろんまたあらためて検証したいテーマではある。

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